ウシにひかれて
だいぶ遅くなりましたが明けましておめでとうございます。
毎年恒例のトーハクの博物館に初もうで企画。今年も行ってきました。
1/7夜に出された緊急事態宣言後とあって土曜だけどかなり空いててとてもゆったり。この時期恒例の長谷川等伯の「松林図屏風」もじっくり見られました。
つい先日開催されていた「桃山 天下人の100年」にも展示されていたので間を空けずに拝見しましたが桃山展ではライバルと言われた狩野永徳の作品(前期:檜図屏風 後期:唐獅子図屏風)と並んで展示されていて照明も明るく展示ケースの継ぎ目に阻まれてちょっと勿体ない感じの展示方法でしたが本丸のこちらでは国宝室でほの暗い照明の中、松林の中に佇んでいるような気持ちで拝観できるのが嬉しいです。人が少なかったので写真も引きの絵、アップの絵と様々な角度で撮り放題。アップで撮ると松の描き方など現代アート風な筆致なのが興味深くこの作品を国宝に選定した先見性は素晴らしいなぁと思います。
ミュージアムシアターではVR松林図屏風も公開されていて絵の中を歩いているような感覚の映像を堪能することができます。やっぱりお正月にはこれを見なくては年が明けた気がしません。
その他の展示では伊藤若冲の鶏の屏風絵、先日放映されたNHKドラマ「ライジング若冲」ではやたら若冲を意識しているように描かれた円山応挙(応挙派の私としてはちょっと納得しかねましたが)の「龍唫起雲図」「双鶴図」池大雅の「竹図」など有名どころの作品が展示されてたのも新春ぽい雰囲気があってよかったです。
狩野元信弟の之信のものと伝えられる花鳥図は狩野派の源流と言えるような作品で好きでしたね。
伝土佐光信の松図屏風の典型的なやまと絵の作品と比べると狩野派が中国の水墨画とやまと絵を融合して新しい画風を作り上げたのがよくわかる展示になってました。
丑年にちなんだ展示は牛をモチーフにした絵画や彫刻など様々な作品が展示されてて中でも国宝の片輪車蒔絵螺鈿手箱が美しかった。心惹かれたのは森徹山の「牛図屏風」で錆徹色の銀地の背景に描かれた力強い牛の絵が素敵でした。牛車が登場する「平治物語絵巻」の模本も藤原信頼と源義朝が三条院(後白河院の御所)に火を放つ場面だったりしたのでほぉぉとなりました。
特別展として表慶館では「日本のたてもの」展が開催されてます。
こちらでは国宝・重要文化財の木造建築の模型が展示されています。
1/10スケールで作成されている模型は設計図などがない古来の建築方法を修復時に後世の手本となるように制作されているようで内部まで忠実に再現されています。
一乗寺の三重塔の内部にはお釈迦様が鎮座していてそこまでやるか!な感じ。
唐招提寺金堂の模型には内部の装飾まで丁寧に塗られていて匠の技にため息。
近代洋風建築の最高美とも言える建物の表慶館と日本古来の建造物の模型の組合せも素敵でした。何度来ても表慶館はうっとりしますね。
大仙院本堂の模型には枯山水の庭園に狩野元信の襖絵まで再現されてて本物の大仙院は内部の撮影禁止なのである意味貴重です。以前京都で中に入りましたが中に入ってしまうと全体の構図はよくわからないのでこういう作りになってたんだーと改めて知りました。
京都で大仙院などを見て回った時の記録
その他松本城や東福寺山門(1/10でもでかい!!)春日大社など国宝建築の模型がずらりと展示されてて建築好きには堪らない展示だと思います。
こちらの展覧会は「紡ぐプロジェクト」の一つであり日本の伝統文化を次世代へ繋げる活動の一環で行われているそうで寺社・城郭関連を維持するためには修復するための人材が必要ですがそのための技術の担い手が激減しているそうです。新しい建築では使われないため高齢化が進んでるそうですが伊勢神宮のように式年遷宮で定期的に新しく建て替えたりもしてるので後世に伝えていくための担い手を育てるためにもっと支援がひろがったらいいのになぁと思います。日本のように地震や台風など自然災害が多いとなかなか保存も難しいと思うのですがそんな環境でも残っている建物もまだまだあるのだから定期的にメンテナンスするための仕組みが広がってほしいですね。実際には日光東照宮の修復も予算がなくてかなり杜撰だったらしいと聞きますが勿体ないなぁと思います。
ここしばらく美術展の記録をブログには書いてなかったのですが、時々自分のブログで思い出すことが多々あって今回も大仙院の展示があると聞いたときそういえば京都に行ったときに見たなぁ…という記憶を掘り起こすために読み返してみたら結構ちゃんと書いてあって忘れてることも多くちゃんと書いておいた自分を褒めたい!と思ったのでした。やっぱり書き残しておくことは大事だと思ったのでこれからはもうちょっと書いていきたいと思いました。頑張る。