おうちに帰ろう

心茲にありと

「そうだ、京都行こう」ということで①

ということらしいので

8月の終わりに少しずらした夏休みを取り京都へ行ってきました。

↑のリンクにある大徳寺聚光院の狩野永徳、松栄の襖絵は通常京都国立博物館

所蔵しているらしいのですが、2016年3月1日~2017年3月26日まで

里帰りしているとのこと。博物館の展示というと当然ガラスケース越しに見ることに

なるのですが、今回は当時さながらお堂に襖としてはめた状態で展示。

こんな機会はそうないので夏休みの旅行はこれに決定。

同じく生誕300年を記念して若冲展も細見美術館相国寺承天閣美術館

開催されていたので合わせて見ることに。

京都を訪れるのは16年ぶり。

(2000年に友達の結婚式で行った以来。

ミレニアムだったなと印象に残ってました)

上記3つ以外でどこに行くかなと考えて、狩野永徳見るなら長谷川等伯でしょうと

南禅寺金地院等伯の猿候捉月図、老松図)

智積院等伯一門の「桜図」「楓図」)

をまずセレクト。

 あとは俵谷宗達の白象図のある養源院。ここは智積院と目と鼻の先なので

ちょうどいいかなと。

あとは時間があれば昨今外国人に大人気という

伏見稲荷神社にでも行こうかと緩めの計画を立てました。

台風10号の動きも気になり、もしかしたら道中ずっと雨なのではという心配しつつ

朝食は東京駅地下のグランスタで買おうという

野望は早すぎて店が開いてないという事態の前に打ち砕かれて、

しょうがなく新幹線乗り場の売店でサンドイッチを購入。

しかし、昨今の駅弁はクオリティが高くコンビニのサンドイッチを

軽く上回るおいしさでした。6:50発の新幹線で向かいました。

 東京はどんよりとした曇り空。関西方面の天気予報も降水確率80%。

レインシューズとカッパまで持参しましたが、京都着いたときはまだ雨は降っておらず

おもい曇天。ものすごい湿度。

2日間有効のバス・地下鉄乗り放題チケットを駅構内の観光案内所で購入し

さっそくバス乗り場へ。最初の目的地は細見美術館

細見美術館へ向かうバスはかなりの清水寺祇園あたりを通るルートなので

かなりの混雑。そのうち半分くらいは外国人だったかなぁ。

バスで移動している途中に雨が降り出し、ワイパーがかなり忙しく動いても

ぬぐえないくらいの強い雨。とうとう来たかと思ったのですが

美術館前に到着したら雨がちょうど止み、少し外で並ばなければならなかったので

助かりました。

 15分ほど並んで中に入ると思った以上に部屋が狭く、人はそこまで多くないけど

大きな絵を見るのはちょっとつらいかな。

若冲展にも出品されていた「虻に双鶏図」「糸瓜郡虫図」「雪中雄鶏図」などは

また会ったねーという感じ。

その他、水墨画を中心に多数の鶏の屏風絵や同じく若冲が好んで描いた

野菜(「里芋」)など楽しい作品がたくさん。

細密な着色画と遊び心たっぷりの水墨画、どちらも個性的ですが

いろいろな絵師の作品を見るにつけ、どこの流派にも属さなかった若冲

つくづく唯我独尊、亜流の人であったのだなぁと思います。

細見美術館は1フロアに1展示室でどんどん階下へ降りていく構造なので

もう一度戻って見たい、みたいなことができずちょっと残念でした。

あと、係りの人が「鑑賞時にはお静かに、会話等はお控えください」というような

メッセージボードを持っていたのですが、東京の展示会であまり見かけないので

驚きました。確かに美術館に入ってしばらく「何か落ち着かないな、集中できないな」

と感じたのですが、それは何だかガヤガヤしていたからなのだと途中で気づきました。

東京でも友人同士で話しながら見る人もいますが、

もう少し声を潜めて会話してるのだけど、こちらでは普通の声で

会話しながら見てるんですね。これは大きな違いだなぁと思いました。

いや、あの注意書きがなければもっとうるさかったりするんだろうか。

 そんなことを思いながら美術館を後にして、次の目的地へ。

 

お次は南禅寺金地院。細見美術館からは歩いて15分ほどらしく

炎天下だったら何らか交通機関を使うところだけど、雨も止んで

曇り空、気温もそれほど高くなかったのでぶらぶらと歩いていくことに。

岡崎公園を抜けて、京都市美術館の前を通り、琵琶湖疎水を眺めながら

南禅寺方面へてくてくと。途中、懐石料理屋さんでそば定食で

昼食をとり、昼過ぎに金地院へ。このあたりは人通りも少なく

緑が多いので散歩にはちょうどよいですね。

↓は琵琶湖疎水記念館前の噴水?

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 南禅寺内にはレンガ作りの水道橋もあり、お寺巡り以外の京都の

楽しみも発見できました。このあたりはブラタモリの影響かな。

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 こちらは水道橋。ちょっとローマ時代の遺跡っぽい。

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琵琶湖から引かれた水が勢いよく流れてます。

そんなこんなを眺めつつ金地院へ。

長谷川等伯の猿がとにかく見たかったのですが、通常の拝観券とは別に

特別拝観券が必要(+700円)で入る時間も決められていました。

毎時30分に集合し、係りの人に案内されながら鑑賞します。

私たちが行ったときは、全員で6名ほどで中に入りました。

各部屋に襖絵や屏風があり、目の前30センチほどの近さで見ることができます。

当然ガラスケースなし。まず最初は狩野探幽の襖絵のあるお部屋。

すでに着色も落ち、下絵が見えている状態だけど、何より本物が

手に届く近さにあることに感激。下絵が見えていることすら貴重に思える。

そして廊下をさらに奥へ進み、茶席に連なる部屋へ。

こちらで長谷川等伯猿猴捉月図と老松図とご対面。

いやあ、これはほんとに素晴らしかったです。

写真などで見るのと間近で見るのとは全然違う!

毛並みはふわふわで表情は愛嬌があり、狩野永徳がこの猿を見て

嫉妬した(らしい。)のも納得。元々が宋の画家牧谿の「猿候図」を

手本にしているとのことで、同じように猿を描いている絵師はたくさんいますが

別格でした。堂々としているのに愛らしいというバランスが絶妙。

自然光の中で間近で見られる至福。これを見られただけで京都まで

来た甲斐がありました。

金地院、猿にばかり気を取られておりましたが実は他にも有名なものがたくさんあり

東照宮(天井画が狩野探幽、土佐光起による三十六歌仙あり)

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小堀遠州作庭の鶴亀の庭として有名な庭園

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同じく小堀遠州作の八窓席の茶室(こちらは写真撮影不可)、など見所満載。

お茶の世界と庭園は奥が深いと思い知ったのでした。

 

 

金地院を出るころは晴れ間が出てきて、雨はいったいどこへやら。

 

次に向かうのは智積院。地下鉄とバスを乗り継いで向かいました。

こちらは本堂その他は近年再建されたものが多く

目玉は体育館のような宝物殿に所蔵されている長谷川等伯一門の障壁画(国宝です!)

桜、楓、秋草、松、黄蜀葵(トロロアオイ)といったモチーフが描かれています。

キンキンに冷えた宝物殿に入るとスイッチがあり、押すと解説が流れます。

ガイドを省力化。まぁ、それほど多くの人は訪れないのかもしれませんが

国宝級の作品に四方を囲まれることもそうないと思うので贅沢な空間でした。

 

続いて、すぐ近くの養源院へ。

お隣は三十三間堂なのですが、そちらはスルー、

閉館ぎりぎりの時間に滑り込みました。お寺は閉まるのが早いのよねー。

 ここのお目当ては俵谷宗達の白象図だったのですが

延々説明されたのは、伏見城で自害した徳川家臣の霊を供養するために

移設されたという血天井。京都各地にあるようなのですが

こちらは鳥居元忠が自害した跡が見られることで有名らしい。

いろいろ調べると実は血天井が見られる場所として紹介されているものがほとんど。

白象や麒麟や唐獅子はおまけみたいな扱いでした。

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1日目、お寺を巡るのはここで終了。

最後は24時間いつでも参拝可能は伏見稲荷神社へ。

外国人人気観光地ランキング3年連続1位らしいので、

どんなことになっているのか見るために行くことに。

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すっかり快晴に!

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想像以上の外国人率が高く、しかも若い子が多い。

自撮り棒を持参しあちこちで写真を撮るので

人を入れずに写真を撮るのが至難の業。

雰囲気としては原宿とかに近い感じ。

これは夏休みシーズンだからなのかなぁ。

日本人の方が少なくて、気分的にはなぜかアウェーな感じ。

まぁ確かにフォトジェニックな場所だし、

SNSなどにアップしたときに映えるんでしょうねぇ。

 日本なのに海外にいるみたいな気分を味わって帰ってきました。

夜は適当に歩いていたら錦市場にたどり着いて

ふと見たら若冲の生家跡がありました。

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京都ってほんとにえらいとこだなぁと実感した次第。

1日目はこうして終了。

2日目は相国寺承天閣美術館といよいよ大徳寺聚光院へ。

いったんここで閉じます。