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心茲にありと

1894 Visions ルドン、ロートレック展@三菱一号館美術館

 

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三菱一号館

三菱一号館が竣工した1894年を軸に同時代に活躍したルドンとロートレックを中心に日仏の作家の作品を紹介する展示会。

スマイルフラワープロジェクト

というコロナ禍で需要が激減して廃棄される花を救おうというコラボ企画で展覧会チケット付きブーケを購入したのですが展覧会の会期終了(1/17まで)が迫ってきたので慌てて終了前日に駆け込みました。


ルドンは三菱一号館美術館が開館したときに購入した「グラン・ブーケ」を所蔵しておりその他のルドン作品は交流のある岐阜県美術館から貸し出された作品が多く展示してありました。
大型で色彩豊かな「グラン・ブーケ」の印象とはうってかわったモノトーンの版画作品は幻想的というか不思議な味わいな作品が多かったですね。
パステルで描かれた作品は色使いが独特で印象派の色彩とは違って空想の世界で色を楽しんでいるような感じ。なかでも「神秘的な対話」のピンクの使い方が現代的でとても素敵でした。

ロートレックはキャバレーのポスターが有名ですがポートレートのような瞬間を切り取り平面的に描くのは日本の浮世絵みたいで江戸時代に日本で浮世絵が庶民の間で親しまれているように少し時代が下ってからパリでも芝居のポスターや店の広告がアートとなるのは日仏の絵画の成り立ちの違いが見えて面白いですね。

版画作品ではヴァロットンのシリーズがあったのが嬉しかったですね。好きなんですよねーヴァロットン。クールでちょっとミステリアスでとても素敵。

ゴーギャンタヒチでの生活からインスピレーションを受けた作品群「ノア・ノア」は初めて見たのですが油彩画よりさらにプリミティブでした。

フランスで浮世絵を初めとした日本画の影響を受けたのがナビ派の画家でポール・セリュジュの「急流のそばの幻影 または妖精たちのランデヴー」は急流の描き方が琳派のようで構図も日本の屏風絵のようでした。鈴木其一の「夏秋渓流図」を思い出しました。

日本画の影響を受けた絵画がある一方で西洋絵画を学んだ日本人の作品もありました。
山本芳翠、黒田清輝藤島武二梅原龍三郎青木繁などなど。
日本の絵画の歴史から離れて西洋絵画を学んだ作家の作品と同じように別の文化を取り入れたフランスの作家の作品を並べてみると絵の上手い下手はわからないのですが日本人が西洋絵画を描くことの難しさを感じました。
単体で見たときに技術は学べてもその技術が生まれた背景というか積み重ねが絵の中に落とし込めてないというか。学んだことを否定するつもりもないですし学んだうえで何を表現するかだと思うのですが19世紀の後半頃はその途中だったのかなぁなどと素人ながら思いました。

 

その他同時代の有名どころモネ、セザンヌルノワールなどの作品もあり個人的には入口はいってすぐにモローの「ピエタ」があったので一気にテンションあがりました。こちらも岐阜県美術館の所蔵なんですね。

 

緊急事態宣言が出ている中で開催されている展示会。来場者は通常よりやや少な目くらいでしたが元々美術館ではおしゃべりする人はいないですし、入場時の体温チェックや消毒も行われておりルールを守れば行くことは問題ないかと思いますが行く前と出た後の行動が大事かなと思います。グループで訪れてその後ランチやお茶で長々とおしゃべり、みたいなことをしなければ問題ないのかなと。それが楽しみな方たちには物足りないかもしれませんが純粋にアートを楽しむ気持ちで当分は行くのがよいと思います。