おうちに帰ろう

心茲にありと

一周年

はてなブログさんから「開設して1年が経ちました」とお知らせメールが来て

ええ?1年前の今日?と驚きました。

ブログそのものは場所を変えながら10年以上細々と続けているんだけど

はてなに引っ越してきてから1年ということでした。

 

何でこのタイミングで引っ越ししたんだっけかなぁと最初のエントリを

確認しました。

unatamasan.hatenablog.com

 

そうか、もっと広く浅くいろいろなこと書くつもりだったんだなぁ。

最初の頃はせっせと映画とか美術展や舞台について書いてたけど

あっさり頓挫。

結局今では推しのことをあーだこーだいうブログになっちゃってます。

行きつくところはやっぱりそこか。

しかし1年前の今日(2016/7/24)の時点ではそんなつもりは全くなく

翌7/25に「ゴーゴーボーイズゴーゴーヘブン」を見て足元を掬われるなんて

思いもよらなかったのに、ブログを心機一転していたとは

虫の知らせだったのか。

 

そんなこんなでだいぶ当初と趣旨が変わってきましたが

あまり何を書くかは限定せずにゆるゆる続けていきます。

よろしくお願いします。

 

1年前に何か写真撮ってたかなと漁って出てきた写真がなぜかこれでした。

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映画「銀魂」雑感

(最初にお断りしておきますが長いです。)

 

ジャパンプレミアから待つこと2週間余り。

7月14日に待ちに待った映画「銀魂」公開されました。

 

平日金曜日だったので前々からこの日は会社は休むと決めていました。

朝一の回から舞台挨拶付き2回と合わせて3回

土曜日は前日を反芻するために1日休み

本日日曜日に1回とジャパンプレミアを入れて合計5回見てきました。

 

舞台挨拶の様子はこちらを参照↓

togetter.com

 

ジャパンプレミア後に第一弾感想も書いてるので

そちらもどうぞ。

unatamasan.hatenablog.com

 

まずは映画全体の感想を。

ジャパンプレミアの時はキャスト勢揃いの爆笑の舞台挨拶の余韻もあって

あっという間に終わってしまった感じの映画本編。

改めてちゃんと見てみると、福田監督が原作のイメージに忠実にしたかったと

仰っているだけあって、アニメ劇場版を見返してみたんですが

場面の絵作りもかなり寄せていて、実写だったらもう少し違う表現が

できるんではないか、っていうところもあえてそのままにしているようでした。

カット割りが非常にアニメっぽいんですよね。

いやな言い方をするとちょっと「紙芝居」っぽい場面転換もあったりして

視点があんまり動かないんですよね。

奥行があんまり感じられないというか平面的な画面になっています。

銀時が鬼兵隊の船に乗り込み「宇宙一ばかな侍だコノヤロー!」と

登場するシーンも普通の実写映画だったらヒーローらしく

もう少しかっこよく登場しそうなところを乗り込むところはスパッと映さず

(アニメ版がそうなっている)

いきなり船の甲板に立っているとか、実写ならではの外連味のつけ方みたいなことを

あえてやってないところが却って潔いと思いました。

真選組の出番を多くするための冒頭のカブト狩りエピソードも

無理があるなと思いつつも人気キャラクターである真選組の説明のためには必要で

そこにちゃんと桂小太郎の登場も入れることで、

銀時と桂の関係の説明に続けられるので

映画として成立してるところもうまいなぁと思いました。

 

似蔵と銀時の決着のつけ方も

アニメで見たときもそれまでのやり合いの激しさに比べてあっさりしてるなぁと

思ったんですがそこも忠実。

 

これまでの福田組との一番の違いは予算とのことでしたが、それでもバジェットが

限られてるんでセット組めないと銀魂ビジュアルブックで仰っているので

お金をかけるところを工夫されたんだと思います。

アクション監督は韓国のアクション専任スタッフがついたとのことで

殺陣というより振付のような要素もあり、特に堂本剛さん演じる高杉と

銀時とのアクションシーンはテンポよくリズミカルで流れるようなアクションでした。

似蔵役の新井浩文さんはアクションはほとんどやったことがないということでしたが

背も高いので銀さんとの対決シーンは迫力あり、紅桜に侵食された状態での

やりあいは型にはまってないところが面白かったです。

柳楽優弥くん演じる土方とも対決するし、新井さん、ほとんどアクションしかしてない

んじゃないでしょうか。一番大変そうでした。

 

真選組の3人は鬼兵隊の船に乗り込むやり取りがサイコーで

あれは勘九郎さんじゃないとできない落差ですね。

その勘九郎さん演じる近藤さんをあっさり見放す

土方と沖田も面白かった。吉沢亮くんの沖田の「万事屋のダンナ」って言い方

結構好きでした。土方さんを似蔵に差し出してサムアップする表情もよかったです。

柳楽くんの土方は冒頭の近藤さんとのやりとりが一番好きでした。

初回に見たときには記憶から飛んでたんですが、似蔵とも戦ってて

そうか結構アクションしてたんだなと思いました。柳楽くんにアクションのイメージ

なかったから新鮮でしたね。

 

早見あかりちゃんと安田顕さんの村田兄妹も好きでした。

ヤスケンさん演じる村田鉄矢はとにかく声が大きい役で一本調子になりがちな

大声のセリフを言い続けるって大変じゃないかなぁ。

最後に鉄子にお前はどんな刀を作りたいのかと聞き、鉄子が「守る刀…」と

答えると「なになに聞こえないー」っていう言い方がおかしくて

かなりシリアスなシーンなんですが毎回つい笑ってしまいます。

鉄子については「死なせない!」の言い方はアニメ版とそっくりで

鉄子そのもの!と思いました。あとはこの映画通じて一番笑いが起きるシーンに

絡んでいるところがさすがのコメディエンヌぶりだなぁと思いました。

 

そして銀さんはやっぱりかっこいいなぁと思いました。

傷だらけになるほどかっこいいのはやっぱりヒーローなんですね。

紅桜の花びらが舞い散るシーンに決めポーズで立つ銀さんはどこからどう見ても

かっこいい。これは実写ならではのかっこよさだなぁと思いました。

 

ここからが本題(前置き長い)。岡田将生くん演じる桂小太郎ですが

真面目な顔してエリザベスと並んでて違和感ないっていうだけで奇跡。

岡田くん自身もインタビューでなんでこいつにこんなに真面目なこと言ってるんだろう

って不思議になるって言ってましたが現実味のない二人(一人と一体?)

が並んでるって感じでした。

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冒頭の「助太刀いたそう」からの殺陣のシーンは思ったよりも動きが早く

おお、やるじゃん!と。無駄のない一連の動きはいかにも武士としての

鍛錬を怠っていない桂らしくて、「安心しろみねうちだ」の言い方もかっこよく

要はすべてがかっこいい。

そのあと銀さんとかぶき町を歩きながら終始鼻をほじっている銀さんの

横ででこれまた真面目に話しているところも二人の関係性を表してて

いいシーンでした。「鼻くそをほじりすぎだ」「飛ばすな」「なじますな」の

言い方もテンポよくこの映画の桂の中でクスっとなる数少ないシーンでした。

銀さんに「最近このあたり辻斬りが出るから気を付けろ」に言われて

「辻斬りごときにやられる俺ではない」と言った後にちょっとだけ

見つめあうんですがその間もよかったですね。

お互いに何だかんだいいながらも心配しあう仲という感じが出ていて

いいシーンだなーと思いました。

 

夜の橋の上で似蔵に斬られるシーンは暗闇の中でもはっきりわかる

目鼻立ちのきれいさは白眉。そのあと似蔵が

ありゃほんとに男か。この髪のなめらかさは女みたいだ」という

のも納得。

 

後半はエリザベスが出てきたところで鼓動が高まり、

高杉がエリザベスを斬ったあたりから息を止めて見てしまいます。

前半の長髪姿から短髪になり、着物も薄いグレー地の着物にレザー素材の羽織姿から

濃い青のビロードっぽい生地の着物に薄い水色の羽織にお召し替え。

かなりタイトなスケジュールの頃だったせいか頬がかなりこけていて

肌も白く似蔵さんじゃないけど、ほんとに男性ですか?ってくらいの美しさ。

ちょっと一人だけ発光してるみたいなんですが。(多分ライティングの関係)

 

そのあと追手を交わすちょっとしたアクションがあり、

桂さんのアクションシーンは全体的に動きが早く

あんまり細かいところがわからないんですよね。

これは狙いなのかなぁ。舞台挨拶で「今回はアクションも頑張りました」

みたいなことを言ってましたが、岡田くんとしては多い方だったかもしれないですね。

他の方に比べればさほど多くはないですが。もうちょっと見たかったというのが

正直なところ。

 

桂と高杉との会話が結構長いんですが、ここはもうただただセリフをいつまででも

聴いていたい…と思いました。岡田くんのセリフ回しの美しさがよく出ていて

桂の顔は映らずに別の場面が映される状態で声だけが聞こえているんですが、

耳にすっと入ってくる心地よく説得力のあり低すぎず重すぎず

よく通る声。桂がそこにいる、と思いました。

 

銀魂ビジュアルブックの中で福田監督は

「僕からすると岡田将生の桂小太郎さえハマったら「銀魂」はコンプリート。

(中略)確か最初の方は岡田くんにダメ出しをした覚えがあって。というのも

最初見せてもらったときに、割とかっこよさげなしゃべり方をしていたんです。

実は岡田くんってあれだけイケメンなのにいじられキャラなんですね。

なぜかというと常に真面目だから。そこが彼の面白いところだし、桂もまさに

そういう人。頭が堅くてバカみたいに真面目で「”かつラップ”でさえ真面目に

やるから面白いんだよ」という話をしたら、そこは一流の役者さんだけあって

すぐ汲み取ってくれました。(後略)」

と話されています。

桂小太郎のキャラクターに岡田将生が実体としての息を吹き込んだんだなぁ

と思いました。

 

実際アニメの桂さんはもう少し外連味があるんですけど

岡田くんの桂さんはもっと真っすぐな感じで

いかにも清貧を好む攘夷志士という雰囲気が出ていたと思います。

 

アニメ版ではそのあと高杉はさっさと脱出、残された

銀時と桂で天人と戦う最高にかっこいいシーンがあって

実写化が決まった時からその場面を妄想して楽しみにしていたんですが

そこは銀時と高杉の対峙シーンに変更となりものすごくがっかりしたんでした。

それさえ見られればいいと思っていたくらいだったんですが

しかしそのがっかりを帳消しにするくらい桂さんが美しかったので

続編に期待することにしています。

 

最後、高杉との戦い終わって仰向けに寝ている銀時を

引きずりながら船から脱出するシーンが何気に好きで

銀さんの襟足をつかんでがーっと甲板を走って飛ぶところが後ろ姿だけなんですが

細い体なのに銀さんに何も言わせない強さがあって、桂さんの銀さんへの思いが

伝わってきました。パラシュートで降りていくときに銀さんが

桂にしがみついてるんですが、一度回してる腕の態勢を

つかみ直すところがあってなぜかそこにもグッときました。

細かいところなんですが銀さんと桂さんの近さを感じました

 

途中回想で出てくる攘夷戦争のシーンが

わざとモノトーンでわかりにくい映像にしてるんですが

ちらちら映る桂さんがめちゃくちゃかっこよくて、どこがそんなにいいんだろうと

思ったらハチマキしてるところが好きなのかもって思いました。

こちらはメイキングを楽しみにしております。

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ひとつだけちょっと注文というか、惜しいなって思うのは着物に慣れていないせいか

立ち方と歩き方がちょっとぎこちないというか着物の動きじゃないんですよね。

もう少し腰を落とした胸を張った方が収まりがいいんじゃないかなぁと

思いました。ただ桂の個性を考えるとまぁあんまりふんぞり返っても何だしな…とも

思うので悪いわけではないですが。

 

まだまだ見返したいところがたくさんあり、

あと何回行こうかなぁと考えているんですが

映画はすぐに見返したくてもリピれないところがもどかしくも楽しいですね。

大きいスクリーンで見る岡田将生の姿と声は格別。

まだまだ楽しみたいと思っています。

 

ゆとりですがなにか純米吟醸純情編

帰ってきました!

まーちん、やまじー、まりぶの三人が!

2016年4~6月に放送された「ゆとりですがなにか」の続編

「ゆとりですがなにか純米吟醸純情編」が7月2日9日の2週に渡って

連続ドラマ放送時と同じ時間帯22:30から1時間ずつ放送されました。

こんなに早く彼らと再会できると思っていなかったので

このニュースを聞いたときはほんとに嬉しかったです。

 

脚本家の宮藤さんが「あたふたしているときの岡田くんの表現が好きで今回の

SPも正和にあたふたしていてほしいと思って書きました」と

インタビューで語っていましたが今回も盛大にあたふたしています。

叫ぶ泣く驚くわめく喜ぶなど喜怒哀楽がはっきりしているまーちん。

今回も山路と子どもの喧嘩のような騒ぎを起こして

脚を骨折し松葉杖姿で右往左往するシーンもあり

連ドラ時に見せてくれたまーちんのあらゆる顔がギュギュっと詰まった

前後編合わせてトータル正味1時間半。

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今回小学校を辞めてしまい故郷の郡山に戻ってしまった山路を

まーちんとまりぶが探しに行くと、郡山では山ちゃんのことを知らないものはいない

生徒会長でスキー部の部長のカリスマ的存在であることを知ります。

 

まりぶはかつては神童と呼ばれ、おっぱいパブで客引きしながら11浪の果てに

子持ちで大学生やってたりと山岸の言葉を借りれば「規格外」。

 

そんな二人に比べると一番普通で一番考えの浅いまーちんだけど

いつも一生懸命で間違ってることもたくさんあるけど憎めない。

奥さん妊娠しているのに全然気づかないし

茜ちゃんにも「こんな世の中でこんなオットで不安だらけだよ」とか

言われちゃうし、だけど子どもができたことを知った時には全身で

喜びを表現するので全て帳消しにしちゃうくらい可愛らしい。

 

どこをとってもきれいな顔している岡田くんが全然かっこよく見えない。

いや、ふとした顔はやっぱりきれいだなと思うんだけど

ドラマを通してかっこよさがきれいに消えちゃってるところが紛れもなく

坂間正和そのもの。

 

1年たっても成長どころかむしろ後退してるんじゃないかと思ったくらいの

まーちんだったけど、茜ちゃんの妊娠により

父になるための覚悟ができたのか、最後は見たこともないような

大人の顔をして歩き出すところで終わります。

この後父となったまーちんはどんな顔になっていくのか。

ずっとずっと見ていきたいと思うラストシーンでした。

 

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中国に1年間留学するまりぶが帰ってきたらまた第三弾やってほしいですね。

っていうかもうこれやるフラグですよね。

今回も童貞卒業ならなかった山路には特に幸せになってほしいと

切に願っています。

 

「ゆとりですがなにか」は三人のアンサンブルが素晴らしいのですが

山路、まりぶのアクの強い個性を中庸なまーちんが包み込むような

バランスになっているところが今回はより一層出ていて、

だから真ん中にいるのがまーちんだし

やっぱり主役はまーちんなんだなと思いました。

あたふたしているけど、まーちんが真ん中にいてこその三人だし

そのまーちんを演じる岡田くんの座長ぶりも堂々たるものだなぁと思いました。

誰かの夫の役ってもしかして初めてですかね。

結婚指輪が新鮮で、次はとうとうお父さん。

まーちんが父になるなんて想像もできなかったけど

きっとあたふたしながらもいいパパになるのでしょう。

この役は今じゃなきゃできない役。きっと数年前ではできなかったと思います。

人としての成長が役にリンクしているようで見ていてちょっとじんわり来ました。

 

何度も見返して何度も笑ってしんみりする「ゆとりですがなにか」は

ほんとに大好きな作品です。

岡田くんが出てなくても大好きだったと思うけど、この作品に岡田くんが

出ていて成長して行く姿を見続けられることも本当に嬉しい。

定期的に3人の近況報告をしてほしい。宝物のような作品です。

星野源ライブツアー2017「Continues」

(ええと、たまには岡田将生くん以外の話題も書いておこうかなと。)

 

2017年6月30日、星野源さんのライブツアー2017「Continues」@朱鷺メッセ新潟に

行ってきました。

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今回のツアーが発表されてからほんとに行けるんだろうかと戦々恐々。

昨年のYELLOW VOYAGEツアー以降、加速度的に人気が高まって

今年の初めにパシフィコ横浜での単発ライブはかすりもしなかったので

もう行けるならどこでもいいと遠方の会場で申し込んだところ

無事、YELLOW PASSの先行抽選で当選。

年に1度のライブ参戦を目標にしていましたが何とか果たせました。

 

前回の「YELLOW VOYAGE」はアルバム「YELLOW DANCER」の曲がメインで

とにかくポップで楽しく、後半の「SUN」「WeekEnd」「時よ」

アンコール「君は薔薇より美しい」「Friend Ship」の盛り上がりが素晴らしく

あの広い埼玉スーパーアリーナが巨大なダンス会場になったような一体感があり

スター星野源誕生だなぁと思った感動的なライブでした。

 

で、そのスター誕生から大河ドラマ出演、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の

ブームからの「恋」の大ヒット、と文字通りスター街道まっしぐらな中で

行われる今回のツアーはどんな内容になっているのか大変楽しみでした。

 

私はライブに関してはほんとに席運がなく、アリーナで見たことなど

ほとんどありません。だいたいがスタンド、しかも2階席が当たり前だったのですが

なんと今回は前から4列目のど真ん中というめちゃくちゃいい席!

近すぎて見上げるような態勢となるため首が痛くなるほどでした。

流れる汗まで肉眼で見えるような距離でライブを見るなんて初めての経験。

こんなことは二度とないかも。

 以下ネタバレを含みます。

 

 

続きを読む

「銀魂」ジャパンプレミア行ってきましたよ

2016年8月4日の第二弾実写化キャスト発表から年明けの桂小太郎ビジュアル公開

で期待が一気に高まり、待ち続けること約1年。

今年に入ってからは実写版桂小太郎を見るまでは死ねないと言い続けていた

映画「銀魂」のジャパンプレミアが6月28日、東京ドームシティホールで開催され

ました。

7月14日の映画公開まで待ちきれず、何とか手を尽くして行けることになり

参加してきました。

以下、長いです。

 

<舞台挨拶>

同行者が早めにチケットを引き換えてくれた席はなんとアリーナ。

チケット運があまりない私にとってはもうこれだけで十分といえるほどのラッキー。

会場の両側に設けられたキャストが入場してくる花道の3列後ろくらい。

登場口もばっちり見えて、あとは私の席側から岡田くんが出てくるのを祈るのみ。

イベント開始時刻は18:20だったのですが、10分くらい遅れたかな、はっきり

時計は見ていないのですが、場内が暗くなりMCの声が響きました。

そして正面スクリーンに主要キャストが一人ずつアップになりカウントダウン開始。

桂小太郎は11番。最後に銀さんで0になったところで、向かって右側のゲートのスモークが

炊かれて、うぉー、こっちだ!と興奮MAXとなったところから登場したのは

桂の相棒エリザベス。いきなりの出オチ。

仕切り直してキャスト陣の一番手は長澤まさみさんと岡田将生くんのコンビ!

このあと監督含めて両サイドから歩いて登場するのですが、二人だけで出てきたのは

岡田くんと長澤さんだけでした。

「夏だ!祭りだ!銀魂だ!」のテーマにふさわしく浴衣で登場。

手にかごとヨーヨーを持ち、かごには銀のボール(銀たま?)が入っていて

歩きながら場内に投げ入れてます。どうやらサインボールだったらしいのですが

残念ながらキャッチまではできず。

幕が開いてお二人が並んでる姿は、もはやこの世のものとは思えず。

(正直長澤さんにはほとんど目が行ってませんでしたが…ごめんなさい)

かなりの至近距離で歩いてくる姿を拝むことができ、相変わらずきれいな肌に

小さい顔、同じ人間とは思えない等身をじっくり堪能し

生きててよかったと思う数十秒でした。

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壇上にずらりと並んだキャスト陣と監督総勢15名。

高杉晋助役の堂本剛さんを除く主要キャストが勢揃い。いやー壮観でした。

これだけ人数多いと一人ひとりの話す時間もあんまりなくなっちゃうのかなと

思ったんですが、福田監督とムロさんがキャスト一人ひとりのコメントに

いちいち反応し、それに対して佐藤二朗さんが突っ込むという展開で

福田組のチームワークの良さを存分に発揮。通常の形式的な舞台挨拶では

ありえないような突っ込みの応酬で爆笑の連続でした。

通常だったら主演級の人たちばかりを集めているので

当たり前にコメントを聞いてるだけじゃ失礼と思った福田監督ならではの

気遣いなのかなーと思ったりしました。

岡田くんは一番最初に登壇したのに、コメントはかなり最後の方だったので

待ちくたびれてやっと喋れると思っていたのに

質問の内容を忘れるという安定ぶりを発揮。

そこからは両サイドから突っ込みの嵐を受けて「もういいです」と途中で

話を切り上げようとすると菅田将暉くんから「まさき〜」とたしなめられ

「お前もまさき!」とすかさず返し会場を沸かせました。

このあたりの瞬発力の良さは年々磨きがかかっているような気がします。

抜群の間でした。まるでネタ合わせしたかのような掛け合いだったので

ムロさんからも「ネタなの?」と聞かれて、

菅田くんは「初めてやった」と答えてましたが

映画「何者」のインタビューでも岡田くんのことをいじりがいがあって面白い

と話していたことがあったので普段からこういうやり取りがあるのかなと思いました。

また共演してほしいなぁ。

www.youtube.com

最後に小栗さんの「こんな感じが映画でも続いてます」というコメントで

舞台挨拶は終了。その後フォトセッションがあり舞台上で客席を背にして

記念撮影。「夏だ!祭りだ!」の小栗さんの掛け声のあとに

客席が「銀魂だ!」と唱和して終了。銀色のテープが打ち上げられて

イベントは終了となりました。

 

<本編上映>

もう舞台挨拶だけでおなか一杯になるほど大笑いしましたが

少しの休憩のあと、何の合図もなく場内が暗くなり上映開始。

まずはお馴染みの映画泥棒から。試写会でも流れるんですね。初めて知りました。

その後ワーナーブラザースのマークが出て本編が始まりました。

いや、このワーナーのマークも一筋縄では行かないところも銀魂で…。

という感じでもう冒頭から笑いっぱなし。

少しの隙間もなく笑いを入れてくる貪欲さが素晴らしかったです。

今回の実写版は「銀魂」でも人気の「紅桜編」というエピソードをベースにした

ストーリーで、アニメ版でも映画化されています。

基本的な流れはほぼこのアニメ版に倣っているのですが

細かいセリフだったり設定は実写版用に変えています。

小ネタの放り込みかたは「勇者ヨシヒコ」っぽくもあり

違和感なく世界観が共存しているのはもともとこの2作品が親和性が高いからでしょう。

それやって大丈夫?映画でやる以上は一応仁義は切ってるんだよね?

っていうシーンも多々。

カメオ出演的に意外な俳優さんも登場し、

最後のエンドロールでは「ええ!?」と声が上がる場面もありました。

これは映画を見てのお楽しみ。わかる人は出てきたときにピンと来るはず。

私はわかりました。

 

銀魂」は実写映画化されることになってから、

アニメ版をぽちぽち見始めた程度ですが

紅桜編ですっかり桂さんの魅力にはまり、

これを岡田くんがやるのかとわくわくが止まらず

作品そのものにもギャグとシリアスの塩梅とありえないストーリー展開に

毎回爆笑して楽しんでいたので、どこまで実写化で再現できるのかと思ってましたが

再現というレベルではなく、漫画、アニメとは違う生身の人間が演じる面白さを

きちんと生かし、それでいて現実離れした原作の世界観を損なわず

原作を知らない人でも楽しめる作品になっていると思います。

 

シリアス場面では銀時、桂、高杉の子ども時代も繰り返し出てきて

松陽先生の教えとともに一緒に学んだ同士がそれぞれ今は違う生き方を

していることを強調し、特に桂はほとんどお笑いパートに絡んでおらず

マジメ担当。高杉と向かい合うシーンでは桂のセリフの声のトーンが

他の銀魂のセリフと一線を画す調子で素晴らしく

ずーっと聞いていたいと思いました。もっと喋って。

 

後半短髪になって登場したときは女性的な美しさもあり

プロデューサーの松橋さんが桂は

「小栗くんと同じくらいの身長で女形ができるキレイな人」という

ことで岡田くんに決めたそうです。

実は福田監督の奥様が絶対桂は岡田くんじゃなきゃダメだといって

譲らなかったらしいので、奥様に感謝です。



そして主演の小栗さん、実はちゃんと作品を見たのが

宇宙兄弟」くらいなんですよ、私。

花より男子」も「花ざかりのきみたちへ〜イケメンパラダイス」も見てなくて

(ほんとすいません)

最近の「CRISIS」やちょっと前の「BORDER」も観ていないというド素人なのですが

こんなにコメディ演技がはまる人だと思ってませんでした。

とぼけながらも男気を感じさせるところは銀ちゃんそのものでした。

あと、一番印象に残ったのは橋本環奈ちゃんの神楽ちゃん!

橋本環奈ちゃん、小柄でかわいいのですが実は声がハスキーで

アニメの神楽ちゃんと声質が全く違うので、あの特徴的な話し方にはまるんだろうかと

思っていたのですが、アニメ版とは違う神楽を作りあげ

違いは全く気になりませんでした。

よく変わる表情とキレのいい動き、小柄な体の全身を使って神楽を表現し

かわいくて強くて変態な神楽ちゃんをイキイキと演じて素晴らしかったです。

 

高杉役の堂本剛さんは賛否分かれるかもしれません。主要キャラのうち

原作に一番イメージが遠いのが剛さんで、あまり似せることを意識していなかった

のかなと思いました。それでも映画の高杉としてはちゃんと成立していて

ダークな雰囲気の中にかつての同志としての思いが残っている片鱗を匂わせて

独自の高杉を作り上げていました。私はアリだと思いました。

 

そのほかのキャストも皆さん素晴らしくここでは書ききれないほど。

映画公開されたらもう少し細かいところまでちゃんと見て

改めて書きたいなと思います。(書ければね…)

 

実写化が発表されたときに原作者の空知先生は

「メンバーが豪華だろうと原作が原作ですから基本泥舟。全員銀魂と一緒に死んでもらう事になります」「漫画の実写化はイメージと違うと叩かれるのが常ですが、もう今さら何をやっても読者の皆さんの銀魂のキャラ像はブレないと信じていますし、ここに集まってくれた方々はそういう覚悟もした上で、それでも泥舟でもいいから銀魂に乗りたいと言ってくれた方々ですから、そんな人達の作るまた別の形の銀魂ならコケてもいいから見てみたいな、見てもらってもいいかなと思ったのが実写化をうけた僕の率直な気持ちです」

とおっしゃってました。

乗ってやろうじゃないの、泥舟、という気持ちで待ち望んだ作品。

泥舟だったかどうかは、公開されたあとにわかるのかもしれませんが

映画を見た後の感想は、乗ってよかったよ!泥舟!沈まないように頑張って宣伝するよ!な気持ちです。

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映画公開が待ち遠しいです。

 

「小さな巨人」最終話 -私的には山田春彦物語

小さな巨人」が終わってもうすぐ1週間。

もっと早く書こうと思ってのに、次の回がないと思うと気が抜けたのか

なかなか書けないままずいぶん日が経ってしまいました。

 

まぁー、一言でいうと駆け抜けた日々って感じでした。

4月10日の先行試写会から始まって

6月18日の最終回まで2か月ちょっと。

毎週日曜日夜はちょっとしたお祭り状態で

その後はオンデマンドで繰り返し見ながら

スクショを撮りまくり、結局全10話で撮ったスクショが2743枚。

いやー、撮った撮った。

こんなにスクショを撮ったのは初めてです。

 

今このブログを書く前にもう一度最終話を見返してたんですが

感動するとか余韻が残るというような感じはあまりないのですが

面白いことは面白い。見てると引き込まれるのはやはり役者さんの

圧が半端ないからでしょうかね。

100%→200%→300%ときて打ち止めかと思いきや

最終話で500%に跳ね上がった小野田一課長の確信。

香坂さんの何度でも覆される推理ならぬ妄想。

そのやり取りの中での小野田一課長の

「キャップは!ここにありました!!」

という迷セリフまで飛び出しました。

大真面目にやってるからこそ爆笑を誘う演技の連続。

クライマックスは第一話で小野田一課長が香坂さんに向かって

「この捜査一課長小野田義信の目を見て言えるのか」と

わざと香坂に背を向けて言ったセリフを

香坂が小野田一課長へのお返しとばかりに

わざわざ後ろに下がって横を向いて明後日の方を向いて

「あなたの正義をこの私の目に見せてください!」

(指をVの字に広げて目を指す)

これは、先行試写会後の舞台挨拶で小野田一課長役の香川さんが

「この”目を見て言え”ってセリフ、毎回あるみたいなんで

面白いからどんどん離れて言ってやろうと思って。

最後にものすごく遠くから言ったら面白いんじゃないか」って

仰ってたのを逆にしたんですね。

面白い演出だなぁと思いました。

 

全10話で解決したのは2つの殺人事件のみ。

その殺人事件に関連した警察組織の陰謀はもみ消されたままという

結末はすっきりしたものではないかもしれません。

警察組織の闇の証拠となる17年前の事件の帳簿の切れ端は

小野田一課長から香坂に渡され

おそらく小野田一課長が所轄から捜査一課長に上り詰めるための

切り札として使ったのがこの切れ端でそれが香坂の手に渡ったということは

今度は香坂がそれを使って捜査一課長に上り詰めるのでしょう。

怪物の座も世代交代です。

 

「我々警察官は法の下に国民を守る

しかしその警察官を守る法律は存在しない。

己を守るためには戦うしかない。」

 

最後のセリフは第一話と同じ。

香坂は戦うための大きな武器を手に入れました。

 

すっかり香坂さんに心酔している山田くんですが

何かあればあっという間に香坂さんは山田を裏切ることでしょう。

かつて香坂さんが小野田さんにされたように。

 

さて、最終話の山田くんですが

憑き物がとれたようなすっきりした顔で

香坂さんと二人で朝のコーヒーを飲むシーンがあり

これまでの険しい表情だけじゃなくようやく普通の青年の顔が見れました。

 

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そして山田父が内閣官房副長官を体調不良を理由に辞任することになり

報道陣に囲まれている父を遠くから見ている顔は

父への復讐から警察官になろうとした駄々っ子のような顔ではなく

父に対して憐みの感情すら持ちながら警察官として全うする決意が

現れたような凛々しい表情でした。

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出世のことしか頭にない一匹狼のエリートから始まり

チームで事件を解決する面白さを覚え

父が関連している事件を知り誰にも言えずに悩んで

一人で何とかしようとして失敗し香坂さんの有難みを知り

父と対面してボロボロになりながらも

香坂さんとの絆を選び、最後は父との確執を乗り越えた山田くん。

このドラマで一番変化を見せてくれたのが山田でしょう。

見ているこちらも今度は何をするんだ?山田?と思いながら

愛しい想いで見守り続けました。(突っ込みも愛あればこそ)

小野田一課長のところに向かう香坂さんに向かって

 

あなたはいつもそうやって背負わなくていいものまで背負ってきた

僕らは組織の中ではとても小さな存在なんです。

ですがあなただけは違う

たくさんのものを背負ってきたあなたの背中は

僕にはとても大きく見えた

それはきっとみんなも同じです

あなたは組織という巨大な怪物に立ち向かえる

小さな巨人なんだ

 

というシーンでは

「タイトルロールを言わせてもらえるような存在になったのね」と

感慨深かったです。(香坂さんにまんまと騙されて…とも言えますが)

 

この「小さな巨人」の山田春彦という役は

岡田将生くんがこれまで演じた役の中で一番世間的に注目された

役だったのではないでしょうか。

低めだけどよく通る声に口跡のよさが際立つ喋り方が

広く認知されたのは大きいのではないかと思います。

舞台を見たことある人であれば岡田くんの声質の通りの良さ

めちゃくちゃ聞き取りやすい話し方を知っていると思いますが

テレビだけだとここまでわからなかったと思います。

その後に出演したバラエティ番組のぐるナイでメニューを読むときに

「いい声!」と声がかかっていたのはこのドラマの影響だったと思います。

大杉漣さんからは「舞台俳優!」って声も)

 

そして何よりスーツ姿の美しさ。

美形であることが必要な役ではなかったけど

見た目の美しさがこのドラマの大きなエッセンスに

なっていたことは確かです。

長谷川さんとの二人で並んだ絵面のはまりようは

大きな魅力の一つだったと思います。

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視聴率もよかったようですし、ぜひ続編、そして山田警部補の華麗なる日常の

スピンオフもお願いしたいところです。

 

 

 

小さな巨人第9話 覚書

小さな巨人」第9話の続きをもう少し。といいつつ長いです。お暇な方どうぞ。

 

とにかくいろいろな対決シーンの多いこのドラマ。

今回は岡田将生くん演じる山田春彦が父親と対面するシーンと小野田一課長に

取り調べを受けるシーン、この二つが対照的でした。

 

まず山田と父が対面するシーンは今回が初めて。父への絶望から捜査一課長に

ならなければならないとずっと言い続けていた山田父はどんな人なのか

父に軽蔑されて存在しないもののように扱われていた山田はどのように父と

接するのか、見ているこちらも緊張しました。

 

山田家の応接室?のようなところで待つ山田。父が入ってくると立ち上がって

「ご無沙汰しています」と一言。こういうところ大変礼儀正しい山田くん。

「まさかお前が犯罪者になるとはなぁ」

「あなたに言われたくありませんね」

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眉間に皺を寄せて厳しい顔を作り、早明学園の裏帳簿のコピーを見せながら

17年前から父が早明学園から数回にわたり賄賂を受け取り

新たな学園開発プロジェクトのために国に認可を下すように便宜を

図っていたと詰め寄ります。ここまではまだ冷静さを保ちつつ

険しい顔のまま。そして山田父はここで山田に背を向けます。

父の背中に向かって山田は言葉を続けます。

「この破れたページに何が書かれていたんですか

それは17年前のあの事件(まつやまさん死亡事件)にも何か関わりがあるんですか」

ここで声が震え始めます。

 

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「僕は今でも覚えてます。あなたは隠蔽の指示をした」

少しずつ泣き顔に。

「死んだ人間はどうでもいいと言ったんだ」

荒ぶる声。

「それまであなたを必死に支えてくれた部下の命よりも

自分の利益を取ったんです。

犯罪者はあなたのほうだ」

怒りで顔が歪みます。父は背を向けたまま無言。

答えを求めるように

「何も言わないのであればこの裏帳簿を公表させていただきます。」

ここで父はようやく向き直り

「春彦。お前こんなことがしたくて警察官になったのか」

表情がこわ張る山田。

「やりたければ勝手にやれ

茫然としているとノックの音がして小野田一課長が入ってきます。

ここで父と小野田一課長に挟み撃ちに。

驚く山田に一課長からはさらに追い打ちをかけるような言葉が。

「山田、副長官が受け取ったのはただの政治献金

業生は外務省から一流企業までこの国を支える礎と

なって働いてくれているんだ

副長官は国のためにそのお手伝いをされた

お前のその青臭い自己満足の正義と副長官の行ってこられたことと

どっちが国のためになっているんだ」

小野田の言葉を聞きながらただただ涙を流す山田。

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肩が震え今にもしゃくり上げそうになるのをこらえるように下を向き

唇をかみしめる。

子どもが親に反論して諭されて何も言い返せない悔しさを抱えたような表情。

そこへ父の強烈な一言

「小野田くん、この男連行してくれ。不法侵入だ」

ふり絞るように「ぉ父さん…!」と声を出します。

一瞬驚いたような顔をしたあとに

父はこの世で一番残酷な一言を言い放ちます

「誰のことだ?」

ここから山田は「父さん」しか言えなくなり

ひたすら「父さん!」と呼び続け、最後は小野田一課長に抱えられるようにして

最後は言葉にならない「うぁーーーー!」と叫び声を出しながら連れていかれました。

 

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最初は父を糾弾するつもりで一生懸命ガードを作って対面し

背中を向けられるとどうにかしてこちらを向いてほしい、そして事実は違うと

言ってほしいと願っているように泣きながら怒りを露わにする顔

小野田一課長の言葉に言い返せないままただじっと見つめながら涙が

流れていることにも気づいていないような茫然とした顔

そして父の残酷な言葉によって抑えていたものが一気に溢れて

顔がゆがみ絶望で立っていられない状態で部屋から出ていく姿。

父役の高橋英樹さんと小野田役の香川照之さんというどちらも迫力のある

お二人の俳優さんに対して繊細さと真っすぐさで打ち返す堂々たる姿でした。

いわゆる濃ゆいお二人に岡田くんの中から発せられる清廉さのバランスが

絶妙でした。

 

その後、なかなか口を割らない山田に対し、小野田一課長が直々に取り調べを

行うことになり一課長の部屋に呼ばれます。

ここで山田と小野田が二人きりになりました。

硬い表情の山田に小野田は

「ま、茶でも飲め。ざっくばらんに話そう」と笑顔で語りかけます。

 

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湯呑の蓋をとり、お茶をすすりながら

「取り調べでもずっと黙ってるそうじゃないか。大した根性だ。

誰かに義理立ててもしてるのか」

という小野田

奥歯を噛みしめる山田。(顎の付け根の部分が小さく動いたのが見えました)

小野田はソファに座ったまま山田の方に体を向けて

「山田、取引をしよう」

顔をわずかに動かす山田。

「お前が知りたいのは17年前の事件のことだろう」

眉を少しひそめる山田

立ち上がって捜査一課長のデスクの前に行く小野田

「そこで何が起きお前の父親が何をしたか、私は知っている」

小野田を睨む山田

 「それは歴代一課長の申し送り事項だからだ」

ここで椅子を勢いよくどかす小野田。(椅子の使い方が効果的)

顔を少し上げる山田

小野田がうやうやしく棚を開けると金庫が入っている。

「言っておくがこれはただの箱じゃないぞ」

思わず、という感じで足が一歩前に出る山田

「歴代捜査一課長が太刀打ちできずに

苦渋の末に飲み込んできた敗北の痛みだ傷だ無念だ(たたみかける)

その無念が積み重なって代々引き継がれてきた、巨大な棺桶なんだ」

このセリフの間、小野田と山田の顔が交互に映り

小野田は少し笑顔、山田はふらふらと前に歩みながら顔は金庫を凝視したまま

唇はわずかに震えています。

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「お前がこの中身を見たければ捜査一課長になるしかない

だがお前はこれを見たいだろう。開けてやろうか」

この開けてやろうか、の言い方が少し首を傾げながら顔は笑ってて

子どもに言い聞かせるような言い方で、山田のプライドを逆なでします。

言われた山田は唇をきゅっと真一文字に結び、顔全体が震えています。

涙が今にもこぼれそう。

 

「代わりに教えてくれるだけでいいんだ

横沢はどこにいる?裏帳簿はどこにある?」

笑顔が消える小野田

唇がわずかに開き、眉間の皺はより深く

知りたい気持ちと香坂さんを裏切れない想いの間で葛藤しているようです。

「話してみろ、山田」

歩きながら身体を少しひねりまた笑顔を作る小野田。

(この緩急、香川さんほんとにお見事としか言いようがない

少し唇が開いてしまうのを抑えるように

必死に口を結ぼうとして顔がこわ張る山田

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「お前の知りたいものはあの中にあるんだぞ」

山田を見つめる小野田

「それを言えば父が何をしたのか、本当に教えてくれるんですね。」

顔の皮膚が波打つように動きふり絞るように答える山田

取調室に入ってから初めて声を発しました。

小野田はゆっくりと山田の前に歩み寄り、じっと見つめます。

「山田、この私の目を見ろ。」

笑顔で

「この私を信じろ」とこれ以上ないくらい優しい口調で言います。

小野田の目を見る山田

口は真一文字に結んだままですが、涙が流れわずかに唇の端があがり

微笑んだようにも見えました。

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ここでの岡田くんは完全に受けの芝居。セリフは一行のみ。

動きも大きくありません。父と対峙したときは攻めに行ったところ返り撃ちにあって

ぼこぼこにされるお芝居でしたが

今回はじっくりひたひたと忍び寄る一課長の攻めをじっと耐えて受けるというお芝居。

香川さんの手練手管の前でただ立ち尽くしわずかな表情の変化で山田の気持ちの

葛藤を表現し、香川さんと向き合ったところはしびれました。

 

今回の山田の出番はこの2つの対決シーンが山場で、後半は香坂vs小野田で

クライマックスを迎えました。

小野田は山田に対しては笑顔を交え声を荒げることもほとんどなく諭すように

迫りますが、香坂相手だと声を荒げ挑発し恫喝し指を差し上からのしかかるように

追い詰めていきます。この違いが面白く、なぜ香坂相手だとここまでムキになるのかと

思うほど。何か特別な感情があるのか。

最後に裏帳簿の1枚目の破れた切れ端に書かれた名前が

「香坂敦夫」香坂の父だったことと何か関係があるのか。

「本当の裏切者はお前の父だったんだよ」と至近距離で迫るところは

ギリシャ悲劇を思わせる大仰さがコントにも見えてきて

感心するやらおかしいやらで大変でした。

 

香坂が「山田がしゃべったんですか」と小野田に聞いたとき

「お前が安く値踏みしたお前の絆なぁ、山田だが

結局何にも喋んなかったよ」

このセリフを言うときも「喋んなかったよ」で少し首を傾げる仕草を見せたりして

山田について何かを語るときはどこか子どもを見るような感じになるのは

何なんでしょうかね。

回想で

「話すことはありません。留置場に戻してください」

と泣きながらも毅然とした態度できっぱりと言い切る山田を

「さすが私の運転担当だった男だ」と嬉しそうに言ったり。

香川さんのこの場面での小野田一課長の演技は多種多様な恫喝の方法を

並べてみせてもらってようで、満足度高かったです。

対する香坂の長谷川さんもどんどん表情が崩れて言って

呆れるほどの熱量で、テレビドラマとは思えない舞台のような迫力でした。

 

山田はハードな対決シーンもありつつも基本的にはイタイ人なのは

さんざん書いてきましたが、今回も突っ込みどころがちょいちょいありました。

冒頭、山田が横沢を連れて逃げて大騒ぎになり

自宅謹慎を言い渡された香坂が家に戻ると

「お客さんが来てるわよ」と妻の美佐さんに言われて部屋に入ると

山田と横沢が来ているシーン。

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これは前々回、お中元を贈ってたことが効いてましたね。

「将を射んとする者はまず馬を射よ」と奥さんにできる部下という認識を

植えてまんまと部屋に上がるという。

そして自分のせいで香坂が窮地に立たされているというのに

涼しい顔で「お邪魔してます」とこんなときでも礼儀正しいお坊ちゃま。

 

 

その他、一生懸命眉間に皺寄せて険しい顔してても

ふとしたときに優しい顔になるので、根は純粋で優しい子なのねぇというのが

垣間見えるところもツボでした。何のかんのいってかわいいやつなんですよね。

山田っち。

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香坂さんを伺うように見るところがかわいくて。

 

毎回毎回たくさん突っ込みを入れながら楽しんできた「小さな巨人」も

残すところあと1話。

日曜夜のお祭りもあと1話と思うと寂しいですが

最終回でもいろんな顔を見せてもらえると期待してます。