おうちに帰ろう

心茲にありと

「小さな巨人」最終話 -私的には山田春彦物語

小さな巨人」が終わってもうすぐ1週間。

もっと早く書こうと思ってのに、次の回がないと思うと気が抜けたのか

なかなか書けないままずいぶん日が経ってしまいました。

 

まぁー、一言でいうと駆け抜けた日々って感じでした。

4月10日の先行試写会から始まって

6月18日の最終回まで2か月ちょっと。

毎週日曜日夜はちょっとしたお祭り状態で

その後はオンデマンドで繰り返し見ながら

スクショを撮りまくり、結局全10話で撮ったスクショが2743枚。

いやー、撮った撮った。

こんなにスクショを撮ったのは初めてです。

 

今このブログを書く前にもう一度最終話を見返してたんですが

感動するとか余韻が残るというような感じはあまりないのですが

面白いことは面白い。見てると引き込まれるのはやはり役者さんの

圧が半端ないからでしょうかね。

100%→200%→300%ときて打ち止めかと思いきや

最終話で500%に跳ね上がった小野田一課長の確信。

香坂さんの何度でも覆される推理ならぬ妄想。

そのやり取りの中での小野田一課長の

「キャップは!ここにありました!!」

という迷セリフまで飛び出しました。

大真面目にやってるからこそ爆笑を誘う演技の連続。

クライマックスは第一話で小野田一課長が香坂さんに向かって

「この捜査一課長小野田義信の目を見て言えるのか」と

わざと香坂に背を向けて言ったセリフを

香坂が小野田一課長へのお返しとばかりに

わざわざ後ろに下がって横を向いて明後日の方を向いて

「あなたの正義をこの私の目に見せてください!」

(指をVの字に広げて目を指す)

これは、先行試写会後の舞台挨拶で小野田一課長役の香川さんが

「この”目を見て言え”ってセリフ、毎回あるみたいなんで

面白いからどんどん離れて言ってやろうと思って。

最後にものすごく遠くから言ったら面白いんじゃないか」って

仰ってたのを逆にしたんですね。

面白い演出だなぁと思いました。

 

全10話で解決したのは2つの殺人事件のみ。

その殺人事件に関連した警察組織の陰謀はもみ消されたままという

結末はすっきりしたものではないかもしれません。

警察組織の闇の証拠となる17年前の事件の帳簿の切れ端は

小野田一課長から香坂に渡され

おそらく小野田一課長が所轄から捜査一課長に上り詰めるための

切り札として使ったのがこの切れ端でそれが香坂の手に渡ったということは

今度は香坂がそれを使って捜査一課長に上り詰めるのでしょう。

怪物の座も世代交代です。

 

「我々警察官は法の下に国民を守る

しかしその警察官を守る法律は存在しない。

己を守るためには戦うしかない。」

 

最後のセリフは第一話と同じ。

香坂は戦うための大きな武器を手に入れました。

 

すっかり香坂さんに心酔している山田くんですが

何かあればあっという間に香坂さんは山田を裏切ることでしょう。

かつて香坂さんが小野田さんにされたように。

 

さて、最終話の山田くんですが

憑き物がとれたようなすっきりした顔で

香坂さんと二人で朝のコーヒーを飲むシーンがあり

これまでの険しい表情だけじゃなくようやく普通の青年の顔が見れました。

 

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そして山田父が内閣官房副長官を体調不良を理由に辞任することになり

報道陣に囲まれている父を遠くから見ている顔は

父への復讐から警察官になろうとした駄々っ子のような顔ではなく

父に対して憐みの感情すら持ちながら警察官として全うする決意が

現れたような凛々しい表情でした。

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出世のことしか頭にない一匹狼のエリートから始まり

チームで事件を解決する面白さを覚え

父が関連している事件を知り誰にも言えずに悩んで

一人で何とかしようとして失敗し香坂さんの有難みを知り

父と対面してボロボロになりながらも

香坂さんとの絆を選び、最後は父との確執を乗り越えた山田くん。

このドラマで一番変化を見せてくれたのが山田でしょう。

見ているこちらも今度は何をするんだ?山田?と思いながら

愛しい想いで見守り続けました。(突っ込みも愛あればこそ)

小野田一課長のところに向かう香坂さんに向かって

 

あなたはいつもそうやって背負わなくていいものまで背負ってきた

僕らは組織の中ではとても小さな存在なんです。

ですがあなただけは違う

たくさんのものを背負ってきたあなたの背中は

僕にはとても大きく見えた

それはきっとみんなも同じです

あなたは組織という巨大な怪物に立ち向かえる

小さな巨人なんだ

 

というシーンでは

「タイトルロールを言わせてもらえるような存在になったのね」と

感慨深かったです。(香坂さんにまんまと騙されて…とも言えますが)

 

この「小さな巨人」の山田春彦という役は

岡田将生くんがこれまで演じた役の中で一番世間的に注目された

役だったのではないでしょうか。

低めだけどよく通る声に口跡のよさが際立つ喋り方が

広く認知されたのは大きいのではないかと思います。

舞台を見たことある人であれば岡田くんの声質の通りの良さ

めちゃくちゃ聞き取りやすい話し方を知っていると思いますが

テレビだけだとここまでわからなかったと思います。

その後に出演したバラエティ番組のぐるナイでメニューを読むときに

「いい声!」と声がかかっていたのはこのドラマの影響だったと思います。

大杉漣さんからは「舞台俳優!」って声も)

 

そして何よりスーツ姿の美しさ。

美形であることが必要な役ではなかったけど

見た目の美しさがこのドラマの大きなエッセンスに

なっていたことは確かです。

長谷川さんとの二人で並んだ絵面のはまりようは

大きな魅力の一つだったと思います。

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視聴率もよかったようですし、ぜひ続編、そして山田警部補の華麗なる日常の

スピンオフもお願いしたいところです。