おうちに帰ろう

心茲にありと

映画「銀魂」雑感

(最初にお断りしておきますが長いです。)

 

ジャパンプレミアから待つこと2週間余り。

7月14日に待ちに待った映画「銀魂」公開されました。

 

平日金曜日だったので前々からこの日は会社は休むと決めていました。

朝一の回から舞台挨拶付き2回と合わせて3回

土曜日は前日を反芻するために1日休み

本日日曜日に1回とジャパンプレミアを入れて合計5回見てきました。

 

舞台挨拶の様子はこちらを参照↓

togetter.com

 

ジャパンプレミア後に第一弾感想も書いてるので

そちらもどうぞ。

unatamasan.hatenablog.com

 

まずは映画全体の感想を。

ジャパンプレミアの時はキャスト勢揃いの爆笑の舞台挨拶の余韻もあって

あっという間に終わってしまった感じの映画本編。

改めてちゃんと見てみると、福田監督が原作のイメージに忠実にしたかったと

仰っているだけあって、アニメ劇場版を見返してみたんですが

場面の絵作りもかなり寄せていて、実写だったらもう少し違う表現が

できるんではないか、っていうところもあえてそのままにしているようでした。

カット割りが非常にアニメっぽいんですよね。

いやな言い方をするとちょっと「紙芝居」っぽい場面転換もあったりして

視点があんまり動かないんですよね。

奥行があんまり感じられないというか平面的な画面になっています。

銀時が鬼兵隊の船に乗り込み「宇宙一ばかな侍だコノヤロー!」と

登場するシーンも普通の実写映画だったらヒーローらしく

もう少しかっこよく登場しそうなところを乗り込むところはスパッと映さず

(アニメ版がそうなっている)

いきなり船の甲板に立っているとか、実写ならではの外連味のつけ方みたいなことを

あえてやってないところが却って潔いと思いました。

真選組の出番を多くするための冒頭のカブト狩りエピソードも

無理があるなと思いつつも人気キャラクターである真選組の説明のためには必要で

そこにちゃんと桂小太郎の登場も入れることで、

銀時と桂の関係の説明に続けられるので

映画として成立してるところもうまいなぁと思いました。

 

似蔵と銀時の決着のつけ方も

アニメで見たときもそれまでのやり合いの激しさに比べてあっさりしてるなぁと

思ったんですがそこも忠実。

 

これまでの福田組との一番の違いは予算とのことでしたが、それでもバジェットが

限られてるんでセット組めないと銀魂ビジュアルブックで仰っているので

お金をかけるところを工夫されたんだと思います。

アクション監督は韓国のアクション専任スタッフがついたとのことで

殺陣というより振付のような要素もあり、特に堂本剛さん演じる高杉と

銀時とのアクションシーンはテンポよくリズミカルで流れるようなアクションでした。

似蔵役の新井浩文さんはアクションはほとんどやったことがないということでしたが

背も高いので銀さんとの対決シーンは迫力あり、紅桜に侵食された状態での

やりあいは型にはまってないところが面白かったです。

柳楽優弥くん演じる土方とも対決するし、新井さん、ほとんどアクションしかしてない

んじゃないでしょうか。一番大変そうでした。

 

真選組の3人は鬼兵隊の船に乗り込むやり取りがサイコーで

あれは勘九郎さんじゃないとできない落差ですね。

その勘九郎さん演じる近藤さんをあっさり見放す

土方と沖田も面白かった。吉沢亮くんの沖田の「万事屋のダンナ」って言い方

結構好きでした。土方さんを似蔵に差し出してサムアップする表情もよかったです。

柳楽くんの土方は冒頭の近藤さんとのやりとりが一番好きでした。

初回に見たときには記憶から飛んでたんですが、似蔵とも戦ってて

そうか結構アクションしてたんだなと思いました。柳楽くんにアクションのイメージ

なかったから新鮮でしたね。

 

早見あかりちゃんと安田顕さんの村田兄妹も好きでした。

ヤスケンさん演じる村田鉄矢はとにかく声が大きい役で一本調子になりがちな

大声のセリフを言い続けるって大変じゃないかなぁ。

最後に鉄子にお前はどんな刀を作りたいのかと聞き、鉄子が「守る刀…」と

答えると「なになに聞こえないー」っていう言い方がおかしくて

かなりシリアスなシーンなんですが毎回つい笑ってしまいます。

鉄子については「死なせない!」の言い方はアニメ版とそっくりで

鉄子そのもの!と思いました。あとはこの映画通じて一番笑いが起きるシーンに

絡んでいるところがさすがのコメディエンヌぶりだなぁと思いました。

 

そして銀さんはやっぱりかっこいいなぁと思いました。

傷だらけになるほどかっこいいのはやっぱりヒーローなんですね。

紅桜の花びらが舞い散るシーンに決めポーズで立つ銀さんはどこからどう見ても

かっこいい。これは実写ならではのかっこよさだなぁと思いました。

 

ここからが本題(前置き長い)。岡田将生くん演じる桂小太郎ですが

真面目な顔してエリザベスと並んでて違和感ないっていうだけで奇跡。

岡田くん自身もインタビューでなんでこいつにこんなに真面目なこと言ってるんだろう

って不思議になるって言ってましたが現実味のない二人(一人と一体?)

が並んでるって感じでした。

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冒頭の「助太刀いたそう」からの殺陣のシーンは思ったよりも動きが早く

おお、やるじゃん!と。無駄のない一連の動きはいかにも武士としての

鍛錬を怠っていない桂らしくて、「安心しろみねうちだ」の言い方もかっこよく

要はすべてがかっこいい。

そのあと銀さんとかぶき町を歩きながら終始鼻をほじっている銀さんの

横ででこれまた真面目に話しているところも二人の関係性を表してて

いいシーンでした。「鼻くそをほじりすぎだ」「飛ばすな」「なじますな」の

言い方もテンポよくこの映画の桂の中でクスっとなる数少ないシーンでした。

銀さんに「最近このあたり辻斬りが出るから気を付けろ」に言われて

「辻斬りごときにやられる俺ではない」と言った後にちょっとだけ

見つめあうんですがその間もよかったですね。

お互いに何だかんだいいながらも心配しあう仲という感じが出ていて

いいシーンだなーと思いました。

 

夜の橋の上で似蔵に斬られるシーンは暗闇の中でもはっきりわかる

目鼻立ちのきれいさは白眉。そのあと似蔵が

ありゃほんとに男か。この髪のなめらかさは女みたいだ」という

のも納得。

 

後半はエリザベスが出てきたところで鼓動が高まり、

高杉がエリザベスを斬ったあたりから息を止めて見てしまいます。

前半の長髪姿から短髪になり、着物も薄いグレー地の着物にレザー素材の羽織姿から

濃い青のビロードっぽい生地の着物に薄い水色の羽織にお召し替え。

かなりタイトなスケジュールの頃だったせいか頬がかなりこけていて

肌も白く似蔵さんじゃないけど、ほんとに男性ですか?ってくらいの美しさ。

ちょっと一人だけ発光してるみたいなんですが。(多分ライティングの関係)

 

そのあと追手を交わすちょっとしたアクションがあり、

桂さんのアクションシーンは全体的に動きが早く

あんまり細かいところがわからないんですよね。

これは狙いなのかなぁ。舞台挨拶で「今回はアクションも頑張りました」

みたいなことを言ってましたが、岡田くんとしては多い方だったかもしれないですね。

他の方に比べればさほど多くはないですが。もうちょっと見たかったというのが

正直なところ。

 

桂と高杉との会話が結構長いんですが、ここはもうただただセリフをいつまででも

聴いていたい…と思いました。岡田くんのセリフ回しの美しさがよく出ていて

桂の顔は映らずに別の場面が映される状態で声だけが聞こえているんですが、

耳にすっと入ってくる心地よく説得力のあり低すぎず重すぎず

よく通る声。桂がそこにいる、と思いました。

 

銀魂ビジュアルブックの中で福田監督は

「僕からすると岡田将生の桂小太郎さえハマったら「銀魂」はコンプリート。

(中略)確か最初の方は岡田くんにダメ出しをした覚えがあって。というのも

最初見せてもらったときに、割とかっこよさげなしゃべり方をしていたんです。

実は岡田くんってあれだけイケメンなのにいじられキャラなんですね。

なぜかというと常に真面目だから。そこが彼の面白いところだし、桂もまさに

そういう人。頭が堅くてバカみたいに真面目で「”かつラップ”でさえ真面目に

やるから面白いんだよ」という話をしたら、そこは一流の役者さんだけあって

すぐ汲み取ってくれました。(後略)」

と話されています。

桂小太郎のキャラクターに岡田将生が実体としての息を吹き込んだんだなぁ

と思いました。

 

実際アニメの桂さんはもう少し外連味があるんですけど

岡田くんの桂さんはもっと真っすぐな感じで

いかにも清貧を好む攘夷志士という雰囲気が出ていたと思います。

 

アニメ版ではそのあと高杉はさっさと脱出、残された

銀時と桂で天人と戦う最高にかっこいいシーンがあって

実写化が決まった時からその場面を妄想して楽しみにしていたんですが

そこは銀時と高杉の対峙シーンに変更となりものすごくがっかりしたんでした。

それさえ見られればいいと思っていたくらいだったんですが

しかしそのがっかりを帳消しにするくらい桂さんが美しかったので

続編に期待することにしています。

 

最後、高杉との戦い終わって仰向けに寝ている銀時を

引きずりながら船から脱出するシーンが何気に好きで

銀さんの襟足をつかんでがーっと甲板を走って飛ぶところが後ろ姿だけなんですが

細い体なのに銀さんに何も言わせない強さがあって、桂さんの銀さんへの思いが

伝わってきました。パラシュートで降りていくときに銀さんが

桂にしがみついてるんですが、一度回してる腕の態勢を

つかみ直すところがあってなぜかそこにもグッときました。

細かいところなんですが銀さんと桂さんの近さを感じました

 

途中回想で出てくる攘夷戦争のシーンが

わざとモノトーンでわかりにくい映像にしてるんですが

ちらちら映る桂さんがめちゃくちゃかっこよくて、どこがそんなにいいんだろうと

思ったらハチマキしてるところが好きなのかもって思いました。

こちらはメイキングを楽しみにしております。

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ひとつだけちょっと注文というか、惜しいなって思うのは着物に慣れていないせいか

立ち方と歩き方がちょっとぎこちないというか着物の動きじゃないんですよね。

もう少し腰を落とした胸を張った方が収まりがいいんじゃないかなぁと

思いました。ただ桂の個性を考えるとまぁあんまりふんぞり返っても何だしな…とも

思うので悪いわけではないですが。

 

まだまだ見返したいところがたくさんあり、

あと何回行こうかなぁと考えているんですが

映画はすぐに見返したくてもリピれないところがもどかしくも楽しいですね。

大きいスクリーンで見る岡田将生の姿と声は格別。

まだまだ楽しみたいと思っています。