おうちに帰ろう

心茲にありと

「小さな巨人」始まりました

すっかり更新をさぼってしまい

今年初のエントリーとなってしまいました。

色々書きたいこともそろそろ溜まってきてるんですが

まずは4月16日(日)から始まったTBS日曜劇場「小さな巨人」から。

 

警視庁内部のエリート(捜査一課)と現場(所轄)の対立を描く

このドラマ、主演は長谷川博己さん、その他に

岡田将生くん、香川照之さん、安田顕さん、春風亭昇太さん、芳根京子さん

など様々なタイプの役者さん勢ぞろいで見る前から期待が高まってました。

特に岡田くんはTBSの連続ドラマ初登場ということで製作が発表されてから

どんな役なのか大変気になっていました。

長谷川さん演じる香坂が走ってるところから物語は始まり

警察官職務執行法を読み上げる香坂の独白が入ります。

「警察官を守る法律は存在しない。警察官である自分を守るのは自分しかいない」

そこから3週間前に遡り、香坂、山田(岡田将生さん)、

小野田捜査一課長(香川照之さん)所轄刑事渡部(安田顕さん)、

前捜査一課長の芝警察署長三笠(春風亭昇太さん)

が次々に登場し、警視庁が追っていた犯人を逮捕する現場で所轄刑事の渡部と会い、

事件解決後三笠と香坂が会食しているところへ捜査一課長付運転担当である山田が

報告したことで小野田が現れます。

ここまでだいたい13分くらい。主要人物がほぼ登場、どんな人物なのかざっくり

紹介されました。

その間に今後のドラマのキーワードとなる

「敵は味方のフリをする」「刑事の勘」「捜査は理論」

などの言葉がいろいろな登場人物の口から出てきます。

 登場人物紹介が終わったところで物語が動きます。料亭で所轄刑事の渡部が張り込んでいた人物が現われ、気になった香坂が同僚に調査を依頼するとある自殺した女性と交際していた男性であることがわかり、飲酒運転容疑を口実に職務質問をします。そこで言い合いとなりはずみで男性の車を傷つけてしまいます。

男性はそのまま車で去り、香坂は腑に落ちないまま帰宅。

翌日、ネットニュースで自分が「行き過ぎた調査」として報道され、

人事部の調査で小野田が呼ばれ香坂と自分が会っていて酒を飲んでいたか

との質問に「飲んでいた」と答えたことで香坂は所轄に左遷されてしまいます。

 左遷された芝警察署に行くと、管轄内で誘拐事件が起き、捜査一課の指揮下に所轄が配備され…とここから立場が逆転した香坂と捜査一課陣の対立が始まります。

 あらすじ書いてるだけで長くなってしまいました。実際のドラマはこのあと誘拐事件の解決まで紆余曲折あるのですが、そこは割愛します。

最後、小野田に香坂が宣戦布告したところで第一話が終わるのですが

どちらがいいとか悪いとかどうも単純にいかなそうな気配です。

 

説明が長くなりましたがここから感想です。

とにかく長谷川さんが素敵です。冒頭のスマートなエリートとしてのふるまいから

所轄に異動し、自分たちにできることは足を使うしかないと部下の刑事に訴え

最後は小野田に土下座し、このままでは終わらないと立ち向かう泥臭い姿を見せる。

そのどれもが魅力的でした。挫折するエリートがよく似合いますね。

歩いてるだけどあぁエリートなんだなと思わせる説得力がありはまり役だと思います。

主役として揺るぎない風格もありさすがだなと思いました。

 

香川さんはもう言わずもがな、期待通りの香川さん。何を求められているのか

ちゃんとわかってて長谷川さんとの距離の取り方も絶妙で、いるだけで画面が締まるし

作品の格が上がりますね。

半沢直樹の大和田と比べられがちですが、今回は単純な敵役ではないところが

面白そうです。

安田顕さんは存在感抜群。所轄刑事としての自分のやり方に自信と誇りを持っていて

香坂といいバディになりそうな雰囲気を漂わせてます。

 

人事部の新人警察官役の芳根京子ちゃんはもう少し香坂との関係がわかるシーンが

あったらよかったかなぁと思いました。香坂を慕っている理由が警察犬のブリーダーになりたいと言った自分をバカにしなかったからとセリフだけで説明されていたので

もう少し具体的なエピソードがわかるシーンがほしかったかな。まぁ時間が足りないでしょうね。

 

そしてそして岡田将生くん。

第一話はほとんど背景が語られなかったので将来有望な小野田の腰巾着(と表現されているフォロワーさんがいてうまいなと思いました)程度の存在。

一応、捜査一課代表のような立場で所轄の諫めるシーンがあり

これから対立していくんだろうなということはわかりましたが

ちょっと物足りなかったかな。もっと嫌な奴になってくると面白いなぁと思います。

それでも香坂が捜査一課から去っていく姿を見送るときの表情には

香坂に対してがっかりしたような様子が伺え、所轄刑事の怠惰な姿を見下すような表情には

「あなたはほんとにここでいいんですか」と言っているようにも見えました。

第二話の予告を見ると、もう少し悪い顔になってきてるので期待してます。

最後には山田にも挫折してほしいところですが。

 

ドラマとしては伝統ある日曜劇場にふさわしい密度の濃いエンターティメントだなと

思いました。

前宣伝では小野田が敵役のような描かれ方ですが、

間違ったことをしているわけではなく

香坂も裏切られたと思いながらも、自分がなぜ中田(料亭で会った男。誘拐された社長の息子でもあります)に話しかけてしまったのか、

「捜査は理論です」と冒頭で渡部に言い放っておきながら、刑事の勘によって

動いたことでみすみす出世の道を閉ざしてしまったことを後悔しています。

 

そして小野田捜査一課長は所轄の現場上がりで、香坂の父親とも関係がある。

三笠と小野田は水と油であることを考えると、三笠もいい人そうに見えるけど

何か裏がありそう。

そして誘拐事件の捜査でも所轄が得た情報を捜査一課に流し、

所轄の捜査を邪魔するなど香坂にとってめんどくさい存在である山田は今後の香坂にどんな影響があるのか。

第一話はまだ全てチラ見せで終わっています。

 小野田の真意はどこにあるのか、香坂の父親はどんな刑事だったのか。

そして第一話ではほとんど説明がなかった山田。彼は公式サイトでは

「本来、東大出身者はキャリアといわれる警察庁に入庁することが多い。 しかも彼の父親警察庁次官から内閣官房副長官という官僚のトップに上り詰めた人物だ。そんな山田が、ノンキャリと呼ばれる警視庁を選んだことには理由が。」

とあります。

この理由と香坂はどんな関係があるのか。

これからまだまだ物語は二転三転しそうです。

 誰が敵で味方なのかなど色々想像してしまいますが、あまり先を読みすぎず

毎回自然体で見ていこうと思います。

 

2016年一番掴まれたもの

今年ももうすぐ終わります。

こちらのブログでは色々なエンタメを勝手に応援するという

スタンスで書いていますが、今年を振り返って

自分が一番感銘を受けたというか感動したというか

心を奪われた作品は何だったか考えてみようと思います。

今年見たり行ったりしたイベントは以下の通り

映画:28本

演劇:14本

美術展:88本

サッカー観戦:10試合

その他ライブ:4本

合計:145

でした。およそ2.5日に一回、何等かのイベントごとに行ってる計算です。

美術展に相当偏ってますが、これはやはり時間のやりくりが楽なことと

梯子しやすいということに尽きるでしょうね。

そんな中、今年一番心奪われた作品は何かというと

舞台「ゴーゴーボーイズゴーゴーヘブン」でした。

このブログでも3回も取り上げ、それでもまだ書ききれていないくらい

気持ちが揺さぶられた作品です。

8月13日に大阪森ノ宮ピロティホールでの大千秋楽から4か月以上経過し

記憶も怪しくなってきた12月24日クリスマスイブに

待ちに待ったWOWOWで舞台中継の放送がありました。

放送日が決まってからは絶対にその日までは死ねない!という思いで過ごし

満を持してその時を待ち、心して放送を見届けました。

舞台作品をテレビで放送されるのを見るとき

どこまで私が生で見た感動が再現されるのだろうかと心配になるのですが

今回に関してはテレビの特性を生かして客席では見えない角度からの映像や

細かい表情のアップなど舞台をそのまま映すだけではなく、

別の作品としても成立するような演出になっていて

生で見ているときとまた違った印象になり

これはこれでよかったと思いました。

何より今年の夏のトーイ(とオカザキ)を映像という形で

残すことができたのは貴重です。

この先、再演もあるかもしれませんが、この初演での鮮やかなインパクトは

最初にしかないものですから。

作品だけではなく、今回よかったのは放送に合わせて

作・演出の松尾スズキさんのインタビューがあったことです。

これまでも色々なメディアや公演のパンフレットで

作品のコンセプトなどの記事は読んでいたのですが、

今回のインタビューでは松尾さん自身の舞台や作品についての考え方も語られていて

その内容がとても面白かったからです。

以下、書き起こしになりますが

映像は自然なものを映すメディア。
舞台ってのは作り事の世界なんで
リアリズムってものを写実主義って言葉でとらえるとしたら
写実には興味がなくて
僕の見える世界観に対する説得力ってことが一番重要
おかしな小道具が出てきたりとか
おかしな動きをしたりとかそういうことが
説得力を持って客に伝わるメディアかなって
歌舞伎とかシェークスピアとかそうですけど
元々はもっと不自然な状態で始めたと思うんですよね
そういうとこから受け継がれてた文化なんで
生々しい肉体があるからこそ
シュールなことが表現できるんじゃないかと思うんですよね
写実主義に対するカウンターみたいなものは作っていきたい
日本人が作る表現形態としての演出を
究めていきたい
写実から離れてどこにたどり着くのかっていう段階に来てるのかな
っていう気はしますね

松尾さんの作品は「ゴーゴー~」を含めて3作品しか見てないので

全てが当てはまるかわかりませんが

この「ゴーゴーボーイズゴーゴーヘブン」

について、なぜこんなに惹かれるのかというと

「松尾さんに見える世界観に対する説得力」

がわかりやすい形で表現されていて、

それが私の好きな世界観と一致したからなんだろうと思いました。

そしてリアリズムではなく非日常に対して説得力を持たせられる役者として

岡田将生くんが舞台上に生きる人物を見事に表現したキャラクターに

魅せられてしまったからなんだなぁと納得しました。

この作品における永野とトーイの関係はどこまでもファンタジーで、

男性同士の恋愛を生々しくなくファンタジックに表現できるアイコンとしての

役者岡田将生は抜群でした。

昨今のBL(ボーイズラブ)というジャンルの作品群とはちょっと毛色が違い

どこかクラシックな匂いがしたのは、

竹宮恵子とか萩尾望都といって少女漫画における少年愛をテーマにした作品が

ベースにあり私にとってもホモセクシュアルな内容の話については

そのあたりのイメージしか持ってないので、

松尾さんの描く世界観にものすごく共感できたからなんだと思います。

トーイと永野の二人はどこまでも甘くロマンチックで切なく

男女の恋愛では成立しなかっただろうなぁと思いました。

 

まだまだ考察の尽きないこの作品なので年が明けてもまた

書くかもしれませんがひとまず今年はここまでにしたいと思います。

 

ここまで気持ちを持っていかれると思わなかったので

事故にでもあったような気分なのですが

そのような作品に出会えた2016年は幸せだったなと思いました。

また来年も色んな作品、人に出会って気持ちを揺さぶられたいですね。

 

 

 

 

HIGH&LOWにまつわるあれこれ

昨年秋から始まったドラマを皮切りに

ドラマのSEASON1と2、映画「HIGH&LOW THE MOVIE」、

「HIGH&LOW THE RED RAIN」、アリーナライブのHIGH&LOW THE LIVE

と「EXILE TRIBEがかつてない新しいエンタティンメントに挑戦」という

プロジェクト。今までだったら何の興味も持たない領域なんですが

窪田正孝さんがドラマと映画に出演することになり

理解できるんだろうかという不安を抱えながら、ドラマを見始めました。

とにかく出演者が多くて説明を書き始めると長くなるので

詳しくはこちらでどうぞ。

窪田さんはSWORDの中の「RUDE BOYS」

(キャッチコピーは「無慈悲なる街の亡霊」)のリーダー役。

セリフは少なく表情とアクションが見せ場になりますが

(時々血を吐いたりします)

とにかくかっこよく撮ることに徹しているので、

大変かっこいいし美しいです。ただそれだけです。

とはいえドラマのあとに映画まで作ると聞いたときは

えぇぇーこれ映画でやるのぉー(窪田さんパート以外を見るのがつらぃ…)

と引きましたが、まぁやっぱり見届けねばなるまいと思い

7/18公開初日に行きましたよ。

まぁとにかくEXILE TRIBE(って何?状態でしたけど)の皆さんは人数が多い!

ので、舞台挨拶も人海戦術。全国各地の映画館に映画に出てる出てないに関わらず

散らばって挨拶しまくり。そんなやり方があるんだーとびっくり。

そして映画の内容ですが、とにかく見た後の第一声が「金持ってんなー」でした。

はっきり言ってストーリーとかどうでもいいんです。

ドラマだと各グループ1話で切れてしまうのですが

映画だと繫がって出てくるので次々見せ場が来るところも飽きないですね。

それなりに見せ場も用意してあるし、出演者も競うように

キメキメでキャラが立ってます。鬼邪高校とか達磨一家とか

ほぼ出オチなんですが、掛け声かけたくなるような間を持たせてくれます。

とにかくかっこいいシーンと音楽さえかけられれば、それに合わせたシーンを

作るだけなんです。その割り切りが潔く、かっこいいシーンを撮るためには

金は惜しまない。ハイライトとなる各グループ入り乱れての乱闘シーンは

見たこともないような人数が画面いっぱいで喧嘩します。CGなしです。

痛快のひとことですね。よくぞ集めた、よくぞアクションつけたという感じ。

これを見るだけでも入場料払う価値あります。

 

正直ここで終わってほしかったと思いましたが、その後に各地で開催された

応援上映という方式がこの後の件を救うために用意されていたのかもしれません。

私は行ってませんけどみんなでツッコめば映画的にはいらんシーンでも

楽しくなるよということですね、琥珀さん。

 

そして、10/8から公開された「HIGH&LOW THE RED RAIN」は

登場人物がぐっと減って、雨宮兄弟を中心したお話。

こちらは堂々たるスター映画というかアイドル映画。ここまでスター中心主義

の映画も昨今なかったのでは。アップとストップモーションを多用し

雨宮兄弟を演じる登坂広臣さんとEXILE TAKAHIROさんをこれでもかと

かっこよく撮ることに徹しています。

「壁だと思え」という名言まで飛び出し、もう細かいことは何も言うまい

という気分になります。

 

THE MOVIEとRED RAINの間にTHE LIVEがあり、東京ドーム、京セラドームで

行われたライブを全国の映画館で同時生中継で上映されました。

そこまでハイローの世界にはまっていたわけではないのですが

恐らくこの機会に見なかったら2度と見ることもないだろうと思い

映画館に行ってみました。

4時間にも渡るライブを映画館で延々見るというのもなかなかない経験。

私は途中飽きちゃったのですが

(カメラワークの影響もあったかな。ちょっと単調でした)

アリーナに客を入れずにパフォーマンスエリアとして使う演出はダイナミックで

これは東京オリンピックでなんかやるに違いない、と確信しました。

(知らんけど)

ジャニーズの方々とは全く違う方向性でマッチョさを隠さない彼らのパフォーマンスは

野心的だし、正直それほど心惹かれるわけではないけど

とにかく天下取るぜ!というギラギラさには感服しました。

ほんとに気づけばEXILEに包囲されるんじゃないかな。

 

ライブは彼らの主戦場だったと思うのですが

映画でも結果を残し、かつ映画の可能性を広げたということが

このプロジェクトの大きな成果だったのかなぁと思います。

全ての映画がこうなったらそれはそれで困りますが

楽しみ方の一つとしてアリだったということでしょうかね。

 

窪田さんがいなかったら足を踏み入れることもなかったと思うので

貴重な経験をありがとうという気持ちです。

 

 

 

 

9月のまとめ

更新が滞ってしまったので9月分のまとめとして。

<美術展>

しりあがり寿 回転展@練馬区立美術館 9/3

古代ギリシャ展時空を超えた旅@東京国立博物館平成館 9/10

・メッケネムとドイツ初期銅版画@国立西洋美術館 9/18

  15世紀後半にライン川下流地域の町で活躍したメッケネムと彼がコピーした

  デューラーの作品を集めた展示会。銅版画の作品なので、

  全体的に地味目なのですが、当時の庶民の様子などもわかり

  北方ルネサンスの誕生に繫がる細密な表現が見られて面白かったです。

  どちらかというと画家というより職人の作品群という感じ。

・ポンピドゥーセンター傑作展@東京都美術館 9/19

  20世紀アートを巡る旅。1年1作品で1906年から1977年まで展示。

  60年余りで表現方法が増えて、アートの存在価値も大きく変わったことがわかる。

  時代が近くなるほど理解するのが難しくなるのはなぜなのでしょう。

ルーブル美術館特別展 漫画、9番目の芸術@森アーツセンターギャラリー 9/22

  フランスで第9の芸術と呼ばれている「バンド・デシネ(漫画)」と

  ルーブルがコラボした作品の展示会。毎年ルーブルではルーブルをテーマにした

  作品制作を選ばれた一人の作家に依頼しているとのことで、その中から

  16作品が公開されました。日本人の漫画家さんの作品も展示。一番有名なのは

  ジョジョの奇妙な冒険荒木飛呂彦さんでしょうか。「岸田露伴ルーブルへ行く」

  が飛び出す絵本のように展示されてました。バンド・デシネと呼ばれる作品群

  は初めて見たのですが、日本の漫画とはちょっと趣が違い、装丁もイラスト集の

  のような感じで、スノッブの方たちが楽しむようなものという印象。発行部数も

  全然違うしね。

国芳ヒーローズ 前期@太田記念美術館 9/24

  バンド・デシネには現代の漫画より国芳の浮世絵の方が近いかも。

  また少年漫画の原型とも言えて国芳の人気の高さに納得。

  水滸伝の登場人物を描いた「通俗水滸伝豪傑百八人之一個」を前後期で一挙展示。

  とにかく派手で賑々しい。一枚の絵に入ってる情報量が多くて、構図と色の使い方

  が独創的。たくさん見るとちょっと胸やけがするくらい。

・浮世絵 六代絵師の競演@山種美術館 9/24

  六代絵師と謳ってますが、広重の東海道五十三次が中心。今年はサントリー美術館

  太田記念美術館でそれぞれ「名所江戸百景」「六十余州名所図会」

  「富士三十六景」とともに東海道五十三次も見ているので2度目だったんですが

  何度見てもいいものはいいですね。あとは貴重な写楽と歌麿様の美人画など。

  鈴木春信の素朴な浮世絵もよかったです。

ということで、8月にあまり行けなかったのと9月で会期終了の展覧会も多かったので

頑張って7件ほど行きました。

美術展のいいところは時間に縛られずに自分の行きたい時間に行けるところなんですよね。だからつい映画よりも美術展に行くことを選んでしまいます。

<映画>

君の名は。9/4

ハドソン川の奇跡 9/25

  上映時間96分というのがまず素晴らしい。記憶に新しい

  最近の出来事なので余計な説明はせず、ハドソン川に着水し乗客乗組員が

  無事脱出するまでをドキュメンタリーでも見るように音楽なしで一気に見せて

  その上で容疑を覆す説得力を持たせるのはイーストウッド監督の職人芸と

  トム・ハンクスの演技力のなせる技。お見事でした。

ということで映画は2本。ちょっと少なかったかなぁ。

<舞台>

・娼年 9/1

こちらは1本。ふむ。

<サッカー観戦>

FIFAワールドカップロシア大会 アジア最終予選 

 日本vsUAE埼玉スタジアム2002 9/1

このブログを書き始めてから初のサッカー観戦ということにまずびっくり。

行かなくなったなぁー、サッカー。そろそろ三ッ沢にもうちょっと行きたい。

この試合に関してはもう何もコメントしたくないので省略。

負けて埼スタから帰るのは死ぬほどつらいということはよくわかりました。

 

もうすでに10月も3分の一が過ぎようとしてますね。また後日更新したいと思います。

 

 

 

 

 

特別展「古代ギリシャ -時空を超えた旅」

東京国立博物館平成館で開催されている特別展「古代ギリシャ 時空を超えた旅」

に行ってきました。

古代ギリシャと言っても紀元前7000年の新石器時代まで遡り(第一章)

その後、クレタ島を中心に発展したミノス文明(第二章)

ギリシャ本土のミュケナイ文明(第三章)

幾何学様式~アルカイック時代(第四章)

アテネで民主政が確立したクラシック時代(第五章)

古代オリンピック(第六章)

マケドニア王国(第七章)

ヘレニズムとローマ(第八章)

とかなり長きに渡る歴史の流れを8ブロックに分けて展示されていました。

おそらく一般的に頭に浮かべるギリシャのイメージはクラシック時代の遺跡が

多いかもしれません。有名なパルテノン神殿はこのあたり。

いやぁ、正直ここまで長い時代がカバーされてるとは思わず

作品の多様性に驚きました。

第一章は新石器時代の銅鐸や原始的な石像など。このあたりはいかにも

古代という感じ。

第二章のミノス文明になると絵付された陶器などが目を引きます。

クレタ島を中心とした海洋文明らしく、タコ柄の壺などユーモラスなものが

はっきりと絵柄がわかる状態で残っています。すごいなぁ。

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乾燥している土地ならではなんでしょうか。紀元前1400年頃とは思えない。

日本だと縄文時代あたりですかね。

同じく海洋文明が発展したサントリーニ島(テラ)からは色鮮やかなフレスコ画。

ポスターやチラシに大きく掲載されてますね。

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火山灰の下に埋もれていたからなのか保存状態がいいらしいです。

サントリーニ島は12年ほど前に訪れていますが、遺跡巡りなどはほとんど

しなかったので初めて見ました。もっとちゃんと見て来ればよかったなぁ。

 続くミュケナイ文明期の展示は銅剣や黄金の装身具やボタンなどが

多く展示されてました。金細工もかなり細かい文様が入っていて

高度な技術を持っていたことが伺えます。

このあと暗黒時代(いつも思うんですが暗黒時代って何なんでしょうね?

多分遺跡等が残ってなくて検証できない時代があるってことなんでしょうが)

を経て幾何学様式アルカイック時代として、ギリシャが各地と交流を持つなかで

影響を受けたと思われる幾何学文様の甕やアルカイックスマイルの石像などが

並んでいました。

このあたりからだんだんギリシャのイメージに近いものが出てきました。

第五章のクラシック時代になると都市国家が成立し、民主政も確立、

演劇や哲学が盛んとなり、パルテノン神殿などが建てられました。

アクロポリスの丘近辺から出土した石像や陶片追放などに使われた政治家の名前が

書かれた陶器の欠片などが展示されていて、この頃には芸術も政治もかなり

出来上がっていたことが伺えました。

第六章は少し趣向が変わって古代オリンピックに因んだ作品群を

多数展示。競技する選手の像や競技中の様子が描かれたアンフォラなどが

見ることができます。

実際このあたりまで見るだけですでに結構へとへとでした。あと2章~!

第七章はマケドニア王国。今ではマケドニアというと旧ユーゴスラビアから独立した

国という印象ですが、元々はギリシャ王国の中心だったのですね。

金山があったらしく、金の装飾具やコインなどが展示されていて

中でもギンバイカの金冠は細工がとても繊細で美しかったです。

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そして第八章はヘレニズムとローマ。アレクサンドロス大王の死後のヘレニズム時代

ギリシャ芸術は各国へ影響を与え、ギリシャ芸術そのものも円熟してきた頃。

その後ローマに征服されますが、ローマ時代の芸術はギリシャから影響を受けたものが

多いようです。

ギリシャ人風のひげや髪形をしたローマ人の頭部の石像などが残っていました。

美しかったのはイルカに乗ったアフロディテ像。これは会場の入り口に

展示されているのですが、ギリシャ文明がエーゲ海を中心に広がり芸術性も

合わせて高まっていった象徴のように思えました。

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 と、まぁ駆け足で振り返りましたが、ギリシャ文明について

知識がほとんどないことが残念でしたが、それでもかなり楽しめました。

ポンペイの遺跡を見た時も思いましたが

人間の暮らしに必要なものはすでに3000年前くらいに基礎はできあがっていて

あとは少し便利になったりやり方変えたりとアジャストしているだけんですね。

演劇も音楽も文学もスポーツも人が生きていくためにはなくてはならないもの

としてずっと存在しているんだと思うと

役者さんやミュージシャンやアーティストやスポーツ選手ってすごい職業なんだなぁ

と改めて思う次第。

やっぱりそういう人たちをずっと応援していきたいなと強く思いました。

 

舞台「娼年」

2016年9月1日舞台「娼年」マチネ公演@東京芸術劇場プレイハウス

に行ってきました。

テレビのインタビューで主演の松坂桃李くんが「濡れ場が10回ある」と

言っていたのでそれなりに心構えをして見に行きました。

実際の舞台の上では「濡れ場」という響きが控えめに思えるほどの

肉体表現が繰り返されていました。

 

女性に興味もなく、セックスは退屈、と語り、大学にも行かず

下北沢のバーでバーテンをしている無気力な若者、領が

ホストの友人が店に連れてきたボーイズクラブの女性オーナー(高岡早紀さん)

にスカウトされ男娼となって客とのセックスで自分を見つけていく物語。

ざっくり言うとそんなお話しです。10回の濡れ場というのは

最初に男娼になるためのテストでセックスしたオーナー静香の娘咲良

、客の女性たち、男娼の同僚、静香を合わせた男女合計10人との絡みでした。

実際には全員とセックスするわけではなく、手を握るだけでいっちゃうという

70歳のご婦人(江波京子さん!)や排尿しているところを見てほしい女性客

も含まれているので本格的にセックスしているのは8回かな。

回数はともかくそれぞれのセックスシーンは十人十色といいますか

人の嗜好は様々でそれに合わせて表現を変えるのは大変だろうなぁと思いました。

手順というか段取りを覚えて、いかにもその通りにやってます

というんじゃなくて、本気で感じてるようにやらなきゃならないし

音(さすがにあの時の音はリアルではないと思うので)にも合わせないと

いけないし、アクションの型を覚えるようなものなのかなと

「ほんとにやってんじゃないの?」

と思うような光景を目の前にしながら考えていました。

 

ストーリーとしてはもっと肉体表現に徹してもよかったんじゃないかな。

原作は未読なのですが、主人公の領の母親も娼婦で、仕事の帰りに

心筋梗塞で倒れて亡くなったという設定で、寂しさが長いこと

埋められなかったが、身体を重ねることで、本来の自分を取り戻せた

ことになっています。

セックスで自分を取り戻すというようなお話し健全なので、

そこで終わってくれた方が気分的には清々しい気がしました。

最後、領が静香に愛を告白し、HIVに感染して余命数か月となった静香と

セックスした後、静香は亡くなるのですが

その件はいらなかったかなぁ。

突然、話がメロドラマになってしまって、興醒めしてしました。

それまで愛だの恋だのといった感情ではなく、身体を通したコミュニケーション

によってお互い通じ合えるということを伝えてきたのに

ここでいきなり愛を語ります?って感じ。

 

もっと身体性を突き詰めて語った方がかっこいいと思うし

見終わった後に爽快感が残るように思います。

乾いた話に徹したほうが表現がねっとりしているだけに

バランスが取れたんじゃないかなと。

 

とはいえ、文字通り身体を張った桃李くんはあっぱれだし

今しかできないというのはその通りだと思うので

頑張ったなぁと拍手を送りたいです。

途中からどんどん桃李くんがきれいになっていくのを見るのは

楽しかったです。

女優さんたちも全く手加減なしで向かってくるので

一人で10人相手するってほんとに消耗戦だと思うのです。

マチネとソワレ合わせたら1日に20回でしょ。

若くなきゃできないってもんですよ。

 

おそらく再演もないと思うので、今この時に見ておいてよかったなと

思いました。

 

しりあがり寿の現代美術「回・転・展」

練馬区立美術館で9/4までの会期で開催されていた

しりあがり寿の現代美術「回・転・展」に駆け込みで行ってきました。

 

漫画家として知ってはいても現代美術でどんなものが展示されているのか

正直よくわからなかったのですが、何か面白そうかなという軽い気持ちで

見に行きました。

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漫画の原画や大きな布地に描かれた墨絵が1F、

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2Fには展覧会名そのものの

回る回る作品群。

チラシにも出ている象徴的なヤカンからダルマ、アート、領収書から下着、

食べ終わった惣菜のパックなどゴミになるようなものまでが

お花畑のように並べられて回ってます。

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回ってるとゴミがアートになる不思議。

その他、カセットテープやレコード盤、歴史の一場面(江戸城開府)のジオラマとか

歴史は回るというコンセプトらしくいろいろなものが回ります。

回転道場という作品ではとにかく同じ場面が延々と続く映像が。

共演は緒川たまきさんという本格的なもの。

 

前に進むでもなく止まるでもなく回れっていうのがいいですね。

とにかく回ってれば何とかなるってことでしょうか。

回りすぎると目が回っちゃうけど。

 

このあと刈谷市美術館、伊丹市美術館に巡回するそうです。

みどころ | しりあがり寿の現代美術『回・転・展』