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舞台「娼年」

2016年9月1日舞台「娼年」マチネ公演@東京芸術劇場プレイハウス

に行ってきました。

テレビのインタビューで主演の松坂桃李くんが「濡れ場が10回ある」と

言っていたのでそれなりに心構えをして見に行きました。

実際の舞台の上では「濡れ場」という響きが控えめに思えるほどの

肉体表現が繰り返されていました。

 

女性に興味もなく、セックスは退屈、と語り、大学にも行かず

下北沢のバーでバーテンをしている無気力な若者、領が

ホストの友人が店に連れてきたボーイズクラブの女性オーナー(高岡早紀さん)

にスカウトされ男娼となって客とのセックスで自分を見つけていく物語。

ざっくり言うとそんなお話しです。10回の濡れ場というのは

最初に男娼になるためのテストでセックスしたオーナー静香の娘咲良

、客の女性たち、男娼の同僚、静香を合わせた男女合計10人との絡みでした。

実際には全員とセックスするわけではなく、手を握るだけでいっちゃうという

70歳のご婦人(江波京子さん!)や排尿しているところを見てほしい女性客

も含まれているので本格的にセックスしているのは8回かな。

回数はともかくそれぞれのセックスシーンは十人十色といいますか

人の嗜好は様々でそれに合わせて表現を変えるのは大変だろうなぁと思いました。

手順というか段取りを覚えて、いかにもその通りにやってます

というんじゃなくて、本気で感じてるようにやらなきゃならないし

音(さすがにあの時の音はリアルではないと思うので)にも合わせないと

いけないし、アクションの型を覚えるようなものなのかなと

「ほんとにやってんじゃないの?」

と思うような光景を目の前にしながら考えていました。

 

ストーリーとしてはもっと肉体表現に徹してもよかったんじゃないかな。

原作は未読なのですが、主人公の領の母親も娼婦で、仕事の帰りに

心筋梗塞で倒れて亡くなったという設定で、寂しさが長いこと

埋められなかったが、身体を重ねることで、本来の自分を取り戻せた

ことになっています。

セックスで自分を取り戻すというようなお話し健全なので、

そこで終わってくれた方が気分的には清々しい気がしました。

最後、領が静香に愛を告白し、HIVに感染して余命数か月となった静香と

セックスした後、静香は亡くなるのですが

その件はいらなかったかなぁ。

突然、話がメロドラマになってしまって、興醒めしてしました。

それまで愛だの恋だのといった感情ではなく、身体を通したコミュニケーション

によってお互い通じ合えるということを伝えてきたのに

ここでいきなり愛を語ります?って感じ。

 

もっと身体性を突き詰めて語った方がかっこいいと思うし

見終わった後に爽快感が残るように思います。

乾いた話に徹したほうが表現がねっとりしているだけに

バランスが取れたんじゃないかなと。

 

とはいえ、文字通り身体を張った桃李くんはあっぱれだし

今しかできないというのはその通りだと思うので

頑張ったなぁと拍手を送りたいです。

途中からどんどん桃李くんがきれいになっていくのを見るのは

楽しかったです。

女優さんたちも全く手加減なしで向かってくるので

一人で10人相手するってほんとに消耗戦だと思うのです。

マチネとソワレ合わせたら1日に20回でしょ。

若くなきゃできないってもんですよ。

 

おそらく再演もないと思うので、今この時に見ておいてよかったなと

思いました。