おうちに帰ろう

心茲にありと

美を結ぶ。美をひらく。

 

 昨年リニューアルオープンしたサントリー美術館の記念展の第三弾「美を結ぶ。美をひらく。」展に行ってきました。

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コレクションの中から6つのストーリーに合わせて展示されています。

Story1: ヨーロッパも魅了された古伊万里

 古伊万里はこれぞ古伊万里というような色付けも華やかで装飾が凝ってる作品が多くヨーロッパへの輸出用に製作されたこともありワインやコーヒーを注ぐためと思われる形のものもありました。中国が政情不安になったことからその代わりに日本からの輸入が増えたということなので最初のうちは中国の作品を意識した模様から少しずつ松などのモチーフを取り入れた日本的な要素の作風が確立して柿右衛門様式などが誕生したのかなと思います。

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脚が踊る男女になってるところが楽しい。注ぎ口があります。

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底裏に「元禄■年 柿」銘を持つ元禄柿で伝世例はわずかだそうです。「柿」とは柿右衛門の銘を言われてるとのこと


Story2: 将軍家への献上で研ぎ澄まされた鍋島

 鍋島はとにかく青の濃淡と細かな文様を細部まで描き込んだ作品が素敵でした。古伊万里のような華やかさはないのですが緻密に計算された手仕事が素晴らしいと思いました。

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ため息が出るほど美しかったです。隅々まで凝ってます。

Story3: 東アジア文化が溶け込んだ琉球の紅型

 紅型は染付された布地は沖縄土産でよく見ますが型紙を見るのは初めてで今では作り手がいないほどの高度な技量を使っていて彫刻作品を見るような感覚で見入ってしまいました。仕事が細かい!!

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型紙ですが切り抜いた型を細い糸で繋いでます。気が遠くなるほど細かい!

Story4: 西洋への憧れが生んだ和ガラス

 和ガラスはポルトガルやスペインからもたらされたものが日本の生活習慣に根付いて発展して「びいどろ」「ぎやまん」っていう響きがなんとなくオシャレ心をくすぐる感じでいいですね。簪だったり簾のようなものだったり身近なものに取り入れられてて昔から洒落のめした人たちが愛用してたんだろうなぁって思います。薩摩切子のグラスも美しかった。

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透かし模様が洒落てる簪

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巻き簾?奥にあるのは軸端という軸物を止める道具だそう


Story5: 東西文化が結びついた江戸・明治の浮世絵

 浮世絵は喜多川歌麿の蚕から糸を紡いで機織りをする女性の姿を描いた十二枚連作「女職蚕手業草」(今回の展示では後半の6枚)が生き生きと艶っぽくて歌麿さまの美人画は好きだわーってなります。今回初めて見た小林清親の作品は暗闇と灯の描き方が江戸時代の浮世絵に比べて抒情的でとてもよかったです。

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安定の歌麿さま。美人画歌麿が一番好きです。

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とても抒情的な小林清親作「柳原夜雨」



Story6: 異文化を独自の表現に昇華したガレ

最後のエミール・ガレのコレクションが充実していてティーテーブルや飾り棚のような家具とランプや花器のガラス製品がありましたが自然の草花や蜻蛉やバッタを題材にした作品がとてもとても素敵でした。ジャポニズムに影響受けたものもあり日本の花鳥図を思わせるような描き方の作品もありました。綺麗だったなぁ。

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バッター!!

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色合いが綺麗

 

平日の午後という時間帯もあってかとてもゆったりと鑑賞することができました。

 

サントリー美術館の次回展示会は「サントリー美術館 開館60周年記念展 ミネアポリス美術館 日本絵画の名品」

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ですね!!かなりの大作が日本に里帰りするので楽しみです。無事にアメリカから到着することを祈っています。