博物館でお花見を2021
昨年は開催できなかったので2年ぶりとなる東京国立博物館<トーハク>でのお花見に週末の土曜日に行ってきました。ちょうど庭園の桜も見頃を迎え天気もよくてお花見日和。
ただ庭園は通行止めの区域が広く本館1Fバルコニー前面の池の前までしか入れませんでした。ちょっと寂しかったけど池の水面に桜が映えてうららかな雰囲気でした。
(ちょうど今日知ったのですが工事は完了し4/1から全面開放とのこと。桜の満開の頃に合わせたのかもしれないですねぇ。今年は桜が早かった)
長期間工事を行っていた本館北側の庭園を4/1(木)より、全面開放いたします。
— トーハク広報室 (@TNM_PR) 2021年3月29日
リニューアル後の庭園は、園路を新しく舗装したことで、より歩きやすくなりました。年間を通して開放していますので、季節の花々や草木をご覧いただきながら、ぜひ散策をお楽しみください。https://t.co/xn0KCrGKo3 pic.twitter.com/ZDZr0pnyt5
桜をモチーフにした作品がたくさんあって見どころがもりだくさん。
アプリをダウンロードするとクイズ形式のスタンプラリーがあって桜マークのついてる作品の箇所でクイズに答えて正解するとスタンプがもらえる。
全部で6か所あってすべて埋まるとおめでとう画像がもらえます。真面目にやってしまった。
さくらモチーフ以外にも今回は興味深い作品がたくさんありました。
庭園を見た後、本館2Fを回るいつものコースで見た順番からあげていきます。
- 和紙懐紙 後奈良天皇筆(本館 3室 宮廷の美術ー平安~室町)
国宝室もすっ飛ばして3室からかよ!すいません。国宝の虚空蔵菩薩像はもちろん素晴らしかったです。
後奈良天皇は後柏原天皇の第二皇子で名は友仁。署名にある方仁とは正親町(おうぎまち)天皇のこととのこと。幼い天皇に代わって父帝である後奈良天皇が筆を執ったものらしいです。解説文に当時の朝廷は困窮し即位もままならなかったとありますが、そういえば先日まで放送していた大河ドラマ「麒麟がくる」でも御所の塀が壊れているのに修理もできず何年も放置されてるって描写がありました。正親町天皇は坂東玉三郎さんが演じてらして存在感が抜群でしたねー。
室町時代の禅僧霊彩の作品です。作品数も多く残っていないようですが鎌倉の円覚寺に由来しているらしく関東の禅僧のようです。初めて見る作品ですが線の美しさと文殊菩薩の表情、とぼけた獅子の表情などとても心惹かれる作品でした。
今回の禅美術は関東の水墨画シリーズでした。謎の多い一之の作品と伝わっているもの。いやーなんかいいですね。ゆったりした表情といい波打つ衣に渦巻く川といい、すでにデザインが完成されつつあります。これ15世紀の作品ですもんね。素晴らしいなぁ。
- 山水人物図 仲安真康筆(本館3F 禅と水墨画―鎌倉~室町)
関東水墨画シリーズは掘り出し物って感じがしました。いや私が知らないだけですけど。水流の表現は一之とも共通し、その関係の注目され、関東水墨画の中心的存在の祥啓の師匠ともいわれますが確かな経歴は不明とのこと。解明されてないことが多いんですね。そんな謎めいたところも惹かれます。
- 大原御幸図屏風 長谷川久蔵(本館7室ー屏風と襖絵 安土桃山~江戸)
長谷川等伯の息子久蔵の作品。25歳という若さで急逝したため現存する作品が少ないので貴重な一品。父親を超える才能があったとも言われる久蔵ですが確かに等伯とは違った華やかさと繊細さを感じる作品ですね。どちらかといえばやまと絵の影響が大きいような。個人的には後白河法皇と建礼門院徳子がひそかに平家を弔っているという構図がエモくて好きだなぁと思った作品。
- 源氏物語図屏風 絵合・胡蝶 狩野<晴川院>養信(かのうせいぜんいんおさのぶ)
木挽町狩野家9代目狩野<晴川院>養信の作品。葛飾北斎と同時代ですかね。江戸も後期なので青の顔料の鮮やかさが印象的。
この時代に源氏物語の屏風絵を依頼するのは誰なんだろう?と思ってしまいますね。庶民の感覚との乖離を感じてしまうなぁ。人気の画題なんでしょうけど。
- 草花屏風 喜多川相悦
以前、メアリー・カサット展で彼女が影響を受けた作品として喜多川相悦の屏風絵が展示されていたのを見てそのときは歌麿じゃないんだと思ったんですが(歌麿の浮世絵も一緒に展示されててややこしかった)全然関係なく、むしろ俵屋宗達の系譜のようです。なるほど琳派に繋がる作風だと思いました。たらしこみや没骨(もっこつ)を駆使した表現がよかったなぁ。
- 流水四季草花図屏風 酒井抱一 (本館8室 書画の展開 安土桃山~江戸)
そして琳派継承者の酒井抱一の屏風絵。水流の表現は図式化されていて草花は写実的。そのバランスがとてもとても美しい。酒井抱一さまの作品は心が洗われます。涼やかでこちらの気持ちがスッとします。
- 春草図 村越其栄
抱一さまの屏風の横には抱一の弟子鈴木其一に師事した村越其栄の春草図。抱一から見れば孫弟子?でしょうか。たんぽぽや桜草、竜胆など可憐です。この並びよいなぁ。
土佐派から住吉派を起こした如慶の代表作とのこと。徳川四代将軍家綱の正室高厳院のために描かれたものだそう。土佐派らしい優雅な絵巻物。じっくり見ると着物の柄や庭の草花、室内の屏風絵など細かなところまで仔細に美しく描かれてて見入っちゃいます。先日の根津美術館にあった如慶の弟子具慶の源氏物語屏風絵に繋がりますね。具慶は5代将軍綱吉に仕えて御用絵師に返り咲いたということなので、如慶の頃から将軍家との繋がりができてたんですね。ふむふむ。
- 徳川斉昭 書状
先ほどの「麒麟がくる」に続いて大河ドラマネタ。今放送中の大河ドラマ「青天を衝け」にも登場する徳川斉昭の書状。当時としては珍しい鉛筆書きです。送った相手は林復斎という儒学者でペリーとの条約交渉も行った人物とか。ドラマには登場しないですけどね。斉昭は攘夷思想の持主でしたが異国のものは積極的に取り入れて進歩的だったのですね。
ここまでが総合文化展の常設展示で気になった作品。
他にも「博物館でお花見」と同時開催で4/13から開催予定の特別展「鳥獣戯画のすべて」に合わせた「鳥獣戯画スピンオフ」
もという企画ものもあり動物モチーフの作品もフィーチャーされててあっちにもこっちにも見るべきものがあって思った以上に見て回るのに時間がかかりました。鳥獣戯画楽しみだなぁ。模写で甲乙丙丁の全4巻が展示されてたのでいい予習になった。甲巻がやっぱり一番楽しみです。日時予約券が出るからあほみたいな行列ができることはないだろうけど絵巻物はじっくり見るのは至難の業だからなぁ。体力温存して臨まねば。
最後にVRシアター洛中洛外図屏風舟木本を鑑賞。岩佐又兵衛の変態っぷりがよくわかった。また公開されるときが楽しみ。
なんだかんだで途中休憩しつつ3時間くらいいました。それでも毎回駆け足になってしまう。VRシアターのフロアにあるクメール彫刻も毎回じっくり見たいと思っているのに。(カンボジア行きたいよぉ)
桜だけじゃなくてすでに躑躅も咲き始めているトーハク。また来ますわ。