「ニンゲン御破算」感想①ー初日を見終えて

松尾スズキ作・演出の舞台「ニンゲン御破算」@Bunkamuraシアターコクーン

の初日に行ってきました。

 

2003年に中村勘三郎(当時勘九郎)さんのために松尾さんが書き下ろした

「ニンゲン御破産」をタイトルを1文字変更して再演。

勘三郎さんの役を阿部サダヲさんが演じ、阿部さんが演じていた灰次を

岡田将生くんが演じています。

幕末を舞台にした松尾さん唯一の時代劇だそうで、

武家の生まれだけど歌舞伎戯作者になりたい実之介(阿部さん)

武士になりたいマタギの兄弟黒太郎と灰次(荒川良々さん・岡田くん)

二人の幼馴染で吉原に売られていく旅芸人崩れのお吉(多部未華子さん)を中心に

場面転換も多く、実之介の妄想と現実が入り乱れて

今私が見ているのはどっち??と見ている側もついていくのが

大変な構成ですが、あまり深く考えずとにかく勢いのままに

身を任せて見ているとあっという間にラストになります。

最後はびっくりな展開で驚きました。

岡田くんが最後にどんでん返しがあり最初のシーンから思い返したくなると

コメントしてましたがまさにその通り。え?じゃああのときは…?などと

次に見るときのお楽しみになりました。

 

これまで見たことある松尾さんの作品は「ラストフラワーズ」「キレイ」「ゴーゴーボーイズゴーゴーヘブン」「業音」の4作品でこれが5作品め。

あまり多くはないのですが「業音」を除くと小劇場テイストの何でもありのナンセンスなお芝居をお金をかけたな商業演劇のスケールでやってるなぁという印象でした。

今回はさらに歌舞伎の要素も加わりシアターコクーンが昔の芝居小屋になったよう。

始まったばかりなのでストーリーには多くは触れませんがとにかく人の出入りは多いわ

場面転換は多いわ水に落ちるわでえらい騒ぎです。

れでも初演時よりも水落ちは減ったようですが。

「ゴーゴーボーイズゴーゴーヘブン」に続き綾音さんたちの和楽器長唄の生歌・生演奏が随所に入るのも贅沢。

ダンスに殺陣、大立ち回りと役者さんたちも舞台中心に据えられた階段を上がったり下りたり、客席の通路を走ったりととにかく動きが多い。

 

武家の家に生まれたけど戯作者になりたい実之介の妄想から始まったと思えば

桜田門外の変やハリスの通訳ヒュースケンが出てきたりと史実も入りますますカオス。

 

そんな目まぐるしい舞台で岡田将生くんはマタギの兄弟の弟の方、

猪ともヤッちゃう暴走野郎灰次をキレッキレに演じてます。

冒頭は官軍に追われている彰義隊に加勢するために客席から登場。

なぜかてっぺんに小鳥が乗っている笠を目深にかぶり一見渋め。

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前ブロックの席だったため後ろから台詞が聞こえてきてふぉ!!となりました。

最初の口上のシーンではいつもの肩を前からぐいっと押されるような

伸びのある声ではなくやや抑えめの声で

初日だしちょっと緊張しているのかなという印象。

その後、時代が遡って幕末のとある村で兄弟が武士になるために

画策しているシーンになり衣装は武士の袴姿からマタギの村人風の恰好に。

股引風なズボン?の上に短めの着物を重ねて顔も少し黒く汚しが入り

頭にはバンダナ、首には手ぬぐい的な巻物。

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これが思った以上にハマってました。前髪は地毛?っぽいけど後ろは恐らくウィッグをつけていると思われる緩くウエーブのかかった肩上の長さの髪を無造作にまとめたヘアスタイルがとにかくお似合い。

兄の黒太郎役の荒川良々さんも大柄なので兄弟二人で立ちまわるとコクーンの舞台が

窮屈に見えるほど。

黒太郎は鉄砲使いなので殺陣は少なく構えた格好が多く

岡田くんはとにかく乱暴。殺陣は華麗というより無骨でダイナミック。

武士ではなくマタギだからそういう演出なのかなと思いました。

やたら刀をぶん回し振り回しバンバン人を斬りまくる。

いったい何人殺したんだろ?とにかく人だろうが猪だろうがタケノコだろうが

斬ることに躊躇がない。狂気が突き抜けて清々しいほど屈託がない。

実に嬉しそうな笑顔で刀を肩にかけて見栄を切る姿は粗野で洗練されてなくて

そこが素晴らしかったです。

そしていつも以上に大きく見えました。ほんとに181cmなのかなぁ?

 

2幕では派手目な柄の着物を羽織り、顔もすっきり白くなり遊び人風。

女郎を買うためにどんどん小判をつぎ込んでいくところのチンピラ風情の口調に

灰次の無邪気な狂気が見えてぞくぞくします。

 

松尾さん曰く灰次は無垢さと凶暴さが一体になったような役ということなのですが

何も考えてないおバカな感じから一瞬にして狂った顔に変わるところが何度もあり

見ていてどんどん引き込まれていきました。

 

色んな顔を見せてくれた灰次でしたが最後はまさかの女形姿で登場。

わざとキレイにしすぎないメイクと衣装にしたんだと思いますが

歩き方は灰次のままなので美しい化粧と派手な着物とのミスマッチが面白い。

美しいけど滑稽さの方に重心が置かれてる感じでしたね。

松尾さんは岡田くんにお化粧させるのが好きなんですかね。

「ゴーゴー~」のときもトーイに化粧させてたし。

カテコもそのままで何度も出てくるので歩きにくそうだし鬘も気になるしで

もぞもぞしててちょっと可愛かった。

 

松尾さんお得意の投げっぱなし演出のところは日を追うごとに変わってきそうで

どんな風になるのか楽しみです。あとゴーゴー~で出てきたセリフ(というか歌)

皆川猿時さんがそのまま言うところがあってゴーゴーファンとしては

嬉しかったです。そしてやっぱり岡田くんは素で笑ってました。

 

まだまだ書き足りてないし理解が追い付いてないので

とりあえず忘れないように思いつくまま書きました。

この後、少しずつ追加していこうと思います。(毎度恒例)