おうちに帰ろう

心茲にありと

「ニンゲン御破算」感想③ーニンゲン御破産から15年の時を経て

「ニンゲン御破算」の公演が7月15日(日)大阪森ノ宮ピロティホールでの大楽が終わってから1週間経ちました。これまでに感想ブログも2本書き、まとめを書こうと思っていたのですがまとまらないまま時間は過ぎ、その間15年前の「ニンゲン御破産」の戯曲を読み、どういった違いがあったのかを考えてみたいと思いました。


大筋は一緒だけれど設定として大きく違うのは以下の三か所

  1. 松尾さんが冒頭松尾さん自身として登場し舞台となった松尾村の説明をする。幕末⇒現代⇒江戸時代と時代が移る
  2. 実之介の母ムツが死なない。実之介に取り憑かない
  3. 黒太郎と灰次が最後宇宙人になってしまう⇒時代が未来にも移る

冒頭の官軍になった黒太郎と新選組残党の灰次が対峙する幕末から現代の松尾さんが登場しその後また江戸時代に戻って最後は未来まで飛んでしまうというキテレツな設定です。それ以外にも仇討ち隊の人たちがフットサルを始めてしまったり松尾村の百姓たちが登場しその中の妊婦のお腹が光ったりと本で読んでるだけだと意味不明というか想像がつかないようなシーンも多くかなりとっ散らかってる印象です。
松尾さん自身もパンフレットのインタビューで「歌舞伎に対するパンクな気持ちが出ちゃってた」「勘三郎さんにまったく別の世界を見せてやろうという気持ちが強かった」とおっしゃっているのでいろいろ詰め込んでいたようです。
今回その部分が削られたことで歌舞伎っぽさが強調されて堂々としたエンターテインメント作品になっていたように思います。

削った部分もあれば足したところもあり実之介が母ムツを殺してしまうところは実之介がなぜ芝居の世界にのめり込むのか存在そのものがガセとなっている要因が母にあり母が取り憑かれているため実之介の脚本の筋が「呪われている」こと強調されています。
最後に実之介とお吉が逃げ込んだ劇場跡につじつまのお化けが出ていて女であることがばれた後の「はなから合うはずのないつじつまを合わせるため、嘘を重ねて塗り固め筋を曲げ曲げ生きてきた」というセリフに切実さが増した感じがしました。

 

灰次のキャラクターも少し変えてました。

マタギの兄弟として登場した直後のシーン、黒太郎が松ヶ枝藩が勤王と佐幕に真っ二つに分かれているという話をしているとき、御破算では飛んでいる蝶を捕まえようとして話をちゃんと聞いていないのでよそ見すんなと言われますが御破産ではその記載はありません。反省しろと言われると頭を地面にこすりつけて「面白すぎて反省できない」などと言ってちょっと兄貴をバカにしている感じです。また追ってくる武士を銃で撃ったのは兄貴で「オレが撃たなきゃ二人ともやられてた」と黒太郎が言うと「じゃあ共同作業だ」といいここまでは同じですがその後に御破算では「照れるな!」と言うのですが(この言い方がめっちゃかわいい)御破産にはありません。
黒太郎が貧しい松尾村から出てきて武士にならなきゃいけない理由を説明するときに
御破算では灰次の乳首を「かすって」擦りあげながらしゃべり灰次がその度に「はぁ…!」って変な声を出すのですがそのシーンもない。黒太郎の話を半笑いで適当な相槌を打ちながら聞いてるだけ。
このあたりだけでも御破算の灰次はバカっぽいかわいらしさがあり
御破産の灰次はかわいさよりも基地外ぶりが強調されてる感じがします。
黒太郎と灰次の関係も御破算の灰次の方が兄貴を慕っている様子ですが御破産の灰次はちょっと小馬鹿にしてる感じ。

 

実之介のとの関係は吉原で大夫を女郎遊びをするときに実之介が断ると「チンポコついてんのか?え?」と灰次が股間を触ろうとすると実之介がキレて「これ触ったらオレを幸せにしてくれんのか??」と迫り「そんな自信はない…」と灰次が言うと「幸せにしてよ!」といってそっぽを向くやり取り、御破産では「これ触んなきゃ幸せになれないのか!そんなに不幸なのか!」とキレて灰次は「チンポコで幸福論を展開されても…」と困惑、「常識を考えろ!」と実之介が一喝。
御破算の方が実之介は灰次に深いところでの絆みたいなものを感じているように見えますが御破産では単にビジネスパートナーとして捉えてるように見えます。
このあたりは阿部サダヲさんと岡田将生くんのコンビが前作「ゴーゴーボーイズゴーゴーヘブン」の永野とトーイとの関係を継続するように変えたのかなぁと思いました。いや思いたい。

 

お吉とはお吉が「身体を売るのはもうやだよ」というと「自分の身体を使って村の男に恩返ししようと思うのももう売らねぇと決めたのも自由だ」と言ってから「お吉っぽくしてろ」と言いますが御破産では前段の部分がありません。御破算の方が灰次の人に対する拘りのなさ気持ちの大きさを感じるのですが、ないとただ突き放しただけに見えてしまいます。
またお吉がヒュースケンの妾になるところ御破産では「黒さんが決めたんだ」とお吉が言うと「じゃあいいじゃん」といい「それって灰次と黒さんが同じ気持ちってこと?」とお吉が聞くと「俺は兄貴とは違う」というやりとりがありお吉と黒太郎に対してちょっと思うところがあるように見えますが御破算ではお吉の問い対して「おめえが決めたことだろ?」と返したところですぐに実之介が耳かきを灰次の耳に突き刺すシーンに移ってしまいお吉についての気持ちはよくわからないままです。最後にお吉が実之介の子どもを産んだときも灰次か黒太郎のどっちかが父親だというと灰次は「じゃ俺の子でいいよ」と先に言うあたり黒太郎と灰次でお吉を取り合ってるように見せてるのが御破産で御破算での灰次はお吉に対して幼馴染以上の感情は持っていない設定になっているようです。その分実之介との関係が密になっているような(個人的な思い入れがあるからか)気がします。

 

灰次単体では御破算での最大の見せ場である大老暗殺を企てている斎藤を殺したあとに「何が大義だ?女働かせて気取ってんじゃねぇ!ボブとトムも奴隷から自力で逃げ出した。侍はどうだ?大義だ忠義だとどこかから借りて来た言葉で自分を飾り立て、死ぬことに寄ってる奴隷以上の奴隷ばかりじゃねえか!ふん、退屈だ!俺は退屈しに江戸に来たんじゃねえや。冗談じゃねえ。俺は俺で独特の侍になってやらぁ!」
と啖呵を斬るところがあるのですが
御破産では
「武士の矜持だ?意味わかんねぇ。猪がブキーと鳴くのとどう違うのか。悪いけど俺にはまだわからねえよ」
と全く違うセリフです。実際の舞台でどういう言い方をしていたのかわからないのですけど御破算での灰次の方が侍になりたいという気持ちが強く周囲の人間を解放し先が読めない動乱の時代を逞しく生き抜いていく姿をかっこよく表現しているように思いました。

このあたりは阿部サダヲさんの狂気さが全面に出る灰次にもう少しヒーローみを足したような造形を岡田くん仕様で作り上げてたような気ががします。

 

全体を通して松尾さん自身「若さが出た」とおっしゃってたようにかなりとんがった部分が多く、勘三郎さんに対する挑戦状のような面がありそれはそれで当時としてはかなりセンセーショナルな舞台だったと思います。

15年を経て角はなくなりましたが、実之介がなぜ狂言作者になりたかったのか、鶴屋南北河竹黙阿弥に並ぶために足りなかったもの、からっぽだー!という実之介の叫びの本当の意味みたいなものが最後の種明かしで痛烈に胸に刺さりましたし
宇宙人にならない灰次と黒太郎が歌舞伎役者の扮装で花道を去る姿を見送り、見えない目で楽しそうに手を叩いている実之介をみんなで囲んでいるラストシーンは舞台上で起きた全てのことが結実し感動的なラストでした。

 

勘三郎さんありきで作られた作品を勘三郎さん抜きで再演するのは勇気がいることだったのではないかと思います。阿部さんの実之介は勘三郎さんの思わせるところもありつつもサダヲさんじゃなきゃできない実之介になっていて松尾さんが言うところの「今考えられる最高のキャストでやってみたかった」という作品の真ん中で堂々と立っておられてほんとうに素晴らしかった。
そしてその阿部さんが演じた灰次を演じる岡田くんは阿部さん以上にプレッシャーだったのではないかと思います。なんせ隣にいるわけですから。
見ている人にあぁこれ阿部さんだったらもっとよかったのに、と言われることを覚悟してやらないといけないわけです。そしてそこを超えてかなきゃいけない。恐ろしいことですよね。戯曲を比べて見て岡田くんの灰次は基地外ではあるけれど愛嬌があり周りの人を知らずらずのうちに解放していく大らかさを感じさせ、大柄な身体も相まってとても伸びやかな灰次だったと思います。生まれたての子どものようでもありそれでいてたっぷりと色気もあり。前回のトーイは岡田くんの容姿を200%生かした役だったのに対し、今回の灰次はもともとが阿部さん用に作られた役であり、彼の見た目がむしろ障害になるようなぶっ飛んだキャラクター。だって普通に見て猪とやっちゃうような男には見えないもの。それをあえて阿部さんの隣で演じさせるとは松尾さんは岡田くんのことが本当に好きなんだなと思いました。そしてそれに全力で応えた岡田くん。カーテンコールで岡田くんと松尾さんが並んだ時には松尾さんに感謝の気持ちで胸がいっぱいになり涙が出てきました。
そして岡田くんと阿部さんの二人が大好きなのでトーイと永野、灰次と実之介に続く作品も期待したいです。

 

改めてこの作品を見られて本当によかった。
ニンゲン御破算とともに過ごした2018年の夏はとても思い出深いものになりました。

そして公演は終わってしまいましたが、ここで改めて灰次の冒頭のセリフ

「終わったってえこたあ始められるってことでないの。それはある意味素敵なことでないの」

を噛みしめたいと思います。

 

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大阪は暑くて熱かった



「ニンゲン御破算」感想②ー灰次という男

シアターコクーンで絶賛上演中の「ニンゲン御破算」全29公演(東京のみ)
今日のマチネで21公演終了。いよいよ終盤に入りました。
私は6/22(金)の公演で7回目、折り返しを過ぎてからは初めての鑑賞となりました。

 

最初は筋立てを追いながら目まぐるしく人が出入りする構成にただ身を任せて
楽しんでいましたが、戯曲を読んで時代背景や各登場人物のセリフを繰り返し
読んだり見たりしていくうちに岡田将生くん演じる山出灰次は

「ニンゲン御破算」というタイトルを体現する存在で劇中色んな人を

解放しているのではと思うようになりました。

とりあえず忘れないうちにそれぞれの人物と灰次の関係と

印象的なシーンを思いつくままに書いていこうと思います。

ネタバレ満載なので気になる方はご遠慮ください。

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「ニンゲン御破算」感想①ー初日を見終えて

松尾スズキ作・演出の舞台「ニンゲン御破算」@Bunkamuraシアターコクーン

の初日に行ってきました。

 

2003年に中村勘三郎(当時勘九郎)さんのために松尾さんが書き下ろした

「ニンゲン御破産」をタイトルを1文字変更して再演。

勘三郎さんの役を阿部サダヲさんが演じ、阿部さんが演じていた灰次を

岡田将生くんが演じています。

幕末を舞台にした松尾さん唯一の時代劇だそうで、

武家の生まれだけど歌舞伎戯作者になりたい実之介(阿部さん)

武士になりたいマタギの兄弟黒太郎と灰次(荒川良々さん・岡田くん)

二人の幼馴染で吉原に売られていく旅芸人崩れのお吉(多部未華子さん)を中心に

場面転換も多く、実之介の妄想と現実が入り乱れて

今私が見ているのはどっち??と見ている側もついていくのが

大変な構成ですが、あまり深く考えずとにかく勢いのままに

身を任せて見ているとあっという間にラストになります。

最後はびっくりな展開で驚きました。

岡田くんが最後にどんでん返しがあり最初のシーンから思い返したくなると

コメントしてましたがまさにその通り。え?じゃああのときは…?などと

次に見るときのお楽しみになりました。

 

これまで見たことある松尾さんの作品は「ラストフラワーズ」「キレイ」「ゴーゴーボーイズゴーゴーヘブン」「業音」の4作品でこれが5作品め。

あまり多くはないのですが「業音」を除くと小劇場テイストの何でもありのナンセンスなお芝居をお金をかけたな商業演劇のスケールでやってるなぁという印象でした。

今回はさらに歌舞伎の要素も加わりシアターコクーンが昔の芝居小屋になったよう。

始まったばかりなのでストーリーには多くは触れませんがとにかく人の出入りは多いわ

場面転換は多いわ水に落ちるわでえらい騒ぎです。

れでも初演時よりも水落ちは減ったようですが。

「ゴーゴーボーイズゴーゴーヘブン」に続き綾音さんたちの和楽器長唄の生歌・生演奏が随所に入るのも贅沢。

ダンスに殺陣、大立ち回りと役者さんたちも舞台中心に据えられた階段を上がったり下りたり、客席の通路を走ったりととにかく動きが多い。

 

武家の家に生まれたけど戯作者になりたい実之介の妄想から始まったと思えば

桜田門外の変やハリスの通訳ヒュースケンが出てきたりと史実も入りますますカオス。

 

そんな目まぐるしい舞台で岡田将生くんはマタギの兄弟の弟の方、

猪ともヤッちゃう暴走野郎灰次をキレッキレに演じてます。

冒頭は官軍に追われている彰義隊に加勢するために客席から登場。

なぜかてっぺんに小鳥が乗っている笠を目深にかぶり一見渋め。

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前ブロックの席だったため後ろから台詞が聞こえてきてふぉ!!となりました。

最初の口上のシーンではいつもの肩を前からぐいっと押されるような

伸びのある声ではなくやや抑えめの声で

初日だしちょっと緊張しているのかなという印象。

その後、時代が遡って幕末のとある村で兄弟が武士になるために

画策しているシーンになり衣装は武士の袴姿からマタギの村人風の恰好に。

股引風なズボン?の上に短めの着物を重ねて顔も少し黒く汚しが入り

頭にはバンダナ、首には手ぬぐい的な巻物。

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これが思った以上にハマってました。前髪は地毛?っぽいけど後ろは恐らくウィッグをつけていると思われる緩くウエーブのかかった肩上の長さの髪を無造作にまとめたヘアスタイルがとにかくお似合い。

兄の黒太郎役の荒川良々さんも大柄なので兄弟二人で立ちまわるとコクーンの舞台が

窮屈に見えるほど。

黒太郎は鉄砲使いなので殺陣は少なく構えた格好が多く

岡田くんはとにかく乱暴。殺陣は華麗というより無骨でダイナミック。

武士ではなくマタギだからそういう演出なのかなと思いました。

やたら刀をぶん回し振り回しバンバン人を斬りまくる。

いったい何人殺したんだろ?とにかく人だろうが猪だろうがタケノコだろうが

斬ることに躊躇がない。狂気が突き抜けて清々しいほど屈託がない。

実に嬉しそうな笑顔で刀を肩にかけて見栄を切る姿は粗野で洗練されてなくて

そこが素晴らしかったです。

そしていつも以上に大きく見えました。ほんとに181cmなのかなぁ?

 

2幕では派手目な柄の着物を羽織り、顔もすっきり白くなり遊び人風。

女郎を買うためにどんどん小判をつぎ込んでいくところのチンピラ風情の口調に

灰次の無邪気な狂気が見えてぞくぞくします。

 

松尾さん曰く灰次は無垢さと凶暴さが一体になったような役ということなのですが

何も考えてないおバカな感じから一瞬にして狂った顔に変わるところが何度もあり

見ていてどんどん引き込まれていきました。

 

色んな顔を見せてくれた灰次でしたが最後はまさかの女形姿で登場。

わざとキレイにしすぎないメイクと衣装にしたんだと思いますが

歩き方は灰次のままなので美しい化粧と派手な着物とのミスマッチが面白い。

美しいけど滑稽さの方に重心が置かれてる感じでしたね。

松尾さんは岡田くんにお化粧させるのが好きなんですかね。

「ゴーゴー~」のときもトーイに化粧させてたし。

カテコもそのままで何度も出てくるので歩きにくそうだし鬘も気になるしで

もぞもぞしててちょっと可愛かった。

 

松尾さんお得意の投げっぱなし演出のところは日を追うごとに変わってきそうで

どんな風になるのか楽しみです。あとゴーゴー~で出てきたセリフ(というか歌)

皆川猿時さんがそのまま言うところがあってゴーゴーファンとしては

嬉しかったです。そしてやっぱり岡田くんは素で笑ってました。

 

まだまだ書き足りてないし理解が追い付いてないので

とりあえず忘れないように思いつくまま書きました。

この後、少しずつ追加していこうと思います。(毎度恒例)

 

祝!2019年春のNHK朝ドラ「なつぞら」出演決定!

びっくりしたー!

今日の夕方17:00過ぎに何気なくTwitterを開いたら

飛び込んできたニュース。

毎回朝ドラのキャストが発表されるたびに

今回もいないのかあ…とがっかりすること数回。

(まだファンになって日が浅いので)

NHKは「平清盛」と昨年の単発ドラマ「絆ー走れ奇跡の子馬」

しか出演作品がなく、お声がかからないなぁと寂しく思っていました。

それが連続テレビ小説100作目となる記念作品が

初の朝ドラ出演作に!

岡田くんのコメント

「この仕事を始めて10年以上、いつかいつかと思っているうちに30手前になっていまして、やっと出られるということを本当に嬉しく思います。培ってきたものを全部出していきたい」

来年のドラマ放送中に30歳の誕生日を迎える岡田くん。

ほんとうにおめでとうございます!


www.nhk.or.jp

今回の作品の役どころは広瀬すずちゃん演じるヒロイン

奥原なつの「大好きな、たったひとりの兄」奥原咲太郎(さいたろう)

という役らしいです。

戦争で両親をなくし、なつともう一人の妹千遥(ちはる:キャスト未発表)

を父の親友と親戚に預けたあと行方知れずになっているそう。

舞台は北海道ですが、岡田くん演じる咲太郎は北海道にはいないようです。

そして役柄紹介にめっちゃ気になる一文が

歌とタップダンスが大好きな陽気な兄」…

は?タタタップダンス???歌??

全く想像つきませんけど??

いや、やってくれるでしょう。きっと。うん、大丈夫(言い聞かせる)

実際に歌ったり踊ったりするシーンがあるのかどうかわかりませんが

これまで演じたどのキャラクターとも違いそうで

どんな役になるのかわくわくです。

映画「家族のはなし」でミュージシャンを目指すギタリスト役という

役柄に挑戦されるのに続いてまたまた新境地ですね。

以下のインタビューにあった

www.oricon.co.jp

「事務所の方とも色々と今後の仕事について話すようになったんです。ちゃんと先のことを考えているのと考えていないのとでは結構な差が出るんじゃないかなと思っていて。今はまだどんなことを考えているのかは言えないのですが、色んなことに挑戦していくと思うので楽しみにしていただけたら嬉しいです。」

というコメントがひとつひとつ実現しているようで嬉しくもあります。

 

また今回の役についてはこんなコメントもあり

「(なつを)トラブルに巻き込んでしまうような役ですが、憎まれず愛されるようなキャラクターにしたい」

 どうやらだめんずっぽい?定職にもつかずショービジネス界を夢見て

すずちゃんに借金とかしてそうな?妄想が広がります。

2018年8月から撮影開始だそうで、来年春の放送開始が待ち遠しいですね。

これでまた寿命が延びました。

 

mdpr.jp

www3.nhk.or.jp

 

来年秋まで生きねば!!

「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」Blu-ray&DVD発売記念 !第二章が見たいんです!

2018年3月23日、待ちに待った

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」

Blu-ray&DVDが発売となりました!!

 

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祝!!

いやぁ長かった!

昨年の10月5日に上映終了から約半年

(年明けに目黒シネマで「銀魂」と二本立て上映もありましたが)

首が天井知らずに伸びるくらい待ちました。

 

発売前のイベントとして

タワーレコード渋谷店を皮切りに池袋店、新宿店で

衣装展示が行われました。

各所をめぐって実際にキャストの皆さんが着用されていた衣装を目の前に

してテンション上がりまくり。

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主要キャスト勢揃い~感涙!



先頭を切って渋谷店では3/6から

仗助、康一、形兆、億泰、アンジェロ、由花子、承太郎

メインキャスト全員の衣装が展示されています。(~4/6(金)まで展示中)

渋谷店でまずきれいな状態の衣装を見て感激。

シルエットが美しいこと素材がしっかりしていること、

靴のヒールが高いこと、ボタンが全員違うことなど細かいところまで

考えらえたデザインになっていることがジョジョの世界観を再現することに隅々まで

気を配っていたんだなということがわかりました。

 

形兆の衣装についてはとにかく脚が長い!!ウエスト位置おかしくない?

という腰の高さにも感動しました。

あと億泰とぴったりとくっついているところもやっぱり兄弟は

こうでなくちゃねという感じ。

「TRILLION」の刺繍もしっかり見れて大満足。

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虹村兄弟!

なんだかんだで渋谷には3回ほど行く機会がありその度に有難い…と呟きながら

拝んできました。

 そうそう田園都市線の渋谷駅ハチ公口にはこんなパネルも展示されてました。

 

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キラキラしてます。目立ちます。

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虹村兄弟は別撮りで


3月22日から池袋、新宿でも衣装展が始まるとのこと。

渋谷店もまだ衣装が飾ってあるのにどういうことかな?違う衣装?と思いつつ

池袋店、行ってみました。

仗助の衣装は最初のバドカンの攻撃を受けた後の状態で

袖のところに砲弾の小さな穴がたくさん開いていて

康一はワイシャツの襟に血のりがついていました。

背面には床や壁に背中をこすられた跡のような汚れがありました。

そうか、映画のシーンに合わせてダメージ度の違う衣装が用意されていて

それが展示されているのかと納得。まっさら状態の衣装よりも生々しい感じが

してむしろ興奮。映画の場面を思い出し鼻息が荒くなりました。

 

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仗助の袖口。億泰を掴むときに受けた砲弾の跡かな

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康一くんの血のりつきシャツ。生々しくてグッときますね


ということは新宿店の虹村兄弟の衣装もダメージものか!と予想し

これは絶対に行かなくては!と翌日、ディスク発売当日の3/23に仕事の合間に

わざわざ新宿まで出向いて見てきました。(もう必死のパッチ

見事予想通り、形兆にはミサイル弾の返り討ちにあった大きな穴が銅部分に3か所

億泰にはバドカン砲撃の無数の穴、仗助は肩が大きく破れていてズボンや袖も

穴や傷が増えていて激戦のすさまじさを物語る衣装が展示されていました。

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クレDにより再生されたミサイル弾の返り討ちを受けた穴。ふつー死ぬよね

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もう一か所。ずれたところにも穴を開けるとか細かいです

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仗助の肩口。この破れ方は映画の中でも印象的だったのでじっくり見れて嬉しい

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長ランとその下のズボンにも穴

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バッドカンパニーの砲弾滅多打ち状態の億泰

もうね、見た時震えましたよね。ほんと。

これが、あの虹村邸での戦闘シーンでキャストの皆さんが着ていたものなのね…

それが目の前にある…という感動。

文字通り血と汗がにじんでいると思うとここに運んでくれたスタッフの皆さんに

感謝しかありません。ありがとうございます。タワーレコードさん

今回はHMVで早々に予約してしまったので売り上げに貢献できませんでしたが

次回何かあったらタワーレコードで予約します。はい。

 

そんなこんなで発売前から浮ついた状態で数日を過ごし

佐川急便さんからHMVの箱が届いたときの感動と言ったら!

オットから

「クリスマスプレゼントを受け取った子どもみたい」

言われましたが包みを開けるのももどかしいという感じで

バリバリと袋を開けて取り出しましたよね、ええ。

 

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コレクターズエディション!Blu-ray2枚+DVD1枚の3枚組です!

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メインキャストのビジュアルカード付!

本編、メイキング、製作発表、ジャパンプレミア、初日舞台挨拶等々

入ったBlu-ray2枚、DVD1枚の3枚組。

ビジュアルカード、B6のクリアファイル、ステッカー、山岸由花子問題集

など特典も盛りだくさん。それらをじっくり味わう前に

まずは本編から見ましたよ。金曜日の夕方からね。

そのために仕事は以前よりブロックしてたんですから。

 

で、2時間後。これ以上ないってくらい泣きました。

泣きすぎて頭痛がしたくらい。21回目だっつーのにまだ泣けるのかと

我ながら引く。いや、映画を最後に見てから原作も読み返して

アニメも見てその他いろいろな創作ものも見ていたので

より作品に対する考察が深まった上で見たのでむしろ映画上映時よりも

泣きましたね。

冒頭の形兆の登場シーンで涙腺がやばい。

形兆と億泰が向かい合うシーンでうるうる。

虹村邸に入ってからは泣きっぱなし。

そんな調子でした。

映画についての感想はブログに散々書いたのでここでは割愛します。

散々書き散らかした感想はこちら

unatamasan.hatenablog.com

unatamasan.hatenablog.com

unatamasan.hatenablog.com

unatamasan.hatenablog.com

unatamasan.hatenablog.com

 

で、特典ディスク1のメイキング。

これがねー、素晴らしかったんですよ。

スペインロケの雰囲気がよくてね。ジョジョの世界を思う存分作り込むには

やっぱ日本は狭すぎらーって感じでシッチェス万歳ですわ。

現地スタッフの方たちとの一体感もよくてクランクイン初日に

山﨑賢人くんはすっかり仗助の顔になってました。

本編ではカットされたぶどうが丘高校の屋上で康一と話すシーンが

初日だったのですが、まんま仗助と康一でした。

賢人くん、神木くんでインタビューを受けてる姿も役に馴染んでて

このシーン映画でも見たかったなぁ。

 

山田孝之さんはインタビュー受けてるときはアンジェロらしく

危ないことも言ってるんですけど賢人くんと接してるときは

優しい先輩で三池組常連の伊勢谷さんも一緒に主役としての賢人くんを

支えていていい雰囲気だなぁと思いました。

実は主役の賢人くん以上にプレッシャーだったのではと思ったのが

承太郎役の伊勢谷さん。

映画公開時はジョジョ原作を全部読んでいなかったのでわからなかったのですが

空条承太郎ジョジョ歴代オールスターズの中でもセンターにいるべき人物だと

今更ながら知り、そんなキャラを演じるって相当恐ろしかっただろうなと。

でもそんなことは微塵も感じさせないスマートで知的な甥っ子だったと思います。

 

役作りで身体を鍛えていたという新田真剣祐くんは可愛い億泰そのまま。

インタビューでの話し方は控え目なんですが賢人くんの肩を揉んだり

賢人くんに脅かされたりとじゃれあう姿は仗助と億泰を見ているよう。

形兆役の岡田くんには「筋トレあとにこっちくんなよ怖いよ」

言われてるのにずいずい近づき後ろから抱きついたり抱え上げたり

追いかけた後に花嫁をエスコートするかのごとく手を引いて階段を

降りてきたりとコミュニケーションの取り方がめちゃくちゃ。

原作の虹村兄弟の関係より弟の方が主導権持ってるところがおかしかったですね。

岡田くんも今まで兄貴と呼ばれることがほとんどなかったので

困惑しながらも受け入れちゃうところがらしいなぁと思って

もう少しこの二人の絡みが見たかったですね。

 

形兆のクランクインが良平じいちゃんの葬式の場面で最初のシーンを

撮り終えた後、三池監督から「(形兆が)見えたね」と声をかけられたとき

すごく嬉しそうな顔してたのが印象的でした。

原作ファンでもある岡田くんも形兆の役作りは大変だったと思うので

三池監督の言葉にほっとした様子が伺えました。

 

美術スタッフの方のインタビューもあってスペインの町を杜王町に変える工夫や

虹村邸の造型も見られて思ったより色々な色味が使われているのが意外でした。

映画で見てると薄暗いので壁や階段の色があんまりわからなかったのですが

赤や青や黄色など思った以上に強めの色で塗られていてかなり細かいところまで

こだわって作られてました。

スペインでジョジョの世界観を確立したあとに日本でのセット撮影を行ったのも

よかったのかな。神木くんも言ってましたが最初がスペインでよかった、

日本に帰ってきても杜王町の雰囲気を頭に描きながら演技できたと。

それを聞いて虹村邸に入ってからの賢人くんの表情がどんどんヒーロー仗助に

なっていったのも納得だなと思いました。

 

スタンドCGのメイキングも何段階にもわたって映像を重ねていく様を

見せてくれて実際の映像とCGを違和感なく見せるための技術を追求した上での

映像であることが実感できて

とにかく手がかかってることがわかります。

 

スタッフ、キャストそれぞれができることを出し尽くして出来上がった

映画だったんだなということが伝わり改めて感動しました。

 

公開記念ナビ番組も収録されていて公開直前に放送された番組なんですが

見逃していたので入れてくれて感謝!です。

山﨑賢人くん、新田真剣祐くん、神木隆之介くんがジョジョに纏わる

場所を訪れて撮影裏話を語るというものなんですが

神保町の古本屋でジョジョ連載開始号のジャンプを見るキラキラした目

荒木先生の原画が奉納されている日枝神社で各ジョジョキャラのイラストを

名前を上げながら嬉しそうに話す姿はジョジョに真摯に向き合ってた様子が

伺えて見ていて胸が熱くなるものがありました。

あと賢人くん、真剣祐くんが見て欲しいシーンとしてスタンドバトルだけじゃなくて

仗助が億泰を助ける場面を取り上げてあそこは億泰が変化するキーポイントになる

熱い場面なのでぜひ見て欲しいと語っているのを聞き

うわ~!そこ!私もそのシーンについて一緒に語りたいんだけど!

じたばたしました。めちゃくちゃ嬉しい。

その他サグラダファミリアに岡田くんと神木くん、賢人くんで観光に行った時

岡田くんが感動しているのに振り返ったら二人はピザを食べていたとか

休憩時間に神木くんと岡田くんが衣装のまま将棋を指していたとか

楽しいエピソードも聞けて、できればそれもまるっとメイキングに

入れて欲しかったけどまぁ無理でしたね。第二章で待ってますから。

(岡田くん出るのか?)

 

特典ディスク2は製作発表からジャパンプレミア、初日舞台挨拶の他

各プロモーションの様子が入っていました。

すっかり忘れてたけどこの記者会見、作品名も全部伏せられた状態で

始まったんですね。で、TBS、東宝、ワーナーが初めて三社合同で

製作するというのが話題だったらしいのですが

今見るとこの始まり方からうーん…という感じ。

もう少し普通にできなかったのかなぁ…

無駄に出演者とスタッフにプレッシャーを与えるだけだし

何となくですけど記者の方にもあんまり好感を持たれてなかったような…?

私自身、岡田くんが出てなければあまり関心を持たなかったような気がします。

気の毒なくらい緊張していたキャスト陣がどこか置いてきぼりな

感じはしましたね。

メイキングで現場の雰囲気の良さを見せられた後だけに

営業と現場の温度感の違いあるあるみたいな感じでしょうかね。

 

あとキャスト紹介のとき原作のそれぞれの人物の絵が

バーンと画面に映し出された後に登場するんですが

あまりにも原作の絵と役者さんの見た目が違うので

これも逆効果だったのかなぁと思いました。

原作未読だった私は形兆のこの姿と岡田くんがかけ離れすぎていて

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この人を岡田くんが演るの??はて??

???で頭の中が埋め尽くされましたね。

今となっては形兆は岡田くん以外考えられないと思ってますが。

 

ジャパンプレミア、舞台挨拶では

岡田くんのスペインでの風呂場で転倒大出血気絶事件については

さくっと削られてました。

やっぱ言っちゃいけない案件だったんですね、三池監督。

もう聞いちゃったしみんな知ってるけどね。

 

各プロモーションの映像も収められており

散々な評判だった女子高生を集めたリーゼントイベントとか護摩行とかも

今見ると賢人くんが真摯に対応していてその都度話す内容も変えていたり

ちゃんと仗助の気持ちになって話していて

よく頑張ったね…」みたいな気持ちになりイベントの良しあしはともかく

賢人くんの頑張りを残してくれたことがよかったと思います。

数々のプロモーションのご褒美的なイベントが公開後に行われた

アニメ版東方仗助役の小野友樹さんとの舞台挨拶でしょうか。

この時の賢人くんは司会者の方が振らなくても(小野さんが聞き上手というのもあり)

とにかくよくしゃべりとても楽しそうでした。

小野さんの気遣いも素敵でようやく重圧から解放されたような笑顔が見れて

見ているこちらも嬉しくなりました。

これで映画も大ヒットだったら言うことなしだったんですが…

 

映画は興行的には成功とはいえない結果だったので

ファンの間では第二章製作が中止になるのではという危惧から

ディスクで盛り返さねばと発売直前からまた公開時に熱くなった人たちが

自然発生的に過去ツイを再RTしたり映画のすばらしさを改めて

語ったりと再び盛り上がりつつあります。

 

私は岡田将生くんきっかけで実写を見た人間ですが

原作にもはまって今ではジョジョの作品としてこの映画は大切な作品となりました。

 

公開当時に実写化に懐疑的だった原作ファンの人でも

見ると「思ったよりよかった」「感動した」「第二章見たい」という声が

じわじわ出ていました。↓上映時の感想がまとめられています

togetter.com

 

映画見逃してた方々もレンタルでもなんでもいいので

ぜひ見て語って欲しいと思います。

まだ第一章なんですよ。始まったばかりなんですよ。

吉良もまだ出てきてないんですよ。他にも見たいキャラはたくさんいるんですよ。

ということ何卒よろしくお願いします。

 

ありがとう「天然コケッコー」

岡田将生くんが本格的に映画に出演した初めての作品

(その前に「アヒルと鴨のコインロッカー」にも出てますが

出番はかなり短いらしい)

で2007年公開の「天然コケッコー」をキネカ大森で開催された

柳英里紗映画祭の中でフィルム上映されるというので

見に行ってきました。

 

公開は2007年ですが撮影はおそらくその1~2年前くらい。

だいたい高校2年生くらいのときですかね。

中学2年の夏から高校入学までの1年半を描いています。

 

岡田くん演じる大沢広海は東京から母の実家である島根県の田舎に

引っ越してくる男の子。

中学校と小学校が同じ校舎で中学生が夏帆ちゃん演じるヒロイン右田そよを

入れて3人。大沢くんを入れたら4人です。

小学生も4人。登下校も中学生小学生全員で登校するようなド田舎です。

そんなところにいかにも東京のオトコノコという大沢くんが登場するのだから

そりゃあ女子はみんなドキドキするってもの。

 

しかしこの大沢くんは単なる王子様ではなくてムスっとした顔をして

田舎をバカにするような態度を取ります。まぁこのあたりも少女漫画に

ありがちな設定ですね。

かっこいいのに感じ悪い男子にだいたいヒロインは恋するものです。

 

くらもちふさこさんの原作は未読なのですが、くらもち作品は昔は好きで

読んでいて、だいたい主人公の女の子は性格は悪くないのに天邪鬼で

空気が読めなくて友達を小さく傷つけるんですが

(決定的に傷つけるわけではないところがポイント)

そよちゃんも典型的なくらもちヒロイン。自分のことを「わし」と言ったり

バレンタインのチョコを友達にも大沢くんに上げるように提案したり

無邪気というか鈍感というかまぁ所謂天然な子です。

そんな天然なヒロインを夏帆ちゃんがのびのびと演じていて気持ちがよいです。

 

対する大沢くんの岡田将生くんですが、いかにも都会っ子で斜に構えてて

いつも不機嫌そうな顔をしている少年。

一目で田舎ではどうやったって目立つだろうなというルックスで有無を言わせない

存在感です。

 

この映画での岡田くんは見た目の美しさ以外は何も武器がない少年でした。

逆に言うとその武器ひとつだけで勝負しているところがむしろ清々しいくらい。

演技らしい演技はしていないです。(本人はしてるつもりでしょうが)

いかにも素人で思い出作りとして映画出演してその後俳優を辞めてても

不思議ではないなというくらい下手くそでした。

実際に山下敦宏監督は昨年の上映会が行われた際のトークショー

岡田くんがこんなに人気出ると思わなかったとおっしゃっています。

natalie.mu

また、キネカ大森での上映後の柳英里紗さんと藤本聖子さん(どちらも出演者)

トークショーでも

脚本の渡辺あやさんが同じような話をされていたようです。

出演者の中で岡田くんが一番年上だったらしいのですが

・虫がきらいで逃げ回る

・セリフが覚えられない

テンション上げるために武藤さんのプロレス見たり岡本太郎展に行ったりしてた

・ずっとヘッドホンで銀杏BOYZ聞いてた

などなど恐らくこの子大丈夫かなと思われていたようです。

 

藤本さんは最近はドラマとか見てあぁ演技上手だなぁ、うまい俳優さんだなあと

思うようになったとおっしゃって岡田くんの変化に感慨深げでした。

柳さんはよく街で岡田くんに会うらしく遠くから伊吹ちゃんって呼んでる人が

いるから誰だろうと思うと岡田くんだったみたいなエピソードを話されていました。

「告白」の先生役はよかったよね、ともおっしゃってました。

 

私も映画を観ながらほんとに成長したんだねぇと

当時を知らないのにしみじみと感心してしまいました。

大人になった岡田くんを知っているから言えることですが

公開時にこの映画を観ていたらこの子は顔はきれいだけど

長く続かないだろうなぁと思っていたと思います。

今こうやって岡田くんの演技を楽しむことができてよかったなぁ

どなたに感謝してよいのかわからないけどありがとうございますという気持ちと

岡田くんは続けられるように頑張ったんだねぇと偉そうですが

親戚のおばちゃんよろしく盛大に褒めたたえたい思い気持ちでいっぱいです。

 

美しくも拙く不器用な佇まいが記録として映像に残り

その時期特有の輝きを封じ込めた宝石箱のような作品として残されていて

今もそれを見ることができるというのは本当にありがたい(何度も言いますが)

ことだと思いながら映画館を後にしました。

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この少年が

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こんな兄貴に成長してくれたんですからね

 

映画「伊藤くんAtoE」至高の最低男を堪能

1/12から岡田将生くん・木村文乃さんダブル主演の映画「伊藤くんAtoE」が公開されました。公開前(公開後も少し)の怒涛の番宣ラッシュはこちら

 

映画化の一報があってから柚木麻子先生原作の同名小説を読み

先行して放送された伊藤くんをとりまくA~Eの女性側を中心とした

深夜ドラマも観た上で映画に臨みました。

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原作はA~Eまで別々の話になっていますが、映像化にあたって

Eのスランプに陥っている崖っぷち脚本家矢崎莉桜が

A(島原智美:佐々木希さん)5年間付き合ってる伊藤くんに振り向いてもらえない女

B(野瀬修子:志田未来さん)男に興味ないのに伊藤くんにストーキングされる女

C(相田聡子:池田エライザさん)親友(D)への嫉妬心から伊藤くんと寝る女

D(神保実希:夏帆さん)伊藤くんに処女をささげたいと思っている女

の4人の女性から恋愛相談と称してドラマの題材にするために話を聞く形で進みます。

 

ドラマ版では莉桜がイメージした男性が伊藤くん役になり

Aのときはプロデューサー役の田中圭さん、

Bのときには売れっ子脚本家クズケン役の中村倫也さん、

Cのときは自分を有名にしたドラマ「東京ドールハウス」の主演俳優役の

山田裕貴くんが演じています。

実際ドラマで演じた皆さんの伊藤くんもそれぞれ良さが出ていて

これ結構プレッシャーなのでは…と思っていたんですが

最後、Dの回で岡田くんが伊藤くんとして登場したときは

真打登場!という迫力でこれぞまさに伊藤だわと納得でした。

不安に思った自分はまだまだ岡田くんを信じ切れていなかった、

すいませんと思いました。

 

映画は莉桜が主催するドラマ研究会で浮世離れした発言をして

クラスのみんなが失笑し莉桜が小馬鹿にしたような返しをしても

「やだなぁ、矢崎女史」と全く意に介さず

にやにやしているという伊藤という人物の気持ち悪さ全開で始まります。

恐らくこのシーンが一番大げさに伊藤くんの気持ち悪さを強調していたと思います。

掴みはOKって感じですね。

eiga.com

 

その後自転車で東京の町を疾走する伊藤くんをカメラが追い

タイトルバックが出るところは廣木監督が得意とする長回し

映像の良さが活かされていたなと思います。

岡田くんの長身と自転車をこぐ姿と緩い坂をさわやかに

駆け上がる絵面の美しさは先程の気持ち悪さはどこへやら。

伊藤くんなんだか素敵とまんまと騙されてしまいます。


莉桜に相談をもちかけるA~Dの女性たちも

それぞれに問題がありリレー方式で伊藤くんのダメなところが

彼女たちに当てはめながら繋いでいきます。

 

Aの島原智美は容姿端麗、仕事もちゃんとしているのに

なぜか伊藤くんのような28にもなってバイト暮らしの男性と5年も付き合ってます。

彼女は伊藤くんの見た目はいいのに自分に自信が持てず責任を持ちたくない部分に

そのまま当てはまる。

Bの野瀬修子は学芸員になるために今はバイトで過ごしていて

今の自分は仮の姿で本当の自分とは違うと思っているところは脚本家になりたいと

いいながら何も書いていない伊藤くんと同じ。

Cの相田聡子は親友が自分が得られないものを手にしようとしていることに嫉妬して

伊藤くんと寝てしまうところは自分のことを好きだと言っていた実希が

クズケンと一緒にいると聞いてホテルまで来てしまう伊藤くんの身勝手さに重なる。

Dの神保実希は自分のことを想ってくれているクズケンに気づかず

目の前で伊藤くんにクズケンのことは何とも思ってないと

言えてしまう鈍感なところが智美を傷つける伊藤くんそのまま。

 

と伊藤くんの悪いところをぐるぐると指摘していくと全て自分に返ってきて

女性たちは伊藤くんと関わることで自分の未熟さや欠点に気が付き

伊藤くんから離れて前に踏み出します。

 

最後にEの女、莉桜はすべての女性に共通していた伊藤くんが同一人物で

自分の教室の教え子であることを知り、

莉桜が書く予定だった脚本の企画よりも伊藤くんの企画が選ばれたことで

無様な負け犬になった莉桜に追い打ちをかけるように伊藤くんが現れます。

(結果はどちらも選ばれなかったのですが)

伊藤くんは脚本を書くつもりなど最初からなかった、周りのみんながあせるのが

見たいからプロットを出しただけ、と莉桜が想像もしないようなことを言います。

傷つきたくないから戦わない、リングに決して上がらないという伊藤くんの言い分を

黙って聞いている莉桜ですが、最後に私は何度傷ついてもこれからも書き続けると

自らに言い聞かせるように伊藤に宣言します。

伊藤くんは黙って莉桜を見下ろし去っていきます。

 

伊藤くんという嵐に巻き込まれた女性たちは伊藤くんに反射した

自分の無様さに気づき変わっていきましたが

嵐の目にいる伊藤くんは無風状態。女性たちが変わっていったことも気づかず

1ミリも変わっていない姿で自転車を押しながら画面を通過していきました。

 

伊藤くんの突っ込みどころはたくさんあり

まず柄のシャツに青いリュック、厚めの前髪という年齢不詳な恰好。

猫柄のシャツ着た男に「僕が君たちを狂わせてしまったんだ」とか言われたくないし。

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いつも自転車に乗ってるけど一体どこから来ているのか。

実家が千葉で一人暮らしはしてないようなので千葉から自転車で来てるのか?

莉桜のオフィスで飾られているトロフィーや楯をバックに自撮りするとか意味不明。

裸の上半身は胸板の薄さの割にお腹周りにはうっすらと

脂肪がついている身体は28歳という年相応で童貞だった事実とのギャップが

気味悪さを醸し出す。(これ役作りで身体作ってたのかな?考えすぎか)

一番イラっとしたのが実希から紹介されたテレビ局のADのバイトしてるとき

先輩ADから注意されたときに「了解でぇーっす」って返事するところ。

お前が仕事ミスしたのになんだその言い方は!

挙句、先輩ADと方向性の違いでぶつかっちゃって

明日はバイト行くのやめようと思ってとか実季に愚痴ったり

ほんとなめすぎだから!

 

そしてラスト、電話の相手に「もしもしミサキちゃん?」と話しかけてたけど

莉桜と伊藤の代わりに通ったドラマの企画に出るアイドルが「ミサキ」って

名前だったんですよね。まさかそことも繋がっているのか?とか。

結局伊藤くんの本当の姿はわからずじまい。きっと今日もどこかで

中身のないことを言いながら漂って生きてるだろうなと想像できる。

 

 

ドラマでは別々の俳優さんが演じているし莉桜の頭の中では

別人なので極端に違った性格で演じても

おかしくはないのですが、「とらえどころのない」人物として

統一性を持たせておりデフォルメせずに各女性たちと対面していて

気持ち悪さとリアリティのバランスが絶妙だなと思いました。

 

画面がきれいで全体のトーンが静かなので原作の持つ生々しさや

毒気はあまりないので原作ファンにはもしかしたら物足りないかもしれません。

そのあたりはドラマ版の方が女性の本心をもう少し細かく描いているので

そちらでどうぞということなのかもしれないですね。

この試みが成功しているかどうかはわかりませんが。 

 

原作通りなら伊藤くんが主役になるような話ではないと思います。

5人の女性のダメなところを全部持ってる男性なんてあり得ないし

そんなクズが主役になるってどうなんでしょう?

しかも主役なんだから少しは成長して終わるかと思いきや

全く成長しないまま終わるという普通の映画ではあまりない結末。

そんな役をイキイキと演じる岡田将生、うっかりしたら魅力的に見えちゃう

恐ろしさ。ラストシーンが彼のいやらしい笑顔で終わるのに

andropの「Joker」の楽曲の良さも相まってなぜか爽快な気分にすら

なってしまう不思議。とにかく彼の表情一つ一つから目が離せませんでした。

伊藤くんを主役たらしめたのは岡田将生という俳優の力だと思います。 

 

対する女優陣も素晴らしく、伊藤くんから解放されたときの表情が

皆さん美しかったです。特に佐々木希さんが涙した顔にライト(夕陽かな?)

が当たったところはとてもきれいでした。

 

岡田くんが主演した映画をスクリーンで見るのは「ST」以来で

そのときにも思ったのですがやっぱり岡田くんは映画館で見ると映えるなぁ

ということでした。

(「ストレイヤーズクロニクル」は劇場では見ていません)

 

若い時から映画で主演を務めていたためか画面に出た時の収まりがよく

映画館のスピーカーで聴く声が生の声やテレビの声とも違って

ものすごく耳触りがいいというか通りがよいというか。

初めて「ST」を見た時も真っ先に印象に残ったのが声だったんですが

改めて声の良さを実感しました。

 

舞台向きだし舞台の姿もこれからどんどん見たいですが

映画で育ってきた人だというのを再認識しました。

 

銀魂」や「ジョジョの奇妙な冒険」のように脇で光る役も素晴らしいですが

主役ってやっぱりいいもんだなぁというのを(当然ですが)しみじみと

噛みしめています。