おうちに帰ろう

心茲にありと

名刺ゲーム

あけましておめでとうございます。

新年あけてすでに成人の日になりましたけど

今更ですが昨年12月に放送されたWOWOWドラマ「名刺ゲーム」について書いておきたいと思います。

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鈴木おさむさん原作の同名小説のドラマ化。

遅ればせながら小説も昨日ちゃんと読み終えました。

人気クイズ番組のプロデューサー神田達也役を堤真一さん

神田を名刺ゲームに案内する謎の男Xを岡田将生くんが演じてます。

原作では神田の息子和也が人質に取られますがドラマでは美奈という娘に変更されています。

全部で4話。1~3話までは神田に何かしらの恨みを持つ人物A~Cまでの人物に

名刺を返しながらそれぞれの人物と神田の因縁と神田の人となりを描いています。

 

原作ではバラエティ番組の製作の裏側を暴露しているように見せながら

子どもから見た親に対する感情だったり

いいことばかりじゃない現実と理想の折り合いのつけ方や人生の向き合い方など

綺麗ごとだけでは済まない部分を描くことが物語の根幹にあるのに対し

ドラマ版では今のテレビ業界をとりまく状況に向けての反発心みたいなものが

全面に出ていて人生模様はエッセンス的に使われているように見えました。

 

原作ではエピソード内に登場する気番組を多く手掛けた花形ディレクターで

神田のプレッシャーからやらせを行った部下を庇って番組を下ろされる片山(田口トモロヲさん)という人物を

ドラマでは名刺ゲームの仕掛け人として最後に登場させて

原作とは違った結末にしたのは

今のテレビ業界に閉塞感を感じている製作者の思いが表れているようでした。

 

岡田くん演じる謎の男Xは原作中の二人の人物の要素を足していて

最後に明かされる名前は「薄井忍」。原作では息子和也の高校の先生ですが

ドラマでは娘美奈の中学時代の教師となっています。

 

3話までは神田と娘を監禁している暗い室内でひたすら神田を煽り

イラつかせ、名刺ゲームの参加者にも冷酷な態度を取る

何を考えているかもわからないまさに謎の男でした。

 

4話で名前が明かされ誠実そうな姿で教室で授業をしていたり

大学時代の同窓会で酔っ払った同級生にからまれたり

コネでテレビ局に就職した派手な同級生からは

「存在感まで薄いくん」と言われ卑屈な顔をしたりという

薄井の本当の顔が登場します。

 

原作の薄井は神田とは顔を合わせていませんが、ドラマでは中学教師を辞めて

クイズ作家となり神田の番組の制作会議に出席しそこで神田の怒りを買って

会社をクビになったことから名刺ゲームを始めることになりますが

学校をやめてクイズ作家になるのは原作では別の人物で描かれており

原作の薄井とはかなり役割が異なります。

(気になる方は原作を読んでみてください。結末も全然違います)

 

同窓会でテレビ局に就職した嫌味な同級生から言われた言葉がきっかけで

学生時代からの夢だったクイズ作家になるために学校を辞めて

プロダクションの入社試験を受け100点満点で99点という

前代未聞の高成績で入社。神田の担当するクイズ番組「ミステリースパイ」の

番組会議に参加することになります。

神田の娘の担任を受け持っていたこともあり自分はついているのではないかと

内心まんざらでもない心持で会議に参加し緊張しながら

神田を名刺交換するも不機嫌な神田に一瞥されて終わり。

会議でも自分が出した自信のあるクイズにダメ出しされ

大したことない内容のクイズを出して旧知の作家とは楽しそうに話す姿に

憧れていた世界と現実とのギャップで急速に期待がしぼんでいきます。

 

それでも採用してもらおうと150ものクイズ案を分厚い資料で提出したものの

ほとんど目も通してもらえず、仲の良い作家が出してきた簡単なクイズ案を

採用すると思わず「そんなのでいいんですね」と鬱積していた気持ちが声に出てしまい

神田の怒りを買ってクビとなります。

 

その後、神田の番組がやらせ事件が問題となり自分を会議で庇ってくれた片山が

テレビ業界を去ったことを知り片山に事情を聞きに行きます。

片山から薄井くんも神田に夢を潰されてかわいそうだねと言われ

ぼんやりとした気持ちで商店街を歩いていると神田の娘美奈と偶然すれ違い

美奈も父である神田に失望していることを知り

名刺ゲームを思いつき、冒頭に戻ります。

 

岡田くんの見せ場は最終話の薄井忍の正体が明かされてから。

誠実な教師の顔

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同窓会でその他大勢の同級生に混じった地味な男の顔

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 テレビ局に就職した鼻持ちならない同級生にバカにされて

 卑屈な表情が垣間見える顔

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教室で生徒に向かって教師を辞めてクイズ作家になることを宣言する

少し誇らしげな顔

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不安を抱えながらも一大決意をして

入社試験を受け無事合格し嬉しそうにする顔

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初めて企画会議に少しばかりの期待を持って出席する顔

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企画会議でダメ出しされて自信がしぼんでいく顔

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希望が失望になり軽蔑へ変化する顔

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片山と会っている時の人生の敗者となった影のある顔

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美奈と話しながら名刺ゲームを思いついたときの怪しい顔

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名刺ゲームをやり切って満足そうに笑う顔

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薄井忍は本来は地味で特徴のない人物で

謎の男Xの大げさな身振りやセリフ回しがすべてわざとやっていたことが

わかります。

(とはいえ中学教師をやっていた人物にこんな演技は

普通できません。そこはまぁ置いといて…)

キャプチャを貼りまくりましたが

ちょっとした目の動きや顔の角度にもわずかな変化をつけて

気持ちの動きを表現していて丁寧に薄井という人物を

なぞっていたように見えました。

一つの作品で2役を演じているような面白さもあり

特に居酒屋のシーンと片山と会う喫茶店のシーンは声も小さく

表情も暗くこれまで演じてきた岡田くんの中でも相当地味目な雰囲気にあたり

個人的にはかなり好きでした。

謎の男のときの舞台の演技のようなオーバーアクションだったり

滑舌のよいセリフ回しもよかったですが

大勢の同級生に混じってどこにいるのかわからないくらい存在感を消したりとか

負のオーラがうっすら(べったりとついているとそれはそれで目立つ)

ついている感じが絶妙でした。

 

ドラマとしては最後に片山が全部言いたいことを言って終わり、

薄井くんは果たしてあれで満足したのかなぁという気もしましたが

神田に対して恨みを持っていた人たちそれぞれが名刺ゲームに参加することで

次の一歩を踏み出す結末だったので

薄井くんがその後クイズ作家になったかどうかはわかりませんが

前を向いて歩いているだろうと思っています。

 

今回はエキストラにも何回か参加し、クライマックスの名刺ゲームの種明かし後の

会場にいる観客役で参加した時が一番長かったのですが、

ドラマで使われたのは2~3分くらいだったんじゃないでしょうか。

それも私が参加したのは1日だけですが2日かかりで撮影しているんですよね。

同じシーンを何度もカメラを変えて撮ったり一つのドラマを作るのにこれだけ

手間がかかってることを間近で見ることができたのは面白かったです。

このシーンで初めて岡田くんの演技も近くで見ることができて

集中力を保つのは大変なんだろうなぁと思いました。

 

あと片山役の田口トモロヲさんがすごかった!

ドラマの中での存在感も抜群でしたが目の前で演技を拝見し

声の力強さに圧倒されました。実質の主役は片山だったんじゃないかなって

思えるくらい迫力ありました。

 

多少強引な展開があったりしましたが

画作りが凝っていたのとテンポよく話が進むので

各話ともあっという間に見ることができました。

 

元々は人のよい目立たない人物だった神田が

権力を持つことでどんどん態度が変わっていき

恐ろしいゲームに巻き込まれることになりましたが

立場が上になると多かれ少なかれ意識しないうちに

誰かを傷つけてしまっているのかもしれないと思うと

できるだけ誠実でいられるように気を付けようと

思いました。こんな締めですいません。

 

 

 

2017年夏の思い出 ジョジョにはまった夏でした⑤

まだ書くか、という感じなのですが今回は続編について勝手に

予想してみたいと思います。予想というより願望か。

 

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない」は原作コミックスで

20巻近くある長いお話で今回映画化されたのはそのうち2巻くらいまで。

主な登場人物のうち

東方仗助

空条承太郎

広瀬康一

虹村形兆

虹村億泰

片桐安十郎

山岸由花子

しか出てきません。このあとまだまだ登場するキャラクター全て登場させると

何章まで行ってしまうのか想像つきません。

(いややってもらっても全然いいんですが)

なので、第二章以降、出るだろう(いや出て欲しい)人物を上げながら

勝手にストーリーを想像してみたいと思います。

 

いきなり出ないだろう人を上げるとレッドホットチリペッパー音石明

これまでにも何度か書いてますけど、原作で虹村形兆の命を奪うのは

このレッチリ音石。

しかしながら今回の実写では別のスタンドによって倒されたので

恐らく音石くんはカット。なかなか面白いキャラなんですが

いかんせん小物感は否めない。

そもそも彼に形兆が殺されたってのは納得いかない。

小物のくせに!形兆の命を奪うなんぞけしからん!(ファンの方すいません)

ということで残念ながら出ないでしょう。

 

で、レッチリ音石が出ないということは恐らく

ジョセフ・ジョースターも出ないのかなと。

仗助の父で承太郎の祖父ジョセフ・ジョースターを迎えに行くために

音石と攻防が繰り広げられるので

たぶんここもカットかなぁ。まぁ別の形で出てくる可能性はありますが。

仗助が父との対面のときに複雑な顔を見せるところは見てみたいので

出てくれたらそれはそれで楽しみです。

不器用に手を差し出すところとかね、かわいいんですよね。

 

絶対出るだろう人物は

当然、形兆を殺したシアーハートアタックのスタンドを持つ吉良吉影

4部の最大の敵になるので彼が出ないのはあり得ない。

 

吉良に殺されてしまう重ちーこと矢安宮重清は出るでしょう。

重ちーのハーヴェストを使って仗助、億泰がスタンプシールを集めたり

当たり宝くじを拾う件はとにかく楽しいので絶対見たいと思ってます。

第二章は少しコミカルな部分も入れて欲しいな。

そしてそんな楽しい重ちーとのわちゃわちゃのあと待っている悲劇…

この落差がジョジョの魅力でもあります。重ちーは誰がやるんだろう…?

 

由花子さんの扱いをどうするかも第二章の注目点。

康一を「わたしのこと好きよね???」と恐ろしい形相で迫る

由花子迫るは入れて欲しい。

「よぐもぉぉおお!くぉの、しょんべんちびりがぁあああ!」と小松菜奈ちゃんが

言ってくれるかどうかわかりませんが…。

由花子さんを登場させたということシンデレラ辻彩を出すためだったと

思います。シンデレラは顔を変えるスタンドで由花子は

辻彩のエステサロン・エステシンデレラで顔を変えたことがきっかけで

康一とカップルになります。

 

吉良吉影は康一、承太郎との戦いのあと追ってきた仗助、億泰から逃れるために

辻彩のエステサロン、エステシンデレラに入り顔を変えたあと辻彩を殺害します。

たぶんここで第二章はここまでではないかと思います。

 

原作では吉良との攻防の前に出てくる

ザ・ロック小林玉美サーフェス間田敏和あたりは微妙。

出なくてもいいけど、ザ・ロック玉美に脅されたことで

康一のスタンド、エコーズAct1が

発動するので原作通りなら出ないとエコーズが誕生しないのですが

その辺は由花子さんに襲われたときにまとめて

Act1とAct2と成長するのもありかなぁとも思います。

サーフェス間田は「スタンド使いスタンド使いは惹かれあう」という

名言のために登場するようなものですが、

このセリフも実写ですでに仗助が言っちゃってるので

もう必要ないでしょう(ひどい)

 

4部の人気キャラクター、ヘブンズドア岸辺露伴はまぁ出ますよね。

康一が露伴の作品「ピンクダークの少年」を並べるシーンもありますし

吉良吉影が最初に行った殺人事件の被害者杉本鈴美と一緒にいたのが幼少期の

露伴先生なので必ず出るはず。そしてこの殺人事件を担当していたのが

仗助の祖父という設定になっています(原作では無関係)

原作通りだと間田と康一が露伴先生の家に訪ねていくのですが

間田は出ない予定(決めつけ)なので原作とは違う設定で仗助たちと

出会うんだろうなと勝手に思ってます。

 

出ないかもしれないけど出て欲しいのはイタリア料理店トラサルディーの

シェフトニオさん。第一章では仗助の母朋子がこれから

トラサルディーというイタリア料理店に食事に行くと

仗助を誘うシーンで名前だけ登場しています。

4部はスタンド使いでもかわいらしいというか罪のないスタンド使い

たくさん出てきますがトニオさんは代表格。

食べた人の悪いところを治すパール・ジャムというスタンド使い

トニオさんの料理を食べた億泰は寝不足、肩こり、虫歯、腹下し、水虫が

次々と治っていきます。ここの件の億泰はとにかくかわいい。

「んまぁあああいーーー!」と絶叫する真剣祐の億泰が見たいので

出て欲しいキャラクターのひとりです。

あとトラサルディに行く前に形兆の墓参りをしているというのも

出て欲しいポイントのひとつ。形兆に墓参りする億泰が見たいのです。

 

音石が出ないので音石がスタンド使いにしてしまったという

ネズミは出ないでしょうね…

というか音石、弓と矢の使い方がショボすぎる…。形兆を殺してまで

奪った弓と矢を使ったのがネズミって何なの。そういうところもイラっとします。



第三章は吉良が川尻浩作と言う別人になりすまして川尻の妻しのぶと

息子早人と生活するところから始まるでしょう。

 

第三章でトニオさんと同じく出ないかもしれないけど出て欲しい人の筆頭が

宇宙人ヌ・ミキタカソ・ンジ(地球名:支倉未起隆)。4部一番の癒し系キャラクター

ティッシュを食べたりカバンからアイスを出したり二十日ネズミを飼っていたりと

奇想天外。スニーカーに変身したりサイコロに変身したりとおよそ本筋の

ストーリーとは関係ないエピソードばかりなのですが

仗助とのやりとりがとにかくかわいい(こればっかりだけど)ので出て欲しい。

 

吉良の父親写真のおやじが吉良を助けるために次々とスタンド使い

量産するのですが

ボーイズⅡメン・ジャンケン小僧大柳賢チープトリック乙雅三

は出なさそう。

 

人気もあるし露伴先生の名セリフ「だが断る!」エピソードに絡むので

ハイウェイスター墳上裕也は出てほしい。学ランの上からでっかいリボンを

巻いてる服装やミケランジェロのように美しい」と自画自賛する彼の造形は

どんな姿になるのか見てみたいです。

裕也の活躍はエニグマが出ないと見られないんですがどうかなぁ。

うーん、見たいキャラが多すぎる。

 

そして最後に絶対出て欲しい形兆兄貴。

一度は死んだと思った億泰が復活するシーンはアニメ版で見てても毎回号泣。

夢の中で億泰の前に現れて「兄貴についていく」という億泰に「自分で決めろ」

という形兆。そして億泰は「杜王町に行くよ」と言って目が覚めて

絶体絶命の仗助を助けるというジョジョ4部のいいところが詰まったシーンは

今から泣く準備万端です。

 

最後の川尻(吉良)との戦いのときキラークィーンと猫草の空気爆弾を受けて

一度は死んだ億泰を意地でも離さず家の中に連れていく仗助は

形兆を救うことができなかった悔しさからで絶対に億泰は助けるという

強い意志を感じて泣けるんですよね。億泰まで死なせてたまるかっていう

かっこよさ。映画の中で仗助が形兆に

「運命なんてものはこっちの思いでどうにでもなる」

っていうセリフを体現しているようです。

 

吉良の第三のスタンド、アナザーワンバイツァダストは一度決まった運命を

変えることはできない、何度でも同じことを繰り返すというスタンドなのですが

どうやってこれを打ち破るかの攻防となるのですが

最後に川尻浩作の息子早人が吉良に向かって

「お前に味方する運命なんて(中略)今ここにある正義の心に比べれば

ちっぽけな力なんだ!」

と言い放つシーンがあり、映画のセリフに繋がっているのではないかと

思います。

ジョセフ・ジョースターは出ないと言いましたが

最後に「この町の若者たちには黄金の精神がある」という

ジョジョのテーマとなるセリフを

言うのがジョセフなのでジョセフはやはり出るかもしれません。

ジョースター家の物語がジョジョなので当然出るべきとも思いますし。

なんてことをあれこれ考えるのが楽しいのもジョジョの魅力です。

 

長々と語ってきた映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」

に関するあれこれ。

途中から何を書いてるんだかだんだんわからなくなってきましたが

最後に今回の実写版を製作してくださった方々に感謝します。

この映画がなければジョジョの世界を知ることはなかったと思います。

まだ第四部しか読んでないのですがここでようやく一区切り。

やっと第五部「黄金の風」に入れそうです。

でも四部のみんなが好きすぎるので何度でも戻ってきてしまうと思うけど

それはそれでいいかな。

 

ふー、ようやく夏の宿題が終わった気分です。

 

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2017年夏の思い出 ジョジョにはまった夏でした④

そろそろ本題に入ります。(え、これまでは何だったのか)

 

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」は

虹村兄弟の話だったと思います。

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全ては虹村形兆から始まります。

 

形兆が弓と矢で射貫いたからアンジェロがスタンド使いになった。

その結果、承太郎さんが杜王町にやってきたし仗助のじいちゃんは亡くなった。

 

虹村兄弟は原作では廃屋のような屋敷から外へ出ませんが

映画では最初に形兆がアンジェロと出会うシーンを始め

億泰が康一と由花子さんが登校しているところに現れて康一を瞬間移動させて

何が起こったかわからず驚いている姿の後ろにアイスキャンディーをなめながら

海を見ていたりとちょこちょこ町に出ています。

スタンド使いが知らないうちに普通に町中に潜んでいるという

ことを表わしていたんだと思います。

億泰のアイスキャンディー咥えた登場シーンは不気味なスタンド使いというより

愛嬌あるあんちゃんと言う感じであんまり怖さはなかったですけど。

街中でむやみに空間削り取るとか危険すぎるでしょ。なんでそんなことしたのか

意味不明ですけど驚く康一もとぼけた億泰も可愛かったからよしとします。

 

形兆と億泰の関係も原作では形兆がすぐ死んでしまうので、

死んだあとの億泰の言動や出来事から

兄弟の関係性を知ることが多いです。

 

「いつも兄貴に決断に従って自分では何も決めてこなかった」

「形兆にコンプレックスを抱いており何かを決断するときに

こんな時兄貴がいればなあと思っている」

といったことがレッドホットチリペッパー音石明との戦いのとき億泰の言葉や

ヘブンズドアで過去の記憶を読み取った岸辺露伴先生から語られることで

億泰の兄貴頼りだったことがわかります。

原作では生きている二人がまともに会話している場面がないのです。

 

映画ではアンジェロが仗助に倒された後二人が屋敷の中で会話するシーンがあります。

父がいる屋根裏部屋を見つめる形兆の後ろから億泰が現れ

形兆が片桐安十郎が形兆の知らないスタンド使い東方仗助

倒されたことを告げると億泰は

兄貴の矢でなったんじゃねぇってことなのか」と聞きます。

兄貴の矢という言い方に兄への絶対的な信頼感を感じさせ

さらに「強ええのかそいつは」と億泰が聞くと

形兆は「俺たちの方が強い」と言います。

それを聞いた億泰は「そうだよなぁ、当たり前だよなぁ、兄貴」と

嬉しそうに形兆の顔をのぞき込みますが、形兆は目を合わせません。

そしてガリガリという音が聞こえる屋根裏部屋を見つめます。

これだけの短いシーンなのですが

強い(弟に対して絶大な権力を持っている)兄と従属する弟という

関係性が感じられ、

また得体のしれない何かを抱えていることが伝わってきます。

億泰が兄貴に対して何の疑いも持たずにすべてを安心して任せている様子と

思いを受け止めながらもその重さに静かに耐えている(目を合わせない)

様子がわかる美しくて切ないシーンでした。

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仗助と形兆の出会い方も原作とは違っていました。

原作では康一と仗助が下校時に虹村邸の前を通り偶然見えた人影が気になった康一が

門の間から中を覗いているところを億泰に見つかり

形兆に矢で射られることになります。

映画では良平じいちゃんの葬式に形兆が現れ、仗助を誘い出すように

消えていき気になった仗助が後をつけて虹村邸にたどり着きます。

康一は葬式の後一人でいなくなった仗助を心配して追いかけてきて矢に射貫かれます。

形兆が屋敷の2階から矢を射貫くところと形兆が億泰に

「(自分たちにとって邪魔な存在である)東方仗助をぶっ殺せ」

と指示するところは同じです。

原作だと仗助が来ることがわかっていたのか

ただの偶然の機会を利用しただけなのかわからないのですが

映画だと明らかに仗助を殺す目的で呼び込んでいるのがはっきりわかります。

ついでに葬式の場面に現れる形兆は妖しい美しさで

映画形兆はマッチョなイメージの原作形兆とどこまでもテイストが違います。

(三池監督はカメラに映る形兆を見てキャー!と叫んだとか)

 

形兆は父を殺すスタンド使いを探すために弓と矢で人を殺していますが

原作ではアンジェロと康一以外の町の住民に弓と矢を使う場面はありません。

映画では仕事でむしゃくしゃして自転車を放り投げている会社員の男性に弓と矢を

放ちスタンド使いになることなく死んでいく「選ばれなかった」人間も描いています。

このシーンがあることで、形兆がアンジェロと同じ「人殺し」であることを

具体的に見せています。

 

こうした映画にないシーンをいくつか入れることで

虹村兄弟の物語に厚みが加わったと思います。

 

兄貴の東方仗助をぶっ殺せという指示のもと

まず仗助と億泰がクレイジー・ダイヤモンドとザ・ハンドで

戦いますが、間抜けな億泰をあっさり仗助が退けます。 

 

 

仗助が康一を助けようと家の中に入るととても人が暮らしているとは

思えない廃墟っぷりの中にたたずむ形兆。

足元には血を流して倒れる康一。胸には矢が刺さったまま。

「お前は1枚のCDを聞き終わったらキチッとケースに閉まってから

次のCDを聴くだろう。

誰だってそーする。俺もそーする」

と情け容赦なく矢を引き抜きます。

 

仗助が形兆に向かっていこうとすると背後から億泰が現れ

「そいつへの攻撃は待ってくれまだ勝負は終わっちゃいねえ」

といったため仗助は攻撃をよけ

後ろにいた億泰がまともに砲撃を受けて倒れます。

倒れたところにさらに

バッドカンパニーの砲弾を浴びせる形兆に向かって

「やめろ!お前の弟だろうが!!」と言う仗助はさっきまで

億泰と戦っていたときと顔つきが違い、

自分を守るためではなく億泰を守る顔、ヒーローの顔になっていました。

バッドカンパニーからの砲撃を避けるために傷ついた億泰を引きずっていくときの

仗助の「おらぁ!!」という声は東方仗助そのものでした。

特に原作でも後半の方の仗助のイメージです。

 

倒れている億泰に無慈悲にも

「どこまでもバカな弟だ。無能なヤツは人の足を引っ張る。

ガキの頃から繰り返し繰り返し言ってきたきたよなぁ。

そいつにはもう愛想がつきた。何の役にも立たない」

と言いながら更なる攻撃を続ける冷酷な形兆。

このあたりまではとにかく冷たく残酷な兄という印象。

原作ではただ黙って兄貴の攻撃を受ける億泰ですが、

映画では「兄貴…ごめんよ」と

合間につぶやきます。ここでも原作以上に兄貴依存の弟という印象をうけます。

 

傷ついた億泰に向かってお前の兄貴の能力を教えてくれれば

その傷を治してやると言っても

口を割ろうとしない億泰。原作では黙ったままですが映画では

「言うもんか、兄貴だぞ…」と言って教えません。

あんなひどいことされてもまだ兄貴を慕う億泰は

原作以上に兄貴を愛している様子が伺えます。

仗助は結局億泰の傷をクレイジー・ダイヤモンドで治すので驚いて

何故敵である俺の傷を治すのかと問いかけると

「なにも死ぬこたあねー、そう思っただけだ」と答えます。

これは億泰にとっては衝撃的な言葉だったと思います。

その後に億泰が取った行動は兄貴の言うことではなく自分の気持ちで

初めて起こした行動だったのではないでしょうか。

康一を助けようとする仗助にザ・ハンドの物を瞬間移動できる

スタンドを使って康一を側に引き寄せたのです。

兄弟の道はすでにこの時から違っていたのかもしれません。

無意識のうちに兄貴を裏切ったと感じた億泰はその後、

姿を消し戦いの場には現れません。

 

兄貴がいないと何にもできないと思っていた億泰はここで

独り立ちしていたんだと思います。

 

映画ではいつから父親が化けものになってしまったか語られていませんが

原作では形兆8歳、億泰5歳のときに父親は突然変貌してしまいます。

そしてそこから10年間、ずっと父親を普通に死なせるためにはどうすればいいかを

考えてきた形兆。弟を守り、スタンド使いとなって父を殺すスタンド使い

探す人生でした。

弟がいないと生きていけなかったのは形兆だったのかもしれません。

 

弟にも同じように行動することを求め、バカだ無能だ足手まといだという

「呪い」をかけて自分の側にいさせていた形兆。

アンジェロは仗助に対して自分を殺せばお前も同じ「呪われた魂」になるぞ

と言いますが、すでに何人もの人を殺して「呪われていた」形兆は

億泰にも同じ「呪い」をかけていたのかもしれません。

 

その「呪い」を仗助は「おやじさんを治すスタンド使いを探すっていうんなら

手伝ってやってもいいぜ」という一言で解いてしまいます。

父親を治すことなどできない、父親は自分のことも弟のことも何もわからない

化け物だ、殺すしかない、と思うことが彼の支えでもあったはず。

だけど「誰よりも優しいスタンド能力」を持つ仗助は父親が家族の写真を

ずっと探していたことに気づき写真を直すことで父親の本心を

見せてしまいます。

たぶん仗助はそれを伝えることは形兆の人生の大半を否定し、

彼が生きていけなくなるかもしれないことまで

理解していたのかなと思います。

その上で形兆は渡さないかもしれないと感じながら

「弓と矢をぶちおっからよお」と言ったのでしょう。

形兆が「弓と矢は渡さない」と

拒否しても表情を全く変えず形兆の言葉を受け止めていたのは

ただ待つつもりだったのかなと思いました。

 

そのやり取りを聞いていた億泰がたまらず飛び出し

形兆に「もうやめようぜ兄貴…親父だっていつか治るかもしれねえじゃねえか」

と訴えますが、自分の運命は父親を殺すスタンド使いを探すこと

そのためにたくさん人を殺してしまったためまともに生きられないと

悟っている形兆は

「出会いとは重力。重力がすべてを引き寄せた」

「その運命に逆らうつもりはない」

「お前はもう弟でもなんでもねぇ」

と億泰を突き放します。

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原作ではこの後、音石明のスタンド、レッドホットチリペッパーに襲われそうになった

億泰をかばいコンセントの中に引きずり込まれてしまうのですが

映画では仗助が

「違うぜ。運命なんてものはこっちの思いでどうにでもなる」

と力強く言います。これは物語終盤の吉良との戦いで必要な

大いなる意思でもあります。

 

最後、形兆は原作のレッドホットチリペッパーではなく

吉良吉影のシアーハートアタックの攻撃に倒れることになるのも

映画の構成としては当然の流れになるのかもしれません。

 

形兆がシアハ(原作ではレッチリ)に攻撃されなかったら

(形兆が生きていたら)どうなっていたか?は

ファンはみんな考えますし、普通に考えれば人殺しですから

どうしたって幸せな結論にはなりません。

だけど仗助の「治すスタンド使いを探す手伝いならしてやってもいい」

という提案は形兆の10年を一度全部否定して壊した上で

これからの人生を直してやるという意味だったのかなと思っています。

仗助はそれくらい優しくて大きい男だよなぁ、と思います。

もうちょっとで形兆は違う人生を歩めたかもしれないのにという

無念さを残し塵となって消えてしまいました。

億泰は自分のことをバカだ無能だと言っていた兄貴が最後は自分のことを庇ってくれた

という死ぬほどつらく愛しい思い出を胸に生きていくことになります。

 

その一部始終を見ていた仗助は肉親を殺されるつらさを知るもの同士として

億泰のそばに居続けます。

康一はその二人とともに町を守るために強い勇気を持つ人になりました。

 

形兆から始まった「ダイヤモンドは砕けない 第一章」は次の殺人鬼吉良の登場を

匂わせて終わります。

 

最後に3人が学校に通う後ろ姿は三人の杜王町を守る冒険を予感させ

第二章でどんな活躍を見せるのか大いに楽しみになりました。

 

実写映画としてこれが最上だったかどうかはわかりませんが

少なくとも原作のキャラクターの魅力を損なうことなく

映画ならではの演出によって新たな魅力を加味した上で

ジョジョの奇妙な冒険」の映画化は成功したんじゃないかと思います。

 

スパイダーマン」がいろんな監督が同じ話を何度も映画化しているように

この後、もしかしたら別な監督がまた違ったジョジョの映画を作るかもしれません。

その時、あの三池版ジョジョはこんなだったよね、みたいな話が

できるようになったら素敵だなあと思います。

 

ええと、もう少し続きます。次は続編への勝手な予想について

ちょっと書いておこうかなと。

2017年夏の思い出ー銀魂もありました

ジョジョのことばかり書いてきましたが2017年の夏は

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実写「銀魂」のジャパンプレミアから始まったんでした。

unatamasan.hatenablog.com

ジャパンプレミアが6月28日、映画の公開が7月14日だったので夏の序盤は

銀魂」で走りました。ジョジョが18回なら銀魂は14回。なかなかのもんでしたね。

 

同じ人気コミックの実写化ということで比較されることも多く

銀魂」の冒頭で

「途中で帰った人はジ〇ジ〇の奇〇な冒険にも入れてあげないからね」

(〇はピー音)なんて銀さんが自虐的に言う場面もありました。

 

ふたを開けてみれば「銀魂」は興行収入ランキングでも上位をキープし続け

今年の興行収入邦画実写一位(現時点で)となり

中国でも8000館(!)で公開と話題を独占。

原作・アニメファン、俳優ファンを巻き込んで

夏祭りよろしく大いに盛り上がったのでした。

 

時間を調整してジョジョ銀魂のハシゴも3回ほど決行しました。

順番としてはジョジョの形兆でツライ〜としんどくなったあと

銀魂」の桂に癒されるというコース。

桂とエリザベスが並んで歩いてるシーン見て

「あぁ、生きてたよかった…(違」とほっとしたものでした。

 

ジョジョの18回は原作⇒映画の無限ループの結果でしたが、

銀魂」はかっこいい桂さんをひたすら拝みたくて通ったようなものです。

岡田くんのファンになっていろいろ作品見ていますが

実は「きゃあーかっこいい♥」って

思ったことほとんどなくて(「きれいだなぁ」と思うことはたくさんありますが)

初めて桂を見て「うわああ、かっこいいい」とときめいたのでした。

以来、とにかくエリザベスの中からシュパッと出てくる瞬間の高揚感が

癖になり結果14回映画館に通うこととなりました。

 

ラストの鬼兵隊の船から飛び降りる銀時と桂のエリザベスのパラシュートが

大写しになり「銀魂」のタイトルがドーンと出る中で「Decided」が鳴り響くと

あーかっこいいー!と言いようのない多幸感に包まれてまた行こうとなるのでした。

これはこれで中毒性がありました。

 

どっちも大好きだし桂の岡田くんの凛としたかっこよさと

お耽美で切ない形兆どちらも楽しめてやっぱり今年の夏は特別だったなぁと

改めて思いました。

こんな素敵な夏はもう2度とないかもしれない。

 

おまけとして「銀魂」の舞台挨拶でジョジョ立ちした岡田くんはやっぱり天才。

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今見ると「兄貴、何してんだよ…」って気になりますが(笑)

そしてそれを振った小栗旬もよくわかってらっしゃる。

本音のところはどうだったのかなぁ。気になるところです。



2017年夏の思い出 ジョジョにはまった夏でした③

ここまで書いてきましたがちょっと振り返りたくなって

製作発表のときの動画やらキャストインタビューやらジャパンプレミアの

様子なんかを見返してみました。

 

まず製作発表。

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この時は原作未読だったのでインタビュー内容の半分も

理解してなかったんだなと思いました。

 

山﨑賢人くんがものすごく緊張していて、原作の大きさに押しつぶされないように

必死に踏ん張っている姿にちょっと涙出そうになりましたね。

 

神木くんの

「康一の中に人一倍の勇気と覚悟と根性を持っているので

普段の優しい雰囲気といざとなったときの

気の大きさのギャップをどう表現しようか考えています」

というコメントを聞いて、伝わってたよ!神木くん!次も頼むよ!

と心の中で握手したい気持ちになりました。

 

たこの記者会見は大きなミスを犯していて、なぜか虹村形兆虹村億泰を演じる

岡田将生くんと真剣祐(当時)くんを離れ離れに立たせてるんですよね。

(何で??あえて??)

岡田くんは根っからのジョジョファンなのでちょっと終始神妙な顔つきでしたね。

「初めて悪役をやらせて頂いて冷酷ではあるんですが信念のある役なので

このお二人(賢人くんと神木くん)と全力で戦えるように

今精神を整えております」

静かに語ってます。ファンだけに複雑な思いもあったのかなぁと

勝手に想像。

 

真剣祐くんは離れている兄貴に向かって

「億泰は兄である虹村形兆のことが大好きでほんとに愛してるんですよ。

だから兄である岡田さんを愛してると言えるような関係に

なれるように頑張りたいと思います。」

「形兆のことが好きなので億泰は。

少し頭がおかしいというか憎めない役なので。

そこらへんを演じられるよう努力してます。」

 

映画完成後にはジャパンプレミアの中で真剣祐くんが

「全力で役としても形兆を愛しましたし真剣祐としても岡田将生を愛しました」

とコメントしましたが、今思えばこの思いがあったから

映画での二人のシーンが濃密で切ないものになったんだろうなと思います。

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製作発表に戻って三池監督からは

漫画ならではの表現は踏襲するが、

ジョジョの魂、心を表現するためであって

それが目的ではない、スタンドは切っても切り離せない存在なので

どうやったらよりジョジョらしく表現できるかシミュレーションを

重ねているというようなコメントがあり

映画を観るとその通りだなって思えます。

プロデューサーの平野さんからは荒木先生とは何度もやりとりした結果

完成した脚本で、荒木先生と一緒に作り上げたとおっしゃっています。

 

どちらのコメントも当時の私にはふーん…という程度で

映画のイメージは全くついていなかったですね。

だけど三池監督の頭の中には完成した絵が見えていたんでしょうねぇ。

そしてほぼその通りの作品になっていたんじゃないのかなぁ。

 

出来上がった後はもっと自信満々に皆さん語ってくれて

よかったのに。どうにも宣伝の仕方が映画の出来栄えをストレートに

語っていなくて非常に(ほんとにほんとにすっごく)

勿体なかったなと思います。

 

ちょっと振り返りでした。

もうちょっと続きます。(長い!)

 

 

 

 

 

2017年夏の思い出 ジョジョにはまった夏でした②

①で思いのほかアンジェロと形兆の会食シーンへの言及を長くしてしまったので

もう少しサクサク書いていきたいと思います。(書けるかな)

 

仗助と祖父の良平との関係も映画オリジナル演出が効いていました。

特に良平じいちゃんについては、原作では登場してあっという間にアンジェロに

殺されてしまうのですが、映画では冒頭からアンジェロを追い詰めるシーンがあり

アンジェロが良平を襲う動機を明確に示しました。

また、コンビニ強盗として登場する若者にも映画では吉沢正哉(と友人の平田)

という名前を与え、良平が二人の若者と交流があり

恐らく過去に何等か問題があったけど今は更生したようなやり取りがあります。

二人ともアンジェロに襲われ平田は不審な死を遂げ

吉沢はコンビニを襲うという事件が発生し良平は二人を守れなかったと

自分を責めるという警官としての誇りを強く持っている人物という印象を

強く与えました。

年甲斐もなくダンベルで身体を鍛えたりちょっとお茶目なところもあり

それも町を守りたい気持ちからでその後の仗助の行動に影響を与える人物として

原作以上に重要な位置づけとなっています。

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ジョジョの物語の大きなキーワードの一つに「黄金の精神」というものがあります。

長いシリーズの中でたくさんのエピソードを重ねる中で見えてくる「黄金の精神」

第一章で少しでも見えるようにするために良平じいちゃんの警官として

町を守ることに人生を捧げる姿を見せることで

仗助に引き継がれる町を守る強い気持ちを原作以上に感じさせてくれました。

実際、仗助は原作だと今回映画化された部分あたりまでは

まだ町を守る行動は起こしておらず

康一くんの方が何とかしなきゃという意識が強いです。

原作では虹村邸で形兆のバッドカンパニーとの戦いに勝った後も

弓と矢の所在がわからないままなのにここは何かヤバイ感じがするから

さっさと出ようとします。

康一くんはこれ以上この町に犠牲者が出ないように弓と矢を探して処分しなきゃと

強く言い一人で屋根裏部屋に行こうとするのでしぶしぶついていくのですが、

映画では自分から進んで屋根裏部屋に行き康一くんは仗助くんは

怪我してるから僕が行くと言う流れになっています。

原作のように話を積み重ねて仗助を成長させる時間が映画にはないので

良平の死の重みを原作以上に描くことで一気にヒーローらしく

変貌する仗助として表現していたように思います。

 

そして演じる山﨑賢人くんもじいちゃんが死んだあたりから表情もグッと締まり

特に虹村邸に入ってからは驚くほど男らしい表情を見せてくれます。

冒頭の登場シーンのときはまだぼんやりした高校生の表情なのですが

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バッドカンパニー戦での康一くんを守りながら嵐のような砲弾を受ける姿は

神々しくもありました。

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虹村邸に入ってからの後半は形兆が主役のように物語を引っ張りますし

悲劇性が強くどうしても気持ちが惹きつけられて切なくなりますが

仗助がどっしりと形兆のつらさを受け止めてるところがかっこよく

弓と矢は渡さねえ!

と頑な態度を崩さない形兆をじっと見つめる瞳は年下なのに包み込むようで

仗助の人としての大きさを感じさせました。

主人公って基本的には受けの演技ができないと

いけないと思うんですが、このときの山﨑賢人くんの受け止め方は

主役として肝が据わっていて素晴らしかったと思います。

 

康一くんは転校生として登場するところが原作との最大の違いですが

年齢設定を高校1年から2年に変更したことで、仗助たちとの出会いから

描くには転校生にしないと語り部として登場しにくくなるからなのでしょうかね。

康一くんに関しては最後にスタンド使いにはなりますが、

まだスタンド能力についてはわからず第二章に持ち越されます。

原作ではジョジョ四部の主人公は康一くんではないかと思えるほど

彼が一番成長するしジョジョのテーマである「人間賛歌」と「勇気」の

「勇気」の大半を康一くんが担っていると思いますが

第一章に関してはほんの少し、ひとりで虹村邸に入っていこうとする仗助に

ついていくシーンとスタンド誕生のシーンの場面で感じるくらいでしょうか。

それでも康一を神木くんが演じてくれてよかったと思えるのは

驚いたり戸惑ったりしながらも仗助や億泰を受け入れる包容力と

スタンド誕生のときの怒りの表情が康一くんそのもので

康一の魅力を多彩な表現で演じてくれたことです。誰と並んでも違和感なく

馴染めてしまうという魅力は神木くん、康一の双方に共通する部分ではないかなと

思いました。

第二章以降での活躍がほんとに楽しみです。

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由花子さんは原作ではまだ登場しないはずなのにしっかり登場してきて

康一くんについて尋常じゃない絡み方をしていてすでに怖い。

最後に意味深にほほ笑むところとか、短い出番ながらかなり強い印象を残しました。

第二章なかったらこれで終わりなんて嘘でしょって思うので

絶対やってくださいね。

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映画の限られた時間の中で原作のテーマを根底に感じさせキャラクターの個性も

成長していて何回見ても新たな発見があり飽きることがありませんでした。

 

ということで第二弾はこのへんで。もう少し続きます。

 

 

2017年夏の思い出 ジョジョにはまった夏でした①

8/4に公開された「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」の

劇場公開が東京では10/5にすべて終了しました。

公開から2か月、結局18回見ました。見終わった今、まだまだ見たい気持ちでいっぱい。

公開直後に書いたときにはここまでハマると思っていませんでした。

 

あれから原作を一通り読み、そうすると映画も観たくなり映画を観ると原作を読み返し

また映画を観るの繰り返し。途中からアニメ版も見始めたらさらに加速。

上映回数も減っていくなかでジョジョ映画を追い求めて西へ東へ。

初めて行く映画館にもたくさん足を運びました。

 

原作やアニメと実写映画を比べると映画はオリジナルシーンがかなり多いのですが

ジョジョの世界を映画で表現するために濃縮して抽出したような演出で

原作やアニメにはない独特の世界を作っていたような気がします。

 

原作のジョジョの奇妙な冒険第四部は他のシリーズとは異色で

杜王町という町から一歩も出ません。主人公の東方仗助を中心に

同級生の広瀬康一虹村億泰の3人組が主な登場人物で

空条承太郎という3部の主人公が仗助の甥という設定で登場し、

杜王町に潜む殺人鬼のスタンド使い吉良吉影を倒すというのがメインストーリー。

今回映画化された部分にはまだ吉良は登場せず、康一くんは転校生として仗助と出会い

億泰は敵方として登場し最後に仗助の仲間になって終わり。

なのでほんのさわりの部分です。

 

今回の第一章でメインキャストとなっているアンジェロ、

虹村兄弟については映画オリジナル部分でかなり魅力が付加されたと思っています。

 

アンジェロと虹村形兆の出会いのシーンがまずドラマチック。

 

黒マント姿で弓と矢を構える形兆にまず意表を付かれます。殺人現場から逃げているアンジェロの前にいきなり現れるとは思いませんでした。

 

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アニメ版形兆

原作の形兆のイメージはかなりごつくてゴリラと呼ばれているくらいなのですが

「出会いとは重力。重力とは愛ー仲間。おめでとう、お前は選ばれた」

と矢を射られて倒れているアンジェロを見下ろしながら言う

形兆の美しさったらない。岡田将生くんが演じてる以上

ゴリラにはなり得ないと思っていましたが想像以上に耽美的でした。

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原作の形兆とは全く違う姿でしたが、ジョジョの登場人物としての妖しい美しさが滲み出ていてジョジョの世界がこれから始まるんだって思わせてくれる登場シーンだったんじゃないかなと勝手に思ってます。

 

アンジェロと形兆がレストランで会食するシーンも映画オリジナルなのですが

考え付いた人は天才だなって思いました。

このシーンの前に黄昏時の街中を歩く形兆の背後にアンジェロが立っていて

形兆が振り返ると矢を射るポーズを取るのですが、この二人が街中で出会って

食事する展開なんて原作からは想像できないんですけど

もはや映画が二次創作の世界に入ってるのかなと思うくらい。

クラシックな装飾のレストランで向かいあい

形兆は几帳面にステーキをナイフとフォークで食べ

アンジェロは山盛になったチキンらしき肉を手づかみで肉と骨をばらし

しかもその骨をコップの水でちゃぷちゃぷと洗うという意味不明な行動。

山田孝之のアンジェロは原作のおじさんアンジェロをさらに猟奇的な変態に仕上げて

素晴らしかったですね。

スタンド使いになって殺人を繰り返すアンジェロが

人殺しのジャマをされた高校生(仗助)を許さねえと言ったときに

「自分の父親もジャマだから殺したのか」

と問いかける形兆。

「オレがこうなったのは全部あの男のせいだ、あの男には憎しみしかなかった」

とアンジェロは答え

「あんたはどうだ。親が憎くないか?いつだって俺が始末してやる」

と言うと形兆は黙ったままいきなりスタンド攻撃を仕掛ける。

ここ、18回見ても見るたびに形兆の表情が違って見えて

なぜアンジェロを攻撃したのかわからないんですよね。

形兆は父親を殺すスタンド使いを探すために弓と矢で人を射ることを続けています。

アンジェロは形兆の思惑通りにスタンド使いになったので

父親を殺してくれるかもしれない。

そんな相手を撃つっていうのはどういうことなんだろう?と最初はほんとに

謎でした。

回を重ねるうちに形兆は実は父親を殺すことにためらいがあったのでは

と思えてきました。

死なせてやりたい(殺したい)し憎いと思いたいけど思えない。

それでも弓と矢で人を殺すことは止められない。

そんな葛藤をよそにあっさりと始末してやろうかと言われて狼狽したのかなと。

で、動揺のあまりうっかりスタンド出しちゃったのでは。

バッドカンパニーを相手を攻撃するために使ったことは

ほとんどなかったんじゃないかと思うんですよね。

戦う相手もこれまでいなかったと思うし。

だからあんまりコントロールできていないのではないかと思ったり。

冷静なふりをしているけど心臓はバクバクしてたのではないかと。

このやりとりのとき、ちょっとだけ眉をひそめて視線を下に落とすのですが

その一瞬の表情が微かにうろたえてるように見えたんですよね。

このシーンは色んな方が色んな解釈をしていてどれもなるほどなと思えるもので

正解はひとつではないのかもしれません。

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ジョジョ四部はスタンド使いで死んでしまうのが形兆と

この後にでてくる重ちーと吉良吉影だけなんですよね。

(訂正:エステシンデレラの辻彩さんもでした)

で、人を殺すのがアンジェロと形兆と吉良。

今回アンジェロと形兆を原作以上に掘り下げたのは

第二章以降吉良に繋げるためなんじゃないかと思っています。

だから形兆の最期は吉良のスタンド、シアーハートアタックだったのかなと。

 

うーん、この調子で書いていくとかなり長くなりそうなので

まずは第一弾はここまで。

仗助のことや億泰のことやその他まだまだ語りたい形兆については

また後日。